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記事一覧

    • 中公新書 藤野裕子『民衆暴力』──暴力を行使する論理を読み解く

      私たちは歴史を学ぶとき、どこかで無意識のうちに「正しい知識」を得たと思い込んでしまうことがあります しかし、その「正しさ」は時に偏った視点に基づいているかもしれません 心理学の概念で「スコトーマを外す」という言葉があります これは、見えていなかったものに気づく、つまり心理的盲点を取り除くという意味です 藤野裕子さんの『民衆暴力』は、まさにこのスコトーマを外してくれる一冊です 本書は、日本の歴史における「民衆の暴力」を総括したものです 中世の一揆から、近代の日比谷焼き討ち事件

      中公新書 藤野裕子『民衆暴力』──暴力を行使する論理を読み解く

      • 【速報】新書大賞2025は三宅香帆さん「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」

        速報です! 本日、中央公論新社が主催する「新書大賞2025」の大賞に、三宅香帆さんの『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)が選ばれました三宅さんは、平成生まれとして初、そして史上最年少での受賞となります この作品は、労働と読書の歴史を紐解きながら、現代の日本人が抱える「仕事と読書」の関係性を深く探求した一冊です 三宅香帆さん自身も兼業で執筆活動を行ってきた経験を持ち、その視点から日本の労働文化や読書習慣の変遷を描き出しています 受賞に際し、三宅香帆さんは「

        【速報】新書大賞2025は三宅香帆さん「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」

        • 中央公論新書大賞「新書大賞全部読む」

          新書好きなら一度は気になる「新書大賞」 毎年、その年の最も優れた新書を選出するこの賞は、知的好奇心を刺激する一冊に出会える貴重な指標となっています そこで、2020年以降の「新書大賞」のトップ5冊をすべて読むという長期企画を始めることにしました この企画の目的は、新書の世界を体系的に理解し、近年の社会・文化・経済・科学の潮流を追うことにあります 単発で話題の新書を読むのではなく、受賞作をすべて網羅することで、時代ごとのトレンドや論点の変遷が見えてくるはずです 企画の進め方

          中央公論新書大賞「新書大賞全部読む」

          • 新書白書は何をテーマにするか

            2025年は社会や文化が大きな転換期を迎える年です この変化の中で、「新書白書」はどのようなテーマを取り上げるべきかを考えます 特に注目すべき三つのテーマを選び、それぞれの視点から深掘りしていきます 1. 働き方の未来 私は在宅ワーカーとして5年間働いてきました この5年間で働き方は大きく変わりましたが、2025年は特に出社回帰が進むと言われています 在宅ワークが普及し、一時期は「オフィス不要論」まで囁かれましたが、企業の方針転換や社会の動向によって、再びオフィス勤務が求

            新書白書は何をテーマにするか

            • 「働き方革命」駒崎弘樹の実践録 – 過労と決別し、ライフビジョンを描く

              「働きマン」となった著者の壮絶な日々駒崎弘樹さんの『働き方革命』は、過労に追い詰められた著者がいかにして働き方を変え、自らのライフビジョンを確立したかを描いた一冊です 駒崎さんは日本における社会起業の第一人者であり、病児保育を提供する「フローレンス」の設立者としても有名です しかし、本書で明かされるのは、2009年当事、社会を変えるべく奮闘する中で、著者自身が「働きすぎ」に陥り、精神的・肉体的に限界を迎えていたというリアルな姿です 「世界を変える起業家100人」に選ばれな

              「働き方革命」駒崎弘樹の実践録 – 過労と決別し、ライフビジョンを描く

              • トランプ再熱狂の正体-トランプ現象を読み解く:情報と価値観の分断

                アメリカ政治の分断が深まる2025年 ドナルド・トランプという存在は単なる一政治家ではなく、国民の価値観の対立を象徴する存在となった 本書は、トランプ現象を単なる党派対立として捉えるのではなく、人々の情報の受け取り方、価値観の形成、政治意識の変化といった観点から分析するジャーナリスト、辻浩平の一次情報に基づくフロントラインの書籍である 脳内の一次方程式とは何か? 本書を理解するうえで、脳科学者・養老孟司が提唱した「脳内の一次方程式」というモデルが重要な鍵となる(著者も引用

                トランプ再熱狂の正体-トランプ現象を読み解く:情報と価値観の分断