化学や物理学を使ってものをつくるとは?
前回の投稿で、化学工学とは化学や物理学の原理を応用して製品を生み出す技術であると説明しました。
今回は、その具体例としてペットボトルの製造過程について詳しく見ていきたいと思います。
皆さんが日常で使用しているペットボトルは、どのようにして作られているかご存知ですか?
ペットボトルは、樹脂という材料を機械で加工して作られます。
この樹脂は「ポリエチレンテレフタラート」(略称PET)と呼ばれる素材で、PETを使用したボトルがペットボトルと呼ばれています。
では、PETはどのようにして作られるのでしょうか。
PETは原料の物質を反応させることで製造します。
さらに、その原料物質も別の物質の反応によって作られます。
このように原料をさかのぼっていくと、最終的には石油や石炭などの化石燃料に行き着きます。
つまり、私たちの日常で使用されているプラスチック製品は、天然に存在する石油や石炭を何度も加工して製造されています。
では、石油からプラスチックの原料となる物質はどのようにして得られるのでしょうか。
石油は多種多様な物質の混合物であるため、目的の物質を得るためにはまず成分を分離する必要があります。
この際に使用されるのが「蒸留」という方法で、物質の沸点の違いを利用した精製方法です。
これは高校で習う範囲で言うと、理論化学の知識がベースとなっており、大学の範囲では、熱力学や物理化学が応用されています。
その後、目的成分の量を増やすために化学反応を起こします。
これは有機化学の応用です。
このように、化学工学は基礎となる学問を応用し、大規模な製造を行うために必要な知識を統合した分野となります。
次回からは、高校化学から大学化学、そして化学工学へと、どのようにつながっていくのかについて書きたいと思います。