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私の仕事

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北カリフォルニアの田舎で日本食レストランをしています。そんなあれこれ。
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レストランという場所

テイクアウトのみの営業を続けて1年以上も経ってしまいました。カリフォルニアは6月15日以降、コロナ防止のための規制を全面解除して、現在多くのレストランは食事を楽しむ人々でいっぱいです。 うちもぼちぼちと、店内を開放していますがテイクアウトのみの営業にすっかり慣れてしまって、始めはちょっとあたふたしていました。 ああ、テイクアウトだけのなんて楽ちんな日々だったことでしょう! 店内サービスがないというのは、本当にシンプルな営業形態で、キッチンはまず皿洗いが大幅に時間短縮され

地元ラブ~北カリフォルニア

日曜日の午後、 近所のワイナリーに、お店で提供するワインを選ぶため、ワインテイスティングに出かけた。 私は、お店のワインリストにあるものは すべて地元から、と決めている。 チリやアルゼンチンやフランスのものはないし、カリフォルニアで有名なワインの産地、ナパバレーでもない。 うちに来るお客さんが経営する、もしくは働くワイナリーのワインを、うちの店で売る。これがコミュニティの良さで、しかも地元のカリフォルニア・ワインはどこもそれぞれにユニークで、美味だから都合がいい。いくら

あったかい、っていいな~心のキャンドルを灯す。

10数年乗っていた愛車から、去年の夏に新しい車を購入した。 最近の車の進化にはびっくり。 セイフティの方でも感心しきりだけど、ありがたいのは寒い日でも、シートやハンドルが、すぐに温まること。 夜遅くに仕事からの、寒い帰り道、 ほっかほかのシートが、お尻から、背中から、私のカラダをあっためてくれる。 その温かさが、一日の終わりの、私のカラダとココロを緩めてくれる。 家に戻ると、しばらく旅行で留守にしていた夫が部屋を暖めてくれていた。 そして温かな食事が待っている。 あった

ホームレスの人からもらったチョコレート

スーパーマーケットの広い駐車場の一角で、ベビーカーの横にチョコンと座った30代半ばくらいの女性が、バラを売っていた。 手には3本のバラ。 赤と、黄色とピンク。そして彼女の愛らしい笑顔。 いくら? と聞くと、値段はついていないの、と私を見上げた。 ベビーカーの中では、2,3歳くらいの男の子が彼女に話しかける。 「ママ、お腹すいた」。 私はこの光景を、この1週間の間、何度も思い出す。 思い出すたびに、私に色んな印象を残すんだ。 言ってみれば、私はこの光景に、いくつもの

それは単なる思い込みだった

朝note6日目。 いよいよ明日で1週間になるのだけど、始める前、すごくすごく思っていたことがある。 「noteを朝、書くなんて絶対無理!」 だって、起きてすぐ書くってことはその日のことは書けない。まだ何もしてないし、まだ何も起こってないんだもの。 昨日のことを書くっていっても鮮度が違う。魚や野菜じゃあるまいし、鮮度ってなによ?と思うかもしれないけど、感じたことは考えたことは出来るだけフレッシュなうちに書きたい。ひと晩寝かせたら、新鮮じゃなくなるというか、なんだか自分の

飲食店のチャレンジ

レストランで出す、お皿や箸や、小さなグラスが失くなっていることに気がついた。 これまでにも、あれ?と思うことはあったけれど、さして気にしなかった。 割れたんだろう、と思っていた。 それが、パンデミックの後、ダイニングを再開してから、新しい食器やカップを揃えてスタートしたものだから、顕著に感じるようになったのだろうか? 買い足しが多いのを不思議に思ってアンテナを張っていたら、どうやらお客様が持って帰るのだということが、発覚した。 一番なくなるのは、小さなお醤油皿。 そして

この人にこの仕事は無理かも、と思っていたけれど

夕方5時、店に到着すると、すでに早めのラッシュが始まっていた。 ずっと続いていた雨が止んで、一日陽が差していた日。 人々は、誘い合って食事に出かけることにしたのだろうか? 次々と来店されるお客様。 そして、いくつものバースディ。 20人のバースディパーティが6時に控えていた。 私の顔を見て、サーバーのジェシカが、泣きそうな、怒ったような顔を向ける。 「どうしたの?大丈夫?」 「大丈夫じゃないかも」 そんな返事を聞きながらも、私は、すぐにドアの前で待っているお客様の対応に

言葉の中にメッセージはあるか?

お店に飾るための、蘭を買いに行った。 私の町には、大きなスーパーマーケットが、コストコを除けば3軒ある。その中の一つの店の蘭は、たいていフレッシュで、種類も豊富なのを発見して、最近はそこで買うことにしている。 入口に入ったとたん、目に飛び込んできた色とりどりの蘭が迎えてくれる。 ああ、眩しい。 歩いて回るも、どれにしようか、視線があちこちに飛ぶ。お花に囲まれる、この瞬間の胸の高鳴りはいつも。 私を見つめる蘭もあれば、よそよそしくそっぽを向いているものもある。 ふい

新年の抱負ではなくて感謝を

「明けましておめでとう!」 友人からメッセージが入った。 久しぶりに雨がやみ、今日は気持ちのいい、晴天だった。 庭の、お腹が山吹色の鳥、初めての来客を眺めながら、私はお茶を飲んでいた。 「明けましておめでとう?」 日本人の彼女とは、今年に入って何度も話していて、とっくに新年の挨拶も済ませたはずだったのでは? そう、メッセージを返すと、 「ルナー・ニューイヤー。旧正月でしょう、今日。」 そうだった、そうだった! ぼんやりしてたアタマの中が、急にピントを帯びた。 旧正月

その笑顔が、ますます輝きを増すように。

サーバーとしてのトレーニングを受けていた、若い女性が、ついに独り立ち。 溢れる笑顔で、お客様を接待する姿がたのもしい。 ところが初日、年配女性の、ふだんからクレームの多いお客様に当たってしまった! クレーム好きのお客様、というのは存在する。 そして、そんな姿勢は、当の本人にますます小さな不都合を引き寄せる。 頼んだものが、品切れだったり、お水のお代わりが遅かったり、というような。 (何故?と思うのは、それでも来店して下さる、ということ。) そんなお客様が、ほんの少数だけ

私のわくわくするものについて。それは日本酒!

私のパッションのひとつ、 それは、日本酒なんです。 日本酒のことを考えるととっても、楽しくなる、って書くと、いったいどういう人なんだって、なりますよね? ほんと、どういう人なんでしょう、私? ただの飲んだくれ?(笑) いえ、いえ、それだけではありませんよ、 美味しい日本酒を、もっともっと、こちらの人に知って欲しい! 日本のお酒はすごい!っていうことを、共有したいのです。 私の父も、日本酒が大好きな人でした。 飲んで、楽しいお酒のときもあれば、飲んで、暴力をふるうこと

おひとり様のお客様

金曜日の夜。 その日は、なぜか、おひとり様のお客様が多かった。 仕事帰りだったのか、30代くらいの女性がドアを開けて入って来た。 「Hi, How are you?」 挨拶すると、 「Tired」(疲れた)と一言、 にこりともせずに私を見つめた。 「じゃあ、リラックスしてくださいね」、 そう言って、私は彼女を4人掛けの大きなテーブルに通した。 ふつう、おひとり様は、カウンター席か、もしくは二人掛けのテーブルなのだけど。 ハーフボトルの赤ワインを開けて、食事を待って

どこへ行っても大丈夫な人の特徴とは

これまでたくさんの人と一緒に仕事をしてきた。 人生の、次のステップに進むために、うちの店を辞めていく人の中には、私にこんなことを、最後に言わせる人がいる。 「あなたなら、どこへ行っても、何をやってもきっとうまくいくわよ!」 そう言って、送り出させてくれる人がいる。 このように、 「この人は、どこへ行っても、そこでどんどん成長して、うまく仕事をやっていけるだろうな」、 そう思わす人の特徴を、考えてみたとき、次の事柄があげられると思った。 自分から笑顔で元気よく挨拶をす

人は自分の聞きたいことしか、聞きたくないもの

お客様の中には、 様々なことをリクエストする人がいる。 食べ物について言えば きりがないので置いておくけど、 例えば、営業時間前にも関わらず 店内に入れて欲しい、とか、 リザベーションでいっぱいで 席が空いてないことを注げると 不快を表す人、 席に着くなり、青島(チンタオ)ビール、タイティーや、春巻きを注文して、 ないとわかると、ずいぶんがっかりされる。 (アジアをひとくくりにする人は多い)。 こちらはその都度、丁寧に説明する。 きちんと準備を整えて、 お客様を迎