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展覧会レポ:五島美術館「古伊賀―破格のやきもの―」
【約3,100文字、写真約35枚】
初めて五島美術館に行き「古伊賀―破格のやきもの―」を鑑賞しました。その感想を書きます。
※既にこの展覧会は終了しています。
結論から言うと、良かった点は、❶五島美術館の背景を知れたこと、❷茶道の道具について詳しくなったこと、❸庭園が気持ちいいことでした(古伊賀の作品はどれもほぼ同じに見えましたが…)。茶道に興味がある方、既に携わっている方には、特におすすめの美術館でした。
展覧会名:古伊賀―破格のやきもの―
場所:五島美術館
おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★★☆☆
ベビーカー:ー
会期:2023年10月21日(土)〜12月3日(日)
休館日:月曜日
住所:東京都世田谷区上野毛3-9-25
アクセス:上野毛駅から徒歩約5分
入場料(一般):1,400円
事前予約:不要
展覧所要時間:1時間半(庭園も含めて)
混み具合:ストレスなし
展覧撮影:1点のみ撮影可能
URL:https://www.gotoh-museum.or.jp/
▶︎訪問のきっかけ
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五島美術館という名前を初めて聞いた時、長崎の五島列島にある美術館と思っていました。その後、電車で東急大井町線に乗った際「五島美術館に行く方は上野毛駅で降りてください」的なアナウンスを聞いたため「会いに行ける美術館」だと分かり、興味をもちました。
▶︎アクセス
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五島美術館は東急大井町線の上野毛駅から徒歩約5分。二子玉川駅からも徒歩約15分で行けます。私は、上野毛駅から歩いて行きました。
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知らない美術館、知らない駅に行くときは、ワクワクします。行ったことがない上野毛駅に、何の期待もしないで行きました。驚いたことに、上野毛駅は安藤忠雄さんがデザインした駅でした。
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▶︎五島美術館とは
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五島美術館は、昭和35年(1960)4月18日に私立(財団法人)の美術館として、東京都世田谷区上野毛に開館しました。美術館設立の構想は、東急グループの礎を築いた五島慶太(1882-1959)によるものです。慶太翁は鉄道事業のかたわら、半生をかけて古写経をはじめとする貴重な美術品の数々を蒐集しました。
五島美術館の横に「五島」と表札がかかった豪邸がありました。五島美術館に行く前、「もしかして…?」と思っていました。
五島美術館は、東急電鉄の創業者・五島慶太氏がつくった美術館です。なお、五島慶太氏が亡くなった翌年、五島美術館が完成したそうです。庭園を含めると、約6,000坪あることが特徴です。
美術館の入り口で「東急セキュリティ」の札を付けた方が警備していました。東急と関係があるのかな?と思いましたが、そういうことなんですね。
五島美術館のコレクションは、日本と東洋の古美術品(明治期以前)をもとに構成され、「源氏物語絵巻」をはじめとする国宝5件、重要文化財50件を含む約5,000件が所蔵されています。
電鉄会社に関連する美術館は、近鉄の松伯美術館をはじめ、多くあります。お金がたくさんあると美術品蒐集に行き着くのでしょうか🤔
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▶︎「古伊賀―破格のやきもの―」感想
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桃山時代から江戸時代にかけて、現在の三重県伊賀市一帯でつくられたやきもの「古伊賀」。歪みなどの作為の強い造形と窯中で偶然に生まれる景色は、茶の湯の世界で高く評価されています。
古伊賀とは、三重県の伊賀で、桃山時代から江戸時代に作られた焼き物の総称です。古伊賀の特徴は、ヘラ工具を使用した波状の文様や格子状の押し型文様の他、ゆがみ、緑色のビードロ、灰かぶりや焦げ、鉄釉を垂らすといった作為性の強い意匠(引用)だそうです。
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最終日に近かったからか、朝一の時間に行ったにもかかわらず、観覧者が多かったです。観覧者の年齢層は高め。写真撮影は1点を除いて全て不可。
展示は全94点。様々な美術館などから取り寄せています。五島美術館の所蔵は4点。作品全てに20文字x10行ほどの説明が丁寧に書かれていました。
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展示室1には、様々な茶道に関する道具が展示されていました。私は茶道の知識が全くないため、勉強になりました。展示されていた道具は以下です。
・花生…花を生ける器(花入とも言う)
・水指…水を入れる器。
・香合…香木や練香を入れる器。
・茶入…抹茶を入れる器。
・茶碗…お茶を飲む器(古伊賀はゴツいため不向き)
・鉢…お茶前の食事で香の物を入れる器。
・壺…茶葉を貯える器。
展示室内には、似たような花生や水指などが横にずらーっと並んでいます。丁寧な説明がありますが、ぱっと見、私にはほぼ同じに見えました(写真がないため、伝わりづらいですが)。他の観覧者の中には「みんな同じに見えるね」「お茶をやっている人じゃないと分からないね」と言う人もいました。一つだけ適当に部屋に転がっていても、作品と気付かなさそうです😅
私のような知見がない人ではなく、茶道をされる方が見れば、荒々しい自然がつくる偶然の産物にうっとり、楽しめるのでしょうか。作品をたくさん見たり、界隈の人の評価を勉強することで、理解が深まると思いました。
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茶道界では、茶室に何を飾るか、どういう花生や水指などを使うか、どんな花を生けるかで、その人の感性が評価されているのかな、と考えながら鑑賞していました。
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メインビジュアルに使われている五島美術館所蔵、重要文化財の《伊賀耳付水指 銘 破袋》。大胆に割れており、存在感や趣を感じました。なお、展示する場所がすごく分かりづらかったです。メインビジュアルであれば、もっと目立つ場所に展示することに加え、「重要文化財」の表記を赤文字にするなど「見てくれ!すごいんだ!」と訴える工夫があると良かったです。
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また、順路が一部、分かりづらかったです。展示室1では、案内パネルの真横に、最後の番号の作品が展示されていました。そのため、何も考えないと、最後から見てしまい、観覧者がぶつかる光景を何度も見ました。順路を分かりやすく明示した方が良いと思います。
▶︎庭園
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五島美術館の特徴の一つが、総面積の半分以上を占めている庭園です。また、庭園の中に茶室や古墳もありました。私が行った日は、ちょうど茶室でお茶会を催しており、中から楽しそうな声が漏れていました。
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庭園の手入れはしっかりとなされていました。中を歩くと、都会である二子玉川の一駅隣とは思えない風景で、空気さえ澄んでいる気がしました。展覧会の鑑賞で目が疲れた後に、庭園鑑賞はピッタリでした。
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▶︎まとめ
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いかがだったでしょうか?五島美術館の背景、茶道の世界観を知ることができて勉強になりました(古伊賀はどれも同じに見えましたが…)。五島美術館の存在感は強くないかもしれませんが、気持ちいい庭園もあり、二子玉川も近いです。また、茶道をする方には特におすすめの美術館と思いました。
▶︎今日の美術館飯
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