文章に「説得力」が必要な理由はなにか?
そもそも、なぜ説得力のある文章を書く必要性があるのか、という根本を考える話
なぜ説得的に表現するべきか
本題に入る前に、説得力のある文章の例として、極論ではあるが、法律文章を取り挙げてみよう。
◎ちなみに法的文章は、
➀関係者の恣意や特定の当事者に都合の良い方向への操作を排除できるものでなくてはならない。
②法的な判断とその結論の合理化と正当化に役立つものでなければならない。
とされている。
法律学の文章では、読み手を説得できるように書くことが求められている。
法律学で扱われる問題は、1つの正解など存在せず、むしろ複数の主張が成り立ち、相互に対立しているのが通常だ。
各々理由があるため、どの主張でもいいというわけではなく、どの主張を採用するかで、保護される人とされない人が変化したりする。
そこで複数の主張が成立する場合には、どちらかに優劣をつけなくてはならない。その際に決め手になる指標が、複数の主張を比較して、どちらが説得力を持っているか?である。
主張は、「根拠」と「論証」から成り立っているため、
主張に説得力があるかどうかは、根拠と論証で決まるといえる。
※論証とは、根拠から主張を導き出すことである。
つまり、法律学の文章においてなんらかの主張をする際は、いかに説得力のある根拠を示せるか、ということがポイントになる。
しかしこれは、法律文章に限ったことではない。
多数の読者が存在する=各々が主張を持っている、ということである。
彼らに対して、文章を通じて自分の意見を主張するためには、説得力のある論証と根拠を示す必要があることには変わりないだろう。
そもそも文章に主張が必要なのか
そもそも、全ての文章に主張がいるのか、という根本的な疑問である。
読者が読みたいのは、「私の意見」ではなく客観的な情報なのではないか、材料だけを用意してあとは読者に判断を委ねたほうがいいのではないか、という意見もあるだろう。
ここで考えなくてはならないのは、「なぜ伝える」のか、という意義だ。なぜ文章という面倒な手段を用いて、多大な時間と労力を費やして、自分は書いているのか。
これに関しては自身で意義を設定するのが良いと思うが、
参考意見として、下記に古賀史健氏の意見を引用する。
自分が有益だと思った情報を伝えることで、他者の心を動かし、考えを動かし、ひいては行動まで動かす。
文章を書くことは、他者を動かさんとする‘’力の行使"なのである。
これに基づくと、自分の主張を明らかにすることは当然のことであり、文章の目的であるともいえる。
まとめ
今回は、説得力のある文章を書く必要性を解説した。
文章には、客観的事実が必要不可欠なことは、これまでの自身の経験や感覚で分かっていることであるとは思うが、改めてその理由について考えるとなかなか面白かった。
事実、この場で私が文章を書く意義は、自身の主張よりも情報を伝えることに重きを置いており、インプットした情報を文章にすることで自身の理解を定着させるという単なる自己満足であった。我ながらなかなか保守的な人間だと思う笑
考えを主張することはそれなりに勇気がいる。これは文章だけではなく、対人にも相当することだ。主張することは、他者からの反発を伴うリスクを背負うからだ。しかし、だからこそ、自分の味方につけるのは、誰からも認容されている「客観的事実」なのだと思う。
◎おまけ◎論理展開の基本
論証と根拠の重要性と主張の存在意義を、理解したうえで、説得力を持たせるための文章の論理展開について述べる。
下記に、一般的な論理展開の基本を記載した。
①主張…その文章を訴えたい主張
↓
②理由…主張を訴える理由
↓
③事実…理由を補強する客観的事実
自分の文章の中に、3つが存在しているか、そして連動しているかを意識して書くことが大事である。
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