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未来の私は過去の私に感謝する。

書くことを始めてから、時々思うことがある。

ちょっとだけ、幼い頃の自分に
戻りたいと思っている自分がいるのだ。
珍しくそんな事を考えている。
それはなぜなのか。

思い出したいから。

昔の出来事を書きたいと思っても
その時の気持ちやその時感じたこと、その時考えたことなど
今となってはほとんど思い出せないことが多い。
考えても考えても出てこないのだ。

あの時の記憶を辿りたいのに。
あの時の気持ちが知りたいのに。
あの時の、変わってしまう前の景色が見たいのに。
全然思い出せない。

昔の写真を見てわかることもあるけれど
その時感じた思いを書きたい。
昔に戻りたいなんんて無理な話なんだけれども
書くことを始めてから自分の中にそういう欲が湧いてきたのも
本当のこと。

だからこそ、その思いを今に照らし合わせてみると
今考えたことや思ったことを今この時に考えておかなければ
その瞬間のリアルな言葉は書けなくなってしまう。
もちろん現在の地点から昔のことを思い出して
改めて考えて書くということも面白いとは思う。
自分だってそういうものを書くことはあるし
それも楽しいのは本当。
でも、その時にしか書けないものがあるっていうことも
また事実なのだ。

だから私は書く。今、書こうと思う。

未来から見れば「今」はもう過去になる。
その「今」が、未来の私の欲しいものであり
絶対に手が入らないものなのだ。

私が欲しがっているその時のリアルな気持ちを
書けるのはこの「今」しかない。
これを逃したら私はまたいつか、あの時のあの瞬間の気持ちを
知りたいと言って欲しがるのだろう。
今書かなければ、また同じことを後悔するのはわかっている。
だったら書かなきゃ。
そしてまた、私は書きたいのだから。

未来の私は過去の私に感謝する。

勝手にそう思って、今の私は未来の私のご機嫌をとる。
未来よりも今この瞬間が大切なことはわかっているけれど
その未来と今この瞬間とが合致している奇跡を
見つけてしまったのだからしょうがない。
だったら誰も文句はないはず。
精一杯やってみようじゃないか。

もう昔に戻ることはできないけど
未来の私を想像してみることはできる。
それがどうなるかなんてわからない。
決めつけたりなんかしなくていい。
でもそこに、今と繋がる部分があるのなら
そこは許してもらおう。
未来のことにうつつを抜かしているわけじゃない。
私はこの繋がった糸を大切に編み始めただけ。

糸は脆い。けれど編み込んでいったら
ちょっとずつ強くなっていく。
この糸が切れるまではやってみようと思う。

未来の私が過去の私に感謝する日が
来るかもしれないから。


ではまた。

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ねじり
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