peacecafe
北カリフォルニアの田舎で日本食レストランをしています。そんなあれこれ。
世界の平和のために、ちゃんと自分を愛しましょう
私は何でもないものです だから私は色んなストーリーを、この何でもない空間に、創り上げることができるのです 先日 ある文章に出会いました 「私は花粉症です」 と始めに書いてありました 私は なん度もその文章を読まないわけにはいかなかったのです だって それは花粉症自らが名乗り出た貴重な記事であるようでしたから そういうわけで 私というのは何にでもなれるものなのです 私は花粉症です 私は女の子です 私は読書家です 私は病気です 私は金持ちです 私は愛です 「
腹の立つことがあった。 憤りが込み上げるたびに、気がついて、 「怒り」を見てみる。 その怒りが、身体のどこに現れているのかを感じてみる。 私の思考は まるで小さな隙間を見つけた濁流のように勢いよく、猛威をふるう。 憤りという感情に乗せて ありもしない、けれどさもありそうなストーリーを私に信じ込ませようとする。様々なシナリオが次々に創られる。 憤りが連れてくるストーリーが 真実味を帯びて私の周りを雲のように覆うたびに、 それは「本当なのか」と、自分に問うてみる。 「意識的
義母と、同居を始めたとき。 最初に言われた言葉は、 「お釜の底が見えてはいけないよ」 だった。 実際にお釜を開けて見せ、残り少なくなっていた白米を杓文字で切りながら、 「いつ、誰が来ても、たっぷりご飯を出してあげれるようじゃないとね」、と。 お釜の底が見えてはならない、 その一言が、この家の全てを語っていると、後に私は気が付いた。 義母の家は、カジュアルな来客が多かった。 勝手に玄関から入ってきて、 「お母ちゃん」、 と義母を呼ぶ。 義母は夕方仕事から戻って来
週に2度は一緒に、丘のトレイルを歩いていた友人が、夏の間、アラスカへ行ってしまって、私は怠惰になった。 友人は、去年、小学校の先生という仕事からリタイアした。 この夏3か月ほど、アラスカで、ホテルの受付、というシーズナルな仕事を見つけて旅立っていった。戻って来るのは9月の半ばだ。 ホテルの受付をしながら、休日には アラスカの自然の中を歩いて来るわよ! カメラの性能を当てにした、スマホのアップグレイドを済ませたことも私に告げて、彼女は鼻の穴を膨らませた。 彼女の帰りを待っ
有名なアパレルメーカーのCEOを勤め上げたあとでリタイアした、70代の女友達と、カフェでおしゃべりをしていた。 聞くと、最近新しいボーイフレンドができたのだそう。 「とっても素敵な人よ、ユーモアがあって、知的で、親切よ」 すっぴんで、目の周りの笑い皺をたくさん寄せながら、彼女のよく動く、はしゃいだ瞳を私は見つめた。 「でもね~、」 と彼女は一息ついた。 そして囁くように言った。 「彼って、すごくオールドなの!」 そう言って、彼女はからからとカフェに響くような声で笑
私の魔法(笑)の一つに 「よく眠ったことにする」、 というのがある。 寝不足の日、 「夕べ、寝ていないから」、というフレーズが一日中、頭にひっついていたりすることがある。 ぼんやりしているアタマ ちょっと、重い感じのするアタマ、 そんなことに気づくたび、 ああ、私、夕べ、あんまり眠ってないもんな、 今日は早く帰って眠りたい、 と、やわらかなベッドの感触を思い出している。 ところが、それをひっくり返してしまうのだ。 「よく眠った」、と自分をだましてしまうことで。 そう
日曜日の午後、 近所のワイナリーに、お店で提供するワインを選ぶため、ワインテイスティングに出かけた。 私は、お店のワインリストにあるものは すべて地元から、と決めている。 チリやアルゼンチンやフランスのものはないし、カリフォルニアで有名なワインの産地、ナパバレーでもない。 うちに来るお客さんが経営する、もしくは働くワイナリーのワインを、うちの店で売る。これがコミュニティの良さで、しかも地元のカリフォルニア・ワインはどこもそれぞれにユニークで、美味だから都合がいい。いくら
見上げれば、空がある。 目の前がすっかり空になる。 澄んだ青空でも、星が輝く夜空でも、どんよりとした曇り空でも、広大な空は、いつも私を地に足をつけてくれる。 広く、広く、見渡せる空のある、このカリフォルニアに住んでいることに、私はとても感謝している。 だって、空を見上げるのが大好きだから。 ポジティブ思考とか、そんな言葉よりも、もっと簡単で実感がある。 上を見上げると視点が変わる。 私は、「全体」を体験する。 空は気づかないうちに、私たちの感情にアプローチする。
ある金曜の、ディナータイムのこと。 店内のフロントで、次に空くテーブルを待っているカップルの後に、新たにお客様が入ってきた。 席は30分後に空きます、と告げると、その60代くらいの女性がすごい剣幕で怒り始めた。 予約を入れようと何度も電話したのに繋がらなかったのよ!と。 他にも何かを言っていた気がするけれど、あまり覚えてはない。 うちの電話ラインはひとつしかなくて、金曜の夜となると予約やテイクアウトのオーダーで電話は通話中のことが多い。 私が彼女に謝って、次の来店をお待
クローゼットの中を夏用に入れ替えた時に、改めて断捨離をした。 機会があるごとに、こまめに自分の持ちものを点検するようにしている。 私は ”こんまり”さんの言う、 Spark Joy (スパークジョイーときめき)メソッドに大賛成。 ときめくものだけを手元に置く。 ときめくものだけと、一緒に暮らす。 こう書いてみると、ちょっと眩しすぎる? でも、子供のようにぴょんぴょん飛び跳ねてしまうようなトキメキもあれば、何年も暮らしを共にしている食器や家具へ感じる愛着、愛おしさという
日曜日の朝、久しぶりに料理をした。 うちの主夫である夫が、昨日から旅に出てしまったので、私と、息子の分の夕飯を、しばらく何とかしなくてはならない。 先週、家に友人を呼んで、一緒に食事をしたばかりで、そのときの残り食材がわやわやと冷蔵庫に残っている。これをひとまず片づけてしまわないことにはすっきりしない。 友人と一緒に何を食べたかって? なんとたこ焼きパーティーをした。 106歳のシルビアとは、20年近いお付き合い。 彼女は今年の春に2年ほど暮らした、彼女のお気に入りの
夫がしばらく家を留守をするので、新しく購入したものがある。 電動の缶切り、 電動のワインオープナー、 電動のペッパーミル。 これまでは、電動でない、普通の缶切り、ワインオープナー、ペッパーミルを使っていた。 使うのは夫。 私は、香りのいいコショウが、パスタやサラダの上にふりかけられたり、グラスに、ワインが注がれるのを待っていた(笑)。 去年あたりから右手首の痛みを気にするようになって、以来、気を付けている。 レストランを初めてから公私ともに、数えきれないほどワインを開
半月が空に浮かんでいる。 それが、今夜はとても遠い。 手を伸ばして引き寄せてしまいたい。 肉体的にも忙しい一日だったけれど、 長く働いてくれている、年配の人とのミーティングがこたえたのかなあ。 今回は、言いたいことを言った。 もう彼女のストーリーを聞いてはいられなかった。 毎回誰かをターゲットにして、不信感を露わにする。 証拠はない。 「ユニバースからのサインよ、私には分かるの」 そういった思い込みに、これまで丁寧に付き合いながら、「事実」に気づいてもらっていたけど
ぎゃあ、ぎゃあ、という大音量で目が覚めた。 いったい何が起こっているのか、寝ぼけた頭には理解できなくて、その後、 渡り鳥だ、と分かった。 我が家の上空を 覆い尽くしているんじゃないかというくらいの音量だ。 ベッドから文字通り飛び起きて、窓に駆け寄るが、残念、過ぎていったらしい。 時計を見るとまだ5時。 それでも、空はすでに明るかった。 私の寝室には朝日が差し込む。 白いコットンのカーテンしか窓にはかかってないので、朝は容易に目が覚める。おまけに窓を開けて寝るのが好きだ。
私はただ、ハラハラと流れる彼女の涙を見つめていた。 いや、見とれていた。 彼女のくっきりとした瞳は、たくさんの涙を流しながらも凛としていて、大粒の涙が彼女の頬に落ちるのは、まるで自然界の一部のような美しさだった。 流れる滝や、窓を伝う雨水や、突然降って来る雹(ひょう)のように。 彼女は今日だけでなく、これまでやってしまったいくつもの、小さなミステイクに心を悩ませていた。 それで自分を責めて、このお店にいてもいいのかどうか、この仕事が合ってるのかどうか、そう自分に問いかけてい
ある日、夜の営業時間が終わったあとで、ダイニングスタッフの一人が、話があると言ってきた。 今日、彼女は、お客様とのちょっとしたトラブルがあった。 そのことで何か話したいのだと思った。 驚いたことに、彼女が話したかったのは、そのお客様のことではなく、私のそのときの、彼女への対応についてだった。 「私はナオコ(私のこと)の態度に、とても傷ついたの」 まっすぐに、私の目を見て彼女はそう言った。 そう聞いて、私はその夜に起こったこと、 そのときに、私が咄嗟にとった態度を、はじ