工業蒸留への道① 〜混合物の沸点〜
今回からは、化学工学の主要な操作である蒸留を例に、高校で学んだ知識がどのように大学の範囲に繋がり、化学工学に応用されていくのかについて書きたいと思います。
蒸留とは
蒸留とは、物質の沸点の違いを利用して混合物から目的の物質を取り出す操作のことです。
蒸留は、化学実験だけでなく、飲料水の精製やアルコール飲料の製造などにも用いられています。
たとえば、ウイスキーやブランデーなどの蒸留酒は、発酵させた原料を蒸留することによってアルコール度数を高めたものです。
沸点とは
沸点とは、液体が沸騰する温度のことです。
沸点は分子の大きさや分子間の相互作用によって異なります。
例えば、水の沸点は100℃、エタノールの沸点は78℃です。
混合物の沸点
複数の物質が混ざった混合物の沸点はどうなるでしょうか?
例えば、水とエタノールを混ぜた場合、78℃でエタノールが全て沸騰し、その後100℃で水が沸騰すると思うかもしれません。
しかし、実際にはそのような挙動にはならず、約78〜100℃の範囲のどこかで沸騰が起こります。具体的な沸点は水とエタノールの混合比率により決まります。
混合比率により沸点が変化する理由
混合物中では、水分子とエタノール分子が均一に拡散しています。これにより、水だけの状態やエタノールだけの状態から、分子間の相互作用が変化し、沸点も変化します。
次回へ続きます。