1場面物語「ろうそく婦人」
「マッチ売りの少女というお話を知っていらっしゃる?」
その日のお茶会で、ろうそく婦人は集まる私達に聞きました。私達は一斉に首を傾げて、ざわざわとしました。
「マッチ売りの少女?」
「マッチならここにいるけど」
「少女って人間のこと?」
「ねぇ、お茶が溢れちゃうじゃない」
「ちょっとそれは私のクッキーよ!」
「人間の子供のことでしょ?」
「ウリって、瓜?」
ざわざわする私達に、ろうそく婦人は優しく炎を揺らめかして「マッチ売りの少女」のお話を聴かせてくれました。
それは、とても悲しいお話でした。
「わたくしはね、その時、少女が持っているのが蝋燭だったならって思ったの」
ろうそく婦人の炎が揺らめきます。
それはとても美しくて、けれど何処か寂しい色でした。
「そうしたら、少女はマッチをするより長く夢を見ていられたことでしょう」
私達はろうそく婦人の話に聴き入ります。
美しい炎の光を見ていると、心が落ち着き、穏やかになれます。
「ねぇ、皆さんも、そう思うでしょう?」
私達はうっとりと、ろうそく婦人を眺めて頷きました。
ろうそく婦人は満足そうに炎の光を強めて微笑みました。
それから、皆で楽しくお茶会をしました。
ずっと、ずっと、皆で楽しくお茶会をしました。
*
「やぁ、君ほどの悪魔はなかなかいないよ」
ろうそく婦人はかけられた声に、上品に炎を揺らし微笑みました。
「あら、悪魔だなんて。わたくしは、ただ、可愛い子たちに長ーい夢を見せてあげているだけよ」
お読み下さり有り難うございます。
当初考えていたファンタジーよりダークになってしまった。笑
このお話が生まれるきっかけは、相互フォローのannonさんの本日の記事の写真でした。ぜひ記事もご覧ください。annonさんの写真はいいですぞぉ。
ヘッダーにお借りした写真↓
こちらを横にすると、蝋燭に見えるシルエットがありました。
その他、下の方(横にすると左)に、にこやかに笑う顔のようなシルエット写真(記事の下の方の写真)などもあり、頭の中にファンタジーがモクモク湧いてくる。
最初は、『蝋燭を誰かが持っていて…』と思ったのですが、ヘッダーにするために拡大したところ、まるでドレスを着ているような感じがして、『ろうそく婦人』と思ったところで、一気にダークファンタジーになりました。
annonさんへ
有り難うございます!
お写真借りました!(事後報告ですが駄目って言わないと思うたのであります!駄目なら言ってくださーい)
これからも素敵なお写真お待ちしております( *ᴗˬᴗ)⁾⁾
ほんと、これが枯れ蓮だと、誰が思いましょう。
自然に出来上がる芸術は素晴らしいですね。