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【展覧会レポ】UESHIMA MUSEUM「オープニング展」

【約4,900文字、写真約70枚】
東京・渋谷にあるUESHIMA MUSEUMに初めて行き「オープニング展」を鑑賞しました。その感想を書きます。

▶︎ 結論

予想に反して、とても満足度の高い美術館でした。それは主に、1)作品、キュレーションの質が高い、2)幅広いアーティストの作品が見られる、3)特に2階の展示室は必見!、4)渋谷駅からのアクセスも良好だったためです。まだ訪れていない人は必見です!👀

おすすめ度:★★★★☆
会話できる度:★★★☆☆
混み具合:★★★☆☆
展覧会名:オープニング展
場所:UESHIMA MUSEUM
会期:2024.6.1 (土) ― 2024.12月末(好評につき、2025.3月末まで延長)
休館日:月曜日
開館時間:11:00 - 17:00
住所: 東京都渋谷区渋谷1丁目21−18 渋谷教育学園 植島タワー
アクセス:渋谷駅から徒歩約5分
入場料(一般):1,500円
事前予約:必須
展覧所要時間:2時間〜2時間半
撮影:すべて可能
URL:https://ueshima-museum.com/launch/


▶︎ 訪問のきっかけ

外観

訪問のきっかけは、1)行ったことがなかった美術館、2)2024年オープンと新しい、3)渋谷駅からのアクセスも良い、4)さまざまなレビューを見て印象に残っていたことによります。

▶︎ アクセス

UESHIMA MUSEUMは、渋谷駅から徒歩約5分。渋谷教育学園(後述)の敷地内にあります。

▶︎ UESHIMA MUSEUMとは?

植島タワー

UESHIMA MUSEUMのヴィジョンは「<同時代性>について、美術を通じて考える場になる」。

2024年6月、UESHIMA MUSEUMは、渋谷教育学園渋谷中学・高等学校(通称:渋渋)内の建物の一部を「渋谷教育学園 植島タワー」としてオープン。

通称:渋渋

渋渋の特徴は「グローバル」。帰国子女も受け入れる体制が整っており、教育目標に「自調自考」を掲げています。毎年、東大へ約40名を輩出する進学校のようです。米国を中心に、海外大学にも多くの生徒が進学しています(2024年:34名)。

ここに学校があることすら、当日に知りました。そのくらい美術館の立地は良くないです(渋谷駅からアクセスは良いですが)。しかし、展示の内容は、貴重な現代アートがてんこ盛り!今後、口コミなどを通じて、人気がジワジワとさらに高まってくると思います。

▶︎ 「UESHIMA」って誰?

外観

「UESHIMA」とは、植島幹九郎かんくろうを指します。

UESHIMA MUSEUM COLLECTION 創設者。1979年千葉県生まれ。1998年渋谷教育学園幕張高等学校卒業東京大学理科一類入学。東京大学工学部在学中に起業し、事業家・投資家として多角的ビジネスを展開している。

公式サイトより

現在、植島幹九郎は、約7社の会長・社長・取締役などを務めています(詳細)。

その中でも、2005年に立ち上げたNATURALIナチュリがメイン企業のようです(非上場)。NATURALIの主な事業として、遺伝子検査、クリニック運営支援、治験施設支援、調剤薬局事業、高度医療機器販売/貸与、ジュエリー企画/販売があります。

植島幹九郎がアート収集を始めたきっかけは、2016年に購入したリヒターの作品だそうです。その後、アート収集が加速。2022年には約500点の作品を購入!現在、UESHIMA MUSEUMに展示している作品数は、全体の約1/8とのことです。

▼ 植島幹九郎のインタビュー

▶︎ 美術館の特徴

✔️ 予約がマスト!

QRコードで入館

入館はウェブ予約が必須です。遅くとも前日までに予約しておくと安心だと思います。午後は比較的に来場者が多かったため、ゆっくり鑑賞したい場合は午前中〜正午の予約がオススメです。

✔️ オフィスのような展示室

OFFICEと記載

UESHIMA MUSEUMは、学校敷地内のビルを使用しています。そのため、見た目や内装は「美術館」と言うより「オフィス」に近いです。

不要なガラスの仕切り

地下1階〜5階までのフロアに、それぞれ展示室があります。特に、3〜5階の展示室は、ほぼオフィスでした。本来の作品展示には不要な、部屋のガラス壁による仕切りも残されたままです。

また、どの部屋も決して広くありません。そのため、決して美術鑑賞にとって良い環境とは言えないと思いました。

✔️ 極力省人化した効率的な運営

QRコードをかざしてドアを開ける

それぞれの展示室は、ドアで施錠されています。来場者は、メールで送られたQRコードをドアのセンサーにかざすことで、ロックが外れ、入室できる仕組みです。毎回、QRコードをかざすのは若干面倒に感じました。

予約後送られてくるQRコード

館内のスタッフは、1階の受付に1〜2名のみ。各展示室に看視員はおらず、監視カメラのみを利用する、効率的で割り切った運営でした。看視員がわらわらと必要以上におり、何かにつけて看視員がすっ飛んでくるような美術館は、UESHIMA MUSEUMを見習う部分があると思いました。

ケータイの充電エリアも完備

✔️ 来館者は女性が大半

入り口付近のロッカー

来館者は、女性が大半でした。年齢は、10代と思われる方から年配の方まで、とても幅広かったです。外国人観光客の姿もありました。

▶︎ 「オープニング展」感想

本展では、コレクションの多様性を紹介すべく階ごとに異なる視点で展示構成を行っております。国や地域、そして時代を越えたアーティストたちの多彩な表現と、その個々の背後にあるそれぞれの物語へと想像を巡らしていただければ幸いです。

公式サイトより

✔️ オススメ鑑賞ルート

展示室は地下1階から5階

鑑賞に際して、特に決まったルートや、美術館側がオススメするルートはないと、スタッフの方に案内を受けました。

実際にUESHIMA MUSEUMを訪れた私としては、5階→地下1階のコースがオススメです。

✔️ テーマに沿った各フロアの構成

各フロアの展示室には、テーマに沿った作品が展示されています。個人のコレクションと聞いていたため、ある程度無秩序な展示を予想していました。しかし、実際は、しっかりと気合(費用)がかかったキュレーションに少し驚きました。

✔️ 丁寧な魅せ方

丁寧なキャプション

作品のキャプションは、一つひとつ大変丁寧に書かれています。英語も併記されているため「お金かかっとんなぁ」と素直に感心しました。

過去の展示履歴が詳しい

また、UESHIMA MUSEUMのキャプションで特徴的なのが、その作品の展示歴が詳しく書かれていることです。そのため、キャプションを読んで「あぁ、これはあの時のコレかぁ!」と唸る場面が何度もありました。

✔️ バリエーション豊かな作品群

コレクションは、有名な現代アーティストから、30代の新進気鋭なアーティストまで幅広いです。作品の形態も、立体物、平面絵画、映像、インスタレーションなど、ジャンルレスでした。

展示作品数は約80点インパクトのある作品が多かったため、私は鑑賞に2時間以上かかっていました。そのため、ある程度は見切りをつけて鑑賞した方がいいと思います。

以下、5階から地下1階までをざっくり紹介します。

◾️ 5F「松本陽子の絵画」

松本陽子《The Day I Saw the Evening Star》
《振動する風景的画面》《熱帯》
《生成と解体》《光は闇のなかに輝いている》

◾️ 4F「変わるもの、消えゆくもの」

さわひらき《/home》
映像作品もあります
三嶋りつ惠《FRUTTO2》
東京都庭園美術館で開催された展覧会で、最初の展示作品は、UESHIMA MUSEUMからのレンタル!
宮永愛子《くぼみに眠るそら -寝虎-》
宮島達男《Vertical in Green》
宮島達男《Counter Fragile No.4》

◾️ 3F「女性画家のまなざし」

近藤亜樹《For You》
今井麗《KOALA 6》《ギャザリング》
このコアラ、全体の中で2番目にお気に入り
工藤麻紀子《 あの時1人でたのしかった》
長井朋子《 子ねこだよ》《お姫さまの部屋》
津上みゆき《View, Flowing, Evening, 8 Feb 2019/2022》
モネ《印象 日の出》のような作品

◾️ 1F/2F「同時代の表現、個の表現世界」

村上隆x Virgil Abloh《 Our Spot 1》

2階には、有名な現代アーティストの作品がずらり!UESHIMA MUSEUMの目玉です。東京観光で訪れる価値すらある十分なラインアップでした。

1部屋1作品のスペースもありました。常設アート展示室のような様相だったため、5階から見てきた私にとって、2階はとても意外性がありました。さながらミニチュア版十和田市現代美術館と感じました。

中でも、私は、エリアソンの作品が特にお気に入りでした。

Andreas Gursky《Bangkok IX》
よく見ると川にゴミが浮かんでいる写真
Gerhard Richter《untitled》
名和晃平《PixCell-Sharpe's grysbok》
塩田千春《State of Being》
塩田千春《Cell》
ルイーズ・ブルジョワかと思った
Thomas Ruff《Substrat 7 III》
TeamLabのNFTアートも展示
Louise Bourgeois & Tracey Emin《Just Hanging》
Tracey Emin《 It's what I'd like to be》
Pierre Huyghe《Idiom》
池田亮司《 data.scan [n°1b-9b]》
エリアソン作品の注意書き
国旗を持って入ると…
Olafur Eliasson《Eye see you》
色の感覚を失います
Ryan Gander《 On slow Obliteration, or How are you still hungry》
カチャカチャと丸い部品が常に反転しています
田島美加《Anima 47》

ここからは、1階の作品です。

名和晃平《PixCell-Deer 40》
Ryan Gander《Sowing confusion amongst the titles, or The squatters》
田島美加《Negative Entropy》
岡崎乾二郎《 Encontro das águas / Scooping water from a stream》

◾️ B1F「絵画における抽象ーその開拓精神」

地下1階はギャラリーっぽい内装
Bernard Frize《 Coam》
植島のお気に入りであるベルナールの作品
Gerhard Richter《 Abstrakte Skizze》
Annie Morris《 Stack 7, Ultramarine Blue》

◾️ 階段ほか

名和晃平《PixCell Mandarin Duck》

UESHIMA MUSEUMで見逃しがちなのが、階段や踊り場にも作品が展示されていることです。特に、6階にある作品に気づかない人も多いのでは。

杉本博司《Hiroshi Bay of Sagami, Atami》
《Palais Garnier, Paris》
《Einstein Tower》
《Manatee》
《Prospect Park Theater》
《Colors of Shadow C1017》

▶︎ まとめ

美術館のサイン

面白さが伝わりましたでしょうか?アート好きの富豪が、悦に浸って作品をポンポンと並べているだけだと予想していましたが、そんな予想に反して、作品やキュレーションの質が高かったため、満足度はとても高かったです。

また、ジャンルが幅広く、知らなかった現代アーティストにも会えることに加え、有名な作家の作品も多かったです。特に、2階展示室はインパクト大!若者が多い渋谷で、質の高い現代アートを発信する貴重な場だと思います。

アクセスも良いため、まだ訪れたことがない人には、強くオススメしたい美術館でした。

▶︎ 今日の美術館飯

★3.5/宇田川カフェ (東京都/渋谷駅) ー オープンサンドウィッチ (¥1,045)、紅茶 (¥220)


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Naota_t
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