トヨタ産業技術記念館:想像以上に大満足!アパレル関係者こそ行くべし!
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名古屋市にある「トヨタ産業技術記念館」に初めて行きました。その感想を書きます。
▶︎結論
予想外にすごく満足度が高かったです!特に繊維機械館では、普段は見られない、綿から生地になるまでの工程を間近で見ることができて、大変参考になりました。その際「ガイドツアー」の参加は絶対におすすめ!サクッと見るなら2時間、食事なども含めてじっくり楽しむなら、4〜5時間は楽しめると思いました。名古屋観光にはマストの施設です!
▶︎訪問のきっかけ
愛知県美術館へ行った後、夕方まで2〜3時間あったため「トヨタ産業技術記念館」へ行きました。1)トリップアドバイザーで名古屋を検索するとランキング上位で満足度も高い、2)名古屋駅からも近かったため、です。
▼愛知県美術館の感想
▶︎アクセス
トヨタ産業技術記念館へは名古屋駅→(電車で数分)→亀島駅 or 栄生駅→(徒歩で約5分)→到着です。名古屋駅からも近いため、観光にも便利です。近くにはでかいイオンもあるため、買い物や休憩もできます。
住所:名古屋市西区則武新町4丁目1番35号
▶︎「トヨタ産業技術記念館」感想
トヨタ産業技術記念館は、豊田喜一郎の生誕100年を記念して、1994年6月11日(豊田喜一郎の誕生日)に開館しました。今年で会館30周年です。
トヨタグループ(豊田自動織機)を興したのが豊田佐吉。長男の豊田喜一郎が自動車部を立ち上げました。孫にあたる豊田章男はトヨタ自動車の代表取締役会長です。
なお、代表取締役社長は2023年から佐藤恒治が務めています。ずっと創業家がトヨタ自動車の社長だったと私は思い込んでいました。しかし、過去にも豊田家ではない多くの人も社長を務めていました(参照)。
ちなみに、社名はトヨタですが、苗字は豊田です。その理由は、1)「トヨタ」は濁音がなく、さわやかで言葉の調子が良い、2)「トヨタ」の総画数が縁起がいい「8画」、3)創業者の苗字から離れることで個人の会社から社会的企業への発展するという意味を込めたそうです(参照)。
訪問当初は「名古屋観光で時間が2時間くらい空いちゃったから、トリアドで人気らしいし、行ってみるか」くらいの気持ちでした。
しかし、入るとすごく面白い!自動車ばかり展示してあると予想していたら、いきなり織機がたくさん並べてあって意外!内容も大変勉強になる!入る前は「️1人1,000円もするんか…」と思いましたが、️結果的に1,000円でも十分お得だと感じました。
会場内の説明はともて分かりやすかったです。特に「ガイドツアー」(無料、定員20名、先着順、当日受付)は絶対おすすめ!見るだけでは分からない部分を、ガイドの方が機械を動かしながら丁寧に説明してくださります。
「ガイドツアー」は先着20名となっているものの、申し込みしていない人でも、(迷惑にならない程度なら)途中から入って聞くことができます。
「ガイドツアー」だけでなく、会場のスタッフ全員がとても親切でした。閉館間際の記念撮影などにも丁寧に応じていただき、とても助かりました。
全体を通して、子供よりも大人が楽しめる施設だと思いました。また、ビジネス経験や知識がある人は尚更楽しめると思います。トヨタ企業に対するロイヤリティも上がりました。Sonyやユニクロなどの日本を代表する企業も、このような記念館をつくればブランディング上で有効ではないでしょうか。
また、HPが非常に分かりやすいことに加え、充実している点も特徴です。日本語のほかに6言語で対応しています。ページを更新するごとに多言語対応するのは地味に大変だと思います。また、このような来場者フレンドリーな点は、企業姿勢も表していると思いました。
2023年は年間35万人の来場(1日約962人)があったそうです。
施設は大きく「繊維機械館」「自動車館」「テクノランド」に分かれます。以下、簡単に感想を書きます。なお、主に子供向けの「テクノランド」は、ゲーム感覚で楽しく繊維機械や自動車の仕組みを学べるスペースです。人気があるらしく、私が入館した時はすでに受付を終了していました。
✔️繊維機械館
繊維機械館では「糸を紡ぐ、布を織る技術」の移り変わりを紹介します。織機の仕組みを説明するだけでなく、紡績(綿を糸にする)、素材(糸を布にする)の変遷も知ることができるため、大変勉強になりました。
当然のように、買い物を楽しんだり、着用している服。その服(布)がどのように作られているかを知っている人は少ないでしょう。「トヨタ産業美術記念館」と聞くと、何やら自動車ばかり展示している理系施設のように聞こえます。しかし、意外にもアパレルで働いている人こそ行くべき施設でした。
貧しい村で育った大工の豊田佐吉は「人のために役立ちたい」と思う→「専売特許条例」が発布→農家で使われていた手機に興味をもつ→「第三回内国勧業博覧会」で何度も最新機械を観察→最初の発明品「豊田式木製人力織機」が完成、特許も取得(1891年、24歳)→現・豊田自動織機を設立(1926年)、という流れで発展しました。
豊田佐吉は、もともと織機に詳しかったわけではないのですネ。いろいろ端折りましたが、その間に多くの挫折や苦労がありました(参照)。会場では、苦労して織機が改良された経緯が丁寧に展示されていました。
✔️自動車館
自動車館では「自動車のしくみと、開発・生産技術」の移り変わりを紹介します。
豊田佐吉の長男で繊維機械の技術者だった喜一郎が、初めての欧米視察で自動車の普及ぶりに驚く(1921年)→豊田自動織機に自動車部を立ち上げる(1933年)→ノウハウゼロから試作を繰り返し、月産2,000台の挙母工場(現・トヨタ自動車)を立ち上げ(1938年)→今に至る(参照)。
豊田喜一郎は、もともと「車」に強い思い入れがあったわけでもなかったのですネ。欧米視察で自動車以外の発展に驚いていたら、また別の歴史が始まっていたのかもしれません。
展示では、技術の進展だけではなく、トヨタ自動車としての企業風土などに関連する内容もありました。このような部分も抜かりない点は、ブランディングが上手いと思いました。
単純に製品や歴史を展示するだけでなく、見せ方の工夫やメリハリがとても効いていている点は、来場者の視点に寄り添っていると感心しました。
私は『トヨタ生産方式』(大野耐一)や『トヨタ物語』(野地秩嘉)を読んだことがあります。無駄・ムラ・無理の排除、少人化、自働化などは、理系の仕事でなくても同じく重要です。また、カンバンやアンドンはあくまでツールであり、一番の苦労は意識改革だったことが印象的でした。
不良品をつくらない未来のために、どんな小さな仕組みでも、常に改善する考え方は、私の信条と重なりました。日本は生産性が低いとよく言われます。トヨタの社員が、小売業でも何でも、日本の企業にどんどん入り込めば、日本の未来は明るくなると思います。
このエリアでは、普段見ることのできない生産ラインも見ることができたため「車ってこうやってつくってるんや。車って本当にたくさんのパーツの集合体なんやな。歴史と技術と安全が詰まってる車ってほんますごい。車買うならトヨタやな」と思いました(買う予定はありませんが)。
HP上では「バーチャル展示室360」として、Google mapのストリートビューのように会場を見ることができます。初めて行く前に館内の様子が分かるため、このような機能は大変助かります。
お土産売り場も充実していました。また、館内にはハラル料理に対応したレストランやカフェもありました。実際の会場、HPに至るまで、来場者の立場に寄り添った姿勢を随所に感じられました。
▶︎まとめ
良さが伝わったでしょうか?初めは全く期待していませんでした。しかし、ここは名古屋観光にはマストです!もちろん、自動車館も良いですが、私は繊維機械館が予想外に良かったです。綿から生地までがどのようにつくられているのかが分かり、大変勉強になりました。「ガイドツアー」は絶対に参加した方がいいです。そのほか、随所に来場者フレンドリーな企業姿勢が透けて見えた点も好印象でした。
▶︎今日のミュージアム飯
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