【エッセイ】撮影休止(『佐竹健のYouTube奮闘記(42)』)
武蔵編の最後である蕨城の撮影をしてから、旅をしばらく休むことにした。日中動き回るのが苦痛になってきたからだ。
何が、日中動き回ることを苦痛に思わせたのか? それは、暑さ、だ。
私は極端に暑さに弱い。誰よりも汗をかくうえに、日焼けをしてしまうと真っ赤になってしまう厄介な体質だからだ。
「汗をかくことはいいことじゃないか。新陳代謝が活発な証拠だよ」
このことを話すと、大体こう返ってくる。
言いたいことはよくわかる。そのおかげで、世の同い歳くらいの一般男性よりも若い? くらいの見た目を保持できているし、誰よりも寒さに強い体の造りになっているからだ。だが、夏という忌まわしい季節において、自分の体質のことについて、そんな悠長に語っていられる余裕はない。
誰よりも汗をかくということは、誰よりも水分を消費しやすいということ。つまりは、熱中症になりやすい、ということなのだ。だから、この時期の私は、少しでも暑い中を動き回ると、シャツの一枚二枚平然とダメにしてしまう。それに何回か、夏の暑さでふらっと倒れかけることが幾度かある。汗かきでいいことなんて何一つ無い。
日焼けについては、汗以上に辛い。焼けたところが真っ赤になって腫れてしまい、皮がむける体質だからだ。
皮がむけると、腫れるし、痛い。痛みの程度はというと、日常生活を送るにもままならないくらいだ。歩くときも、自転車を漕ぐときも、その痛みと戦わねばならない。
常人以上の汗かきで紫外線に敏感な肌。私の体は、夏を生き抜くことにはとても適さない。特に最近の暑さと来たら、異常どころか災害級の暑さだ。だから、関東城めぐりの撮影を切り上げた。そんな中で、極端に暑さに弱い体質の私が、城めぐりなんて、出来るはずがない。
旅動画「関東城めぐり編」の撮影休止時にやっていたことについて話そうと思う。
撮影休止時は、毎週連載している歴史小説やエッセイの執筆、動画編集をするなどしていた。仮に日中外出するとしても、駅から近い図書館や喫茶店へ行ったり、気分転換にカラオケで歌ってストレスを発散させたりするぐらいに留めていた。
図書館では、いつも調べものをしている。
図書館でやっていることは、動画のネタや小説のエピソードを作るうえでの下調べだ。何も調べないと話せないし、書けないので、ひとまず図書館までいって調べている感じだろうか。
今の時代ネットで調べればいいみたいに言う人もちらほらいるが、それだけでは難しい。ネットに書いてあることは、玉石混淆で、本当のことも書いてあれば嘘も書いてあるからだ。もちろん、嘘か本当かわからない真偽不明な情報もだ。
カヲスを極めたネットの海で、本当かどうか怪しい情報をつぎはぎするより、本当である可能性の高い書籍に頼ってつなぎ合わせて行った方がいい。そう考えているから、私は図書館へ行って、地道にいろいろ調べて、そこで得た情報を選択し、放送原稿や小説を書いている。
正直この作業は面倒くさい。だから、ノリでベラベラとしゃべれる人が、とてもうらやましく感じられる。
図書館でやるもう一つのことは、文庫本をあさることだろうか。
地誌とか紀行、紹介本だけ読んでいても飽きるので、気分転換に文庫や新書のあるコーナーに立ち寄って、そこにあった本を読む。気に入ったものがあれば、借りて読んだり、買うことも検討する。昔のものであれば、青空文庫とかで続きを読むこともある。
喫茶店では、持ってきたPCで下手な歴史小説や関東城めぐり編のエッセイを書いたり、文庫本や漫画本を読んだりして過ごしていた。もちろん、何かしらは注文したうえで。
カラオケでは、いつものように分析採点で知ってる歌を歌い続けていた。最高点は浜崎あゆみの『Dearest』で97点でを記録した。
全国順位にも挑戦した。どういうわけか、4万7000人中4301位にランクインした。4万7000人いる中の4301位なので、10%の中に入っている。
家の中にいるときは、関東城めぐりのアテレコをしたり、GEOで借りてきたエヴァの新劇場版を見たりして過ごしていた。
暑さという制限がありながらも、自分のやるべきこと、やりたいことを少し少しやっていたという感じだろうか。ちなみに買い物などといった日常生活に必要な外出に関しては、日中出る必要が無ければ夕方や夜間に済ませていた。その方が動きやすいからだ。
特に用事が無ければ、こんな感じで忌まわしき夏の一日は過ぎていく。連休もお盆時も。
だが、今年の夏は、本当に忙しかった。というのも、黙っていたが、実はあるプロジェクトに5月から密かに関わっていたからだ。
(続く)
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