春輔

小説や詩、雑学など、ぼちぼち書いていきます。 ジャンルは、色々です。 フォローしてくれ…

春輔

小説や詩、雑学など、ぼちぼち書いていきます。 ジャンルは、色々です。 フォローしてくれると嬉しいです。

最近の記事

中国古代のBLカップル「哀帝と董賢」

(※絵は董賢の絵です。) 序章 哀帝と董賢 秦の滅亡後、紀元前206年から紀元後8年まで、中国は前漢の時代だった。 この前漢の時代には、14人(15人とも)の皇帝がいた。 その皇帝の中で、紀元前7年から紀元前1年の間、在位した哀帝という皇帝がいた。 彼は、19歳で即位し、女色を好まず、法律を好んだ第13代の皇帝である。 そんな哀帝から寵愛を受けた董賢は、紀元前23年から紀元前1年の間を生きた前漢の官人であった。 この哀帝と董賢は男色の関係にあり、哀帝が25歳の若

    • 詩 「ただ、少しだけ」

      ただ少し、日常がつまらなかった。 特に、いじめがあったわけでも、悩みがあったわけでもなかった。 ただ少し、日常に我慢できなくなった。 何も不満はなかった。 全て順序通りだった。 でも本当は少し、将来が不安だったりした。 このまま、小中高と進み、大学、就職と平凡なレールを、将来がわかりきったレールを進み続けるのが嫌だった。 だから少し、家を出た。 学校と家の輪廻から飛び出したかった。 春の命の芽吹き 夏の青く澄んだ空 秋の涼しい夕暮れ時 冬の吐いた白い息 少し、広い世界

      • 詩 風呂

        風呂で考える お金にならなきゃ書く意味はないか 風呂で考える 自分の好きなように書けないのか 風呂で考える 着飾った言葉じゃないといけないか 風呂で考える よくわからなくなる 風呂で考える 風呂に潜る

        • 短編小説 「お酒の遍歴」

          私が初めて、お酒の味を知ったのは、小学生高学年の頃だった。 本格的なお酒ではなく、ウィスキーボンボンのようなチョコの中にお酒が入ったものだった。 「お母さん、これ何?」 と私は母に聞いたのだった。 「私にはまだ早い」 と言われたがどうしても気になった私は、母の目を盗んで、一粒口に放り込んだ。 噛んだ瞬間広がったのは、お酒の風味だった。 母がお酒を飲んだ後によく香っていた匂いだった。 次に特徴的だったのは、その強烈な甘さだった。 甘いものが好きな私でも、歯が溶けるかと思うほどの

        中国古代のBLカップル「哀帝と董賢」

          詩 「死季」

          春 見たのは猫の死体 早く春が来れば生き残れたのか そこから青葉は生えた 夏 見たのは蝉の死体 最期には青空を仰ぐことも叶わず 成虫して外に出たのに 秋 見たのは葉の屍 木の下に広がるは真っ赤な血の海 屍踏み躙るは人間 冬 見たのは人の死体 棺桶に入り快適に横たわる 生きてる内は凍えていたのに

          詩 「死季」

          短編小説 「雨とコーヒー」

          私は、1人コーヒーを飲んでいた。 エスプレッソだった。 本当なら、今、私はクリスマスマーケットにいるはずだった。 なのに、私は薄暗い部屋で、苦いエスプレッソを啜っていた。 クリスマスマーケットに行かなかった理由は、2つある。 1つは、雨が降って来たからだった。 昼ごろから雨が降り出して、今、夕方でも降り続いている。 耳を澄ますと、静かな部屋に雨音が染み込んでくる。 けれど、本当は、こんなことは大した理由じゃない。 本当に、大きな理由は、2つの目の理由のほうなのだ。 それは、彼

          短編小説 「雨とコーヒー」

          シリーズ小説 「殺し屋・掃除屋コンビ」

          「どうも。隣いいですか?」と言って、隣に座って来たのは、スーツに身を包んだ女性だった。 「あぁ。」 というと、女性は、満足気に隣に座った。 そして、「マスター、マンハッタンを。」と告げた。 マンハッタンとは、ウイスキー、ベルモット、ビターズを氷と共にステアし、最後にチェリーをトッピングすると言うものだ。 その上品な赤とチェリーを使った気品あるカクテルであることから、「カクテルの女王」と言われる。 「カクテルの女王」を頼まれたマスターは、早速、ミキシンググラスに材料を入れ始めた

          シリーズ小説 「殺し屋・掃除屋コンビ」

          短編小説 「蝉」

          今年も夏がやってきた。 クソあちー。 エアコンが壊れたので、窓を開けて、網戸にでもしなきゃ暑すぎる。 外では、ツクツクボウシやらミンミンゼミやら色んな蝉が鳴いている。 うるせぇな、俺は思った。 こんなにクソ暑いのに、あいつらのうるさい鳴き声まで聞こえてきたので、次第にイライラしてきた。 さらに、追い討ちのエアコンの故障。 あぁ、なんで、エアコン壊れたんだよ。 はぁーとため息を吐き、ソファに体を投げた。 しばらく、そのまま、目を瞑って、横になっていた。 「ミーン、ミーン」

          短編小説 「蝉」