これまでの投稿で、相対揮発度について以下の2点を整理しました。 1. 相対揮発度は、気相中のモル分率と液相中のモル分率を用いて求められる $$ α=\frac{y_A/y_B}{x_A/x_B} $$ 2. 気相中のモル分率と液相中のモル分率は、それぞれ分圧との関係式が存在する(理想系の場合) $$ p_A=Py_A\\[5mm] p_A=P_Ax_A $$ 用語 $${α}$$:相対揮発度 $${y_A}$$:成分Aの気相中モル分率 $${x_A}$$:成分Aの液
前回の投稿では、相対揮発度と液相部のモル分率から気相部のモル分率を算出可能であることを説明しました。 今回は、相対揮発度を求める前段階として、蒸気圧について書きたいと思います。 蒸気圧とは 蒸気圧とは、液体から蒸発した気体の圧力のことを指します。 例えば、真空容器中に液体を置いた場合、液体が一部気化して、気体が発生します。 すると、気体の発生により、容器の圧力が上昇します。 そして、一定時間が経過すると、気化する分子の数と液化する分子の数が吊り合う状態となり、圧力の上昇
前回は、混合物を沸騰させると気相部では沸点の低い物質が濃縮されるという話をしました。 今回からは、濃縮された物質の濃度の求め方について書いていきます。 相対揮発度 蒸留後の物質の濃度を求めるには相対揮発度というものを使います。 相対揮発度とは、混合状態の2成分について、蒸発のしやすさがどの程度異なっているかを数値で表したものです。 相対揮発度の算出方法は別の投稿で書きたいと思いますので、今回は、相対揮発度を用いると蒸留後の濃度を算出可能であることを説明します。 液体の
前回の投稿では物質の沸点について記載しました。 混合物の沸点は、混合比率により変化します。 今回は、混合物が沸騰した後にどのような状態になるのかについて書きます。 沸騰後の組成について 沸騰とは、液体が気体に変化する現象のことを指します。 例えば、水とエタノールが50%ずつ混ざった混合液が沸騰した場合、気化した際の気体中の組成はどのようになるでしょうか。 興味深いことに、気体中では水とエタノールの比率は35%:65%となります。 このことから、混合物を沸騰させた場合、気
今回からは、化学工学の主要な操作である蒸留を例に、高校で学んだ知識がどのように大学の範囲に繋がり、化学工学に応用されていくのかについて書きたいと思います。 蒸留とは 蒸留とは、物質の沸点の違いを利用して混合物から目的の物質を取り出す操作のことです。 蒸留は、化学実験だけでなく、飲料水の精製やアルコール飲料の製造などにも用いられています。 たとえば、ウイスキーやブランデーなどの蒸留酒は、発酵させた原料を蒸留することによってアルコール度数を高めたものです。 沸点とは 沸点
前回の投稿で、化学工学とは化学や物理学の原理を応用して製品を生み出す技術であると説明しました。 今回は、その具体例としてペットボトルの製造過程について詳しく見ていきたいと思います。 皆さんが日常で使用しているペットボトルは、どのようにして作られているかご存知ですか? ペットボトルは、樹脂という材料を機械で加工して作られます。 この樹脂は「ポリエチレンテレフタラート」(略称PET)と呼ばれる素材で、PETを使用したボトルがペットボトルと呼ばれています。 では、PETはどのよ
化学工学という言葉を耳にしたことはありますか? 化学工学は、化学や物理学の原理を応用して、私たちの日常生活に密接に関わる様々な製品を生み出す技術を指します。 例えば、洗剤や化粧品、医薬品、食品、プラスチックなど、多岐にわたる製品に化学工学の知識が使われています。 化学工学の魅力は、実験室で行われる小さなスケールの化学反応を、大規模な工業生産へと展開することができる点にあります。 私たちの身の回りに存在する多くの製品が、この技術を利用して製造されています。 一方、その具体的な