歯
昔から自分の歯に自信がない。
子どもの頃から「いくらお化粧しても歯は隠せないから歯磨きはキチンとしなさい」と父に口酸っぱく言われていたためしっかり磨いていたのだが、いかんせん虫歯になりやすい歯質でほとんどの歯は治療済みになってしまった。
20代半ばまで引きこもり生活で歯医者に通えなかった期間が長かったせいもあって、いざ通いだしたら全部治るまでかなり時間がかかった。
30代で定時制高校に入って初めての歯科検診の時、担当の歯科医に「よく治したねえ」と感心されるくらいには虫歯が多かったのだ。
せっかく治したからにはもう虫歯にならないぞ、と歯科医師や歯科衛生士の言うことを聞いて正しい歯磨きというのを身につけた。
1、まず糸タイプのフロスを使い歯間の汚れを取る。
2、手鏡で確認しながらふつうの柔らかさの歯ブラシで優しく小刻みに磨く。
3、水で薄めるタイプの洗口液で一度だけゆすぐ。
というのが今の歯磨きルーティーン。
先日も歯科検診で「歯垢もほとんどないし良く磨けてますね。歯周病にもなってませんよ」と褒められた。嬉しい。
それは良いのだが、父ゆずりの黄ばみやすい歯質もコンプレックスで、オフィスホワイトニングもホームホワイトニングも試してみた。
結果、薬剤がしみやすいとわかった。痛くなりやすいのだ。悲しい。
でも歯を出して笑いたいので、たまにホームホワイトニングをしている。その期間、着色しやすいコーヒーや紅茶が飲めなくなるのが辛いところではあるのだが。
歯のことでもうひとつ思い出深いのが親知らず。
私は生まれつき下の奥歯の右と左にしか生えていなかったのだが、それが両方完全に埋まっていたため大きな病院で手術をしなくてはならなかった。
歯茎を切る、と考えただけで痛そうでしょ。
実際、術中には麻酔をするので痛みは無く、焦げたような匂いと親知らずを砕くバキバキとした音のほうが印象的だった。
大変だったのは術後の腫れと痛み。もちろんお薬は処方されていたけれど、それが切れそうな時が辛かった。あと、奥の歯茎を縫ってあるので口がちょっとしか開けられないのだ。
傷にしみないように、しょっぱい物を避けて尚かつ柔らかいお粥やゼリーでしのいだ事が懐かしい。
血の味と黒い縫い糸の思い出。それを二回。
担当の先生が言っていた通り、若いうちにやっておいて本当に良かったことだ。
機能的には健康そのものになった私の歯だが、治療跡だらけなのが少し恥ずかしい。
美容的な自信はないけれど、これからも美味しくご飯を食べられるように今をキープしていきたいと思う。