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【博物館レポ】群馬県立歴史博物館「弥生人は二度死ぬー再葬墓ってなに?ー」「常設展示」

【約3,200文字、写真約55枚】
群馬県立歴史博物館へ初めて行き「常設展示」「第111回企画展<弥生人は二度死ぬー再葬墓ってなに?ー>」を鑑賞しました。その感想を書きます。

※本展覧会はすでに終了しています。

▶︎ 結論

とても行く価値がある博物館だと思いました。それは主に、1)国宝の綿貫観音山古墳の出土品をいつでも見られる、2)群馬県の歴史を楽しく学べる、3)群馬=埴輪というイメージをもてたためです。個別の観光名所に訪れるのも良いですが、群馬県立歴史博物館に行けば、群馬について効率的にマルっと知ることができます。群馬観光にもおすすめのスポットです!

おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★★☆☆
混み具合:★★☆☆☆
展覧会名:第111回企画展「弥生人は二度死ぬー再葬墓ってなに?ー」
場所:群馬県立歴史博物館
会期:令和6年10月5日(土)~11月24日(日)
休館日:毎週月曜日
開館時間:9:30~17:00
住所:群馬県高崎市綿貫町992−1
アクセス:高崎駅からバスで約30分
入場料(一般):800円
事前予約:ー
展覧所要時間:常設展、企画展合わせて、1時間半〜2時間
撮影:全て可能
URL:https://www.artsmaebashi.jp/?p=20820 


▶︎ 訪問のきっかけ & アクセス

チケット

群馬県立近代美術館に行った後、公園で遊び、美術館に併設されたレストランで昼食。その後、群馬県立歴史博物館へ行きました。

▼ 訪問のきっかけ & アクセスは以下を参照

▶︎ 群馬県立歴史博物館とは

博物館の外観

1974年に群馬県立近代美術館が開館、「群馬の森」が供用開始(今年で50周年!)。1979年、群馬県立歴史博物館開館が遅れて開館しました。

博物館の見どころは、常設展示の最初にある国宝展示室!2020年9月、国宝に指定された「群馬県綿貫観音山古墳出土品」を常時展示しています。

チケット売場

常設展示の観覧料は300円!企画展示(+常設展示)は800円です。ボリュームとしては、常設展示が7、企画展示が3くらい。常設展示だけでも十分に楽しみ、学ぶことができます。

なお、美術館や博物館の付近で食事をする場合「森のレストラン ころむす」しかありません。

館内のご案内
こども歴史コーナー
フォトスポット

▶︎ 常設展示 感想

常設展示の入り口

国宝に指定された「群馬県綿貫観音山古墳出土品」を展示する国宝展示室、原始・古代・中世・近世・近現代にいたる通史展示、最先端のデジタル技術を導入したデジタル埴輪展示室があります。群馬県の歴史や文化の特色について、実物資料を中心に模型・映像などを用いてわかりやすく、かつ楽しみながら学べます。

公式サイトより
いきなり国宝展示室

常設展示に入ると、メインディッシュがいきなり出迎えます。

《綿貫観音山古墳 埴輪》(国宝)
すべてが国宝!

すべてが国宝」というキャッチコピーが強烈です。美術館や博物館で「国宝」と見ると、何だかありがたい気持ちが湧いてきます。この展示室内にズラズラ置いてある資料は、すべて国宝、ほぼすべて実物です!

《埴輪群像 (馬列)》
《装身具》
東京国立博物館へ6体が出張中

2024年は、埴輪ブームがあったと思います。東京国立博物館「特別展<はにわ>」、東京国立近代美術館「ハニワと土偶の近代」、市原歴史博物館「旅するはにわー房総の埴輪にみる地域間交流ー」など、noteで展覧会の感想を多く目にしました。

綿貫古墳群の説明
古墳の全景

綿貫観音山古墳は、高崎市綿貫町にある前方後円墳です。6世紀後半の築造と推定。出土品は、1982年に重要文化財に指定。2003年に埴輪や須恵器などが追加で指定されました。そして2020年、国宝にレベルアップ

2008年、ゆうまちゃんが「ぐんまちゃん」に改名
年表を抜けると、
通史展示エリアにつながる

通史展示で面白いのが、歴史(原始〜古代〜中世〜近世〜近現代)を群馬に焦点を当てて紹介している点です。

群馬は長野と親交が深かった
古代人の顔の復元
《土製耳飾》

久しぶりに子供と博物館に来て思ったのが「幼児に博物館はハードルが高い」ということでした。博物館は、キャプションなしには価値を享受できないためです。一方、美術館であれば、幼児はキャプションを読まなくても「面白い、キレイ、美しい、変」は感じることができます。

集落の再現
ユーモラスに再葬システムを説明
ぼくたちズッ友…!

博物館で重要なことが、いかに「見るだけ」以外の展示を作るかだと思いました。群馬県立歴史博物館はその点をよく理解しています

展示室内の様子
鎧いろいろ
兜いろいろ
群馬県は石造物のデパート!

常設展示内では、触れる、遊べる、覗ける、聞ける、映像で学べる、VRで楽しめるなど、工夫を凝らしていました。「ズッ友」「石像物のデパート」など、キャッチコピーも分かりやすく表現されていました。

これらに対して、とてもユーザーのことを考えていると感心しました。文字がある程度読める年齢なら、部分的でも十分に興味をもって、飽きずに楽しめると思います(幼児はさすがに難しかった)。

群馬と言えば、富岡製糸場
戦時下の学校を写した映像
お手玉やカルタで遊べる

旅行の際、名所に直接行くことはもちろん良いと思います。それに加え、現地の博物館に行くことも、大変良いと再認識しました。博物館の中で、現地の歴史、文化、アピールしたい点などをイッキに学べるためです。

その観点から、群馬観光に際して、群馬県立歴史博物館はとても訪れる価値があると思いました(国宝も見られるし)。

最後は再び埴輪で〆
手を装置が認識することで、埴輪を縮小・拡大・回転できる
ホログラム映像

なお、博物館でキラーコンテンツの恐竜はココにいません。恐竜を見たいなら、群馬県立自然史博物館に行きましょう。レビューサイトでも、とても高評価です。また群馬に行く機会があれば、是非訪れたいです。

埴輪は英語で”Haniwa”
埴輪王国ぐんま

「国宝展示室」にインパクトがあったことに加え、最後も埴輪だったため「群馬=埴輪」というイメージをしっかりもち帰ることができました。

素朴すぎる点が埴輪の魅力

▶︎ 企画展示「弥生人は二度死ぬー再葬墓ってなに?ー」感想

企画展示室の入り口

群馬県は弥生時代の再葬墓さいそうぼの中心地の一つです。再葬墓は、遺体を一度土中に埋めたり、さらしたりして白骨化させてから土器に納め、再び埋葬することでつくられた墓のことです。(略)近年の研究を通じ、なぜ弥生人が二度死ぬのかを探ります。

公式サイトより

「二度死ぬ」とは、再葬墓さいそうぼのことです。まずは、遺体を埋葬・風葬します。その後、白骨を取り出して、骨壷に入れたり、アクセサリーにします。そうすることで、死んだ人が祖先への仲間入りすると信じられていたと推定されています。

再葬墓の説明
会場の様子
人骨展示のガード文言(必要ですかね?)
《九州北部の甕棺墓》
弥生時代の代表的な墓
人形ひとがた土器》
群馬県渋川

会場には、群馬県の遺跡を中心に、吉野ヶ里遺跡(佐賀県)や東日本の遺跡、沖縄で行われていた洗骨葬の資料が展示されていました。

《人面付土器》
茨城県常陸大宮市
展覧会のメインビジュアル。ウルトラマンタロウに似ている
「あごのラインが美しい」…かな?
鳥内遺跡(福島県)の出土品
《甕形土器》
群馬県長野原町
「一番古い再葬墓かも」
《人面付土器》
福島県石川町
「オバQみたいな口がキュート」

会場の外には、誰でも参加できる塗り絵コーナーも併設。このような取り組みは、大人も子供も楽しめるため、ナイスアイデアだと思います。

《人面付土器》のイラスト
子供は「推しの子」をイメージして作成
みんなのイラスト

▶︎ まとめ

買ったポストカード。《綿貫観音山古墳 埴輪》

いかがだったでしょうか?群馬県にフォーカスしながら歴史を分かりやすく学べることに加え、国宝の綿貫観音山古墳の出土品をいつでも見られることは、価値があると思いました。周辺には美術館や公園もあるため、一日遊ぶことができます。群馬観光にもおすすめの博物館でした!


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Naota_t
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