昔から自分の歯に自信がない。 子どもの頃から「いくらお化粧しても歯は隠せないから歯磨きはキチンとしなさい」と父に口酸っぱく言われていたためしっかり磨いていたのだが、いかんせん虫歯になりやすい歯質でほとんどの歯は治療済みになってしまった。 20代半ばまで引きこもり生活で歯医者に通えなかった期間が長かったせいもあって、いざ通いだしたら全部治るまでかなり時間がかかった。 30代で定時制高校に入って初めての歯科検診の時、担当の歯科医に「よく治したねえ」と感心されるくらいには虫歯が
愛、という言葉を聞くと思い出す人がいる。 その人は、いとこの配偶者で、初めて会ったのは父方の祖父のお葬式だった。 私は不登校の中学生で、セーラー服を着ていたと思う。 広いお寺の仏間の奥から出てきたその人を見たとき、思わずハッと息を呑んだ。 喪服に映える白い肌、大粒の溢れる涙をハンカチでおさえるその顔は、化粧っ気がないにもかかわらず光り輝いて見えた。 泣きはらして目の周りと鼻先がほんのり桃色に染まっているのも色っぽい。生まれて初めてこんなに美しい人を見た私は、喪の場ということ
なんだこのタイトルは。 だが、私にはたびたび訪れる感覚なのだ。 つい先日も、そいつはやってきたばかり。 これが病気ってやつなんだろう。 一応、記しておくと私は15年以上、服薬治療などを受けている。 しかし、そいつが訪れると毎度のことながらうろたえる。よくなってきているからこそ、普段は希死念慮というやつが遠くにいてくれているのだ。子どもの頃からよく知っている親戚のひとり、くらいの距離感。これを読んでいるあなたの中にも確実に存在しているやつ。 大抵の場合は生理前にくるのだが、
私のストレス発散方法は一人カラオケだ。 そんなに頻繁に行くわけではないが、行くとなると最低二時間は歌いたい。 一番望ましいのは、お得な平日ドリンクバー付き三時間パック。 一人で三時間も持つのか、と問われそうだが意外と充実した時間が過ごせる。 誰かと行けばいいのに、というのは野暮な言葉。人と一緒に行くと気を遣うし、練習にならない。むしろ人と行くカラオケは苦手なのだ。私は声がまずいし歌が下手だ。そんな私の歌を無理やり聴かせるのはヒドいと思うので、一人で歌うのだ。 なにより一人だ
大人になれば自然とビールを飲めるようになるものだと思っていた。 テレビのコマーシャルなんかで美味しそうに飲む人を見ては、脳内で勝手に美味しい飲料というイメージがまんまと出来ていたし。 初めてビールを口にしたのがいつだったのかは覚えていないが、ひどくだまされた感があったのは覚えている。だって苦いし全然美味しくなかったのだ。 黄金色の発泡ニガ汁としか思えなかった。 前段階として珈琲は飲めるようになっていた。 とはいえ、34歳になってダイエットを始めるまでブラックでは飲めなかっ
私は今、月に二度ほど浅草橋にある古書みつけでお店番をする日々を過ごしている。 ボランティアなので無給。でも楽しく店先にいるので、遊びに来ていただければ幸いです。 難波の日は私のXでご確認のほどを。 ところで、私はかなり質素な顔立ちをしている。 古書みつけのXなどで私の顔をご存じの方は「あぁ」となるでしょうが、ご存じない方に説明するとなると質素で地味な顔立ち、ということになる。 塩味というよりかは無味。 塩せんべいというよりかはお麩。 そこにお化粧を施せば良くて、薄甘い麩菓子
初めまして。 私は今年の3月4日に古書みつけから「気がつけば40年間無職だった。」というノンフィクション本を出した、難波ふみ、という者です。 現状41歳になった中年女性。何でそんな状態なのか、というのは拙著をお読みいただければと思います(宣伝)。 しかし、紛う事なきオバさんになった私が今、振り返るとオバさんの境界線はどこだったのか、ということ。 まず、子どもの頃にふんわり考えていた「オバさん」は30歳くらいだった。当時のドモホルンリンクルのCMの影響が強かったことがうか