介護日記2#64母との散歩中に偶然出会う
荒れた天気がようやく落ち着き
散歩に行ってみようかと久しぶりに
外の様子を伺う。
風もそよそよと心地よく感じるので
行ってみることにした。
母との散歩。
車椅子を押しながらなので
交通量が出来るだけ少なくて
人との離合もしやすい所。
坂道も出来れば無い方が有難い。
急な坂の登りはまだ大丈夫なのだが
下り坂は前進するのはとても危険なので向きを後方にしてバックしなければならなくなる。
自然と私も後方を気にしながら後ろ向きに進む事になるので危険は増す。
なので坂道の少ない、出来るだけなだらかなコースを選んでいる。
最近は近所にある川沿いの住宅地付近を主に選んでいる。
車も人も少なく、住宅や川沿いの綺麗な花や草、川のせせらぎや鳥の声などを楽しみながら進んでいる。
母は調子が良ければ回りをキョロキョロ見ているが、目が閉じてしまう事も。
最近比較的調子が良い。
今回は余り反応が無かったが
時には私が面識の無くてもすれ違った人と「こんにちは」と挨拶をするのを聞いて重ねて「こんにちは」と言ってくれる日もある。
川沿いをゆっくり進む。
川の音、風に草がそよぐ音がとても心地良かった。
前方から歩行器を使って進んでいる方と付き添いらしき人がこちらに向かって来ていた。
すれ違い様いつもの様に「こんにちは」と顔を見て挨拶をしたのだが、見覚えのある歩行器を押している女性に思わず
「あっえっと…木のおもちゃ屋さんですよね」
と声をかけた。
そうなのだ。
以前このnoteで懐かしく思い出した木のおもちゃ屋さんの店主さんだった。
「時々お店に伺ってました」
と付け足すとその女性は
ぱっと顔が明るくなり
「今分かりました。覚えてます、覚えてます!」そう言って下さったのだった。
私より一回りほど年齢は上だろうか。
身体を悪くされて今歩行器を使用しているのだろう。
でも表情や声はちっとも
変わられていない。
何年ぶりだろうか。
10年はお会いしていないはず。
私は子供達が大きくなると店に行かなくなりその後その店自体も移転していた。
でも移転先が実はこの川沿いの住宅地の中だったらしくお互いの散歩中に出会ったという訳だった。
人とのご縁は不思議な物で会わない人とは願っていても2度と会わない、会えない。
こうしてまた再会出来たのは何か意味があるのかもしれない。
そして私の事をうっすらとでも覚えて下さっていた事がとても嬉しかった。
近々時間を作ってお店に伺おうと思っている。
母との散歩で宝物を見つけた気分だ。
読んで下さってありがとうございます
今日も明日も良いことがありますように(しゃくなげ)