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自炊道~趣味料理への道~2

「『趣味:料理』への道」のつづき。
前回はこちら(今回のをいきなり読んでも大丈夫です。)

 料理研究家という肩書きを見ることがある。料理を作るまでは、「料理研究家って何を研究してるんだ?」と思っていた。
 しかし、実際作ってみると料理には研究が必要だということがわかる。具体的に言えば科学的アプローチに近かったり、試行錯誤が必要だったりする。

 たとえば、レシピを見て料理するときの失敗ポイントがいくつかある。
①【火加減】肉や野菜が生焼け ⇔ 焼きすぎでかたい、焦げてる。
②【味付け】濃すぎる ⇔ 薄すぎる
③【再現性】うまくできるときと、できないときがある。

 それを解決する方法が散りばめられているレシピこそ、研究が行き届いているレシピなのだ。料理しながら、ああプロが作ってるなとしみじみ思う。

感覚としては、説明書を見ながらプラモデルや家具の組み立てをしてる時の感覚に近い。できあがったときの達成感がとてもすがすがしい。

 できるだけレシピに忠実に作り、すごくおいしい仕上がりになった時、「やった」という気持ちはもちろんあるのだが、同時に料理研究家に遠隔で操作してもらったような不思議な気持ちになる。

 たとえば①に関しては火加減と加熱時間、材料の切る厚みで調整されている。具材に火が通るまでというざっくりした表記ではなく、火力と過熱時間の指定があって、その通りに調理したときにぴったりいい具合に火が入っていたら、その研究の精度の高さに感動すら覚える。

 ②に関しては、調味料の大さじ小さじであり、レシピの材料のグラム数である。ジャガイモ2個とかゴボウ1本とか書かれていても、大きさはいろいろなので、横にグラム数があると参考になる。
 調味料と素材の量がレシピの想定通りであれば、味付けで失敗するリスクが減る。塩分濃度何%ぐらいがおいしいとか、うまみの調整とかをよく考えずにできてしまうのは、裏でレシピ製作者がしてくれているからだろう。

 ③はレシピを見ずに雰囲気で作っていると、上手く言った料理をまた作ろうと思っても、また作る頃には細かいところを覚えておらず、思ってたのと違う仕上がりになることがある。
 普段の適当な自炊をわざわざレシピに書き起こすこともないので、また同じ仕上がりになるかは記憶力か運である。そして失敗のある自炊は敗戦処理がつらい…

たとえば、どんなレシピが?ということで、
レシピ自体を見失わないようにいくつか記録していこうと思う。
(レシピサイトはすべて「みんなの今日の料理」だ。)


里芋のレシピたち

 じゃがいもが高くて、里芋が安いときがある。
 皮を剥いてあるものも売っているが、自分で剥く方が安くて量が多い。包丁でかっこよく皮を切るように剥けたらいいのだが、そんな技量はないので危ない手つきでピーラーで剥いている。
 ピーラーに皮は詰まるし、ぬるぬるするが結果的に一番確実に剥ける。

1.具だくさん豚汁

 里芋が安いときのレギュラーメニューとして豚汁がいる。
 最初に鍋に昆布と水を入れとけば、初心者の手つきで野菜を切っている間に、まあまあ良い感じに昆布が水を吸って出汁を出しながら元の姿に戻っている。そこに出汁パックを入れる。

かつお節から出汁を取るというのが地味にハードルが高い。出汁をこした後のかつお節を捨てるのも、何かもったいない気がしてしまう。
なので、
レベル1 濃縮出汁を薄める。顆粒出汁をとかす。 
    (必要な出汁が少ないとき、めんどうなとき)
レベル2 だしパックでとる 
    (久世福とか茅乃舎とか、2カップ以上の時)
くらいの感覚だ。
 (ちなみに、こんにゃくの下茹でも面倒なので、切ったこんにゃくをボウルに入れて小さじ1の塩で揉んで、ティファールのお湯をぶっかけて下茹で代わりにしてる)

 大根・にんじん・里芋・ごぼう・こんにゃくを5~6mm厚さに切るのは、火が同じように入るようにするためなんだろうなと思う。あと食べる時に、同じ感じで食材が口に入ってくる。
 味噌を二回に分けて入れるのも、味噌の風味を飛ばさないようにするためとかなのかもしれない。奥が深いな。
 ちなみに里芋がないときはジャガイモで代用する。
 サツマイモでもいける。
 それはそれでおいしい。

2.里芋の揚げだし

これは時間のある時にしかできないが、おいしい里芋レシピだ。
なんせ「里芋を25分間茹でる」。そのあと油で揚げる。

煮物系のこの長時間の茹で工程は地味に料理のハードルを上げる。
レンチンで時短できるならしたくなってしまう。だが、休日などのじかんがあるときはレシピ通りやった方がきっとおいしいのだろう。

 ふきんでゆでた里芋の皮をずるんとむき、やわらかくなった芋を手でぎゅっとつぶすあの感覚は楽しい。
 そしてその芋を揚げ焼きにして、出汁をかける。
 面倒だなと思わなくはないが、材料だった芋がだんだん店で食べるような料理になっていく感覚が新鮮でたのしい。

 個人的には出汁はこっちのみぞれ餡の方が好きなので、勝手にこっちをかけてる。そういう好きに代用したり、アレンジできるのも楽しい。
 我流ではなく、レシピを見て作る出汁なので「どうやるんだっけ?」という失敗がないのも地味に強い。


3.芋煮

 大きめの里芋が手に入ったら揚げだしに、小ぶりだけど良い感じの里芋が手に入ったら芋煮にする。
 芋煮
郷土料理としてかなりの知名度を持つが、自分の住む地域の郷土料理ではないので、実家の食卓に並ぶことはなかった。レシピを見てはじめて作って食べた。だから味の正解はわからないが、おいしければそれで良い。

 素材勝負のレシピなので、味噌と醤油は自分が知る限り良いものを。
 里芋が主役だが、牛肉と白ねぎのスリーピースバンドなので、白ねぎが一本しかなかったらちょっと寂しくなる。
 ごぼうとこんにゃくは名脇役なのだが、主役の邪魔をしすぎないようにこんにゃくの下茹で(お湯ぶっかけ)と、ゴボウのささがき&水さらしは必須だ。(初めて作ったときゴボウを適当に入れたため、めっちゃゴボウ味になった)

 このレシピに限らず、「みんなの今日の料理」のレシピには鍋に入れて加熱した食材を一度取り出すという工程がよく出てくるのだが、これが火の通り具合を調整してるのだと気づいて、面倒でも指示に従うようになった。
生っぽくてかたい芯が残ってるとか、焼きすぎて水分が出たり最悪の場合焦げちゃうとかそういうリスクが減るのだ。

 たとえばこの豚肉とレンコンの炒め煮も、火の通る時間が違うためか、肉を炒めてから一度取り出す。

 話を芋煮に戻すと、味付けや工程は割とシンプルで。牛肉を味噌でいりつけて取り出したあと、酒だけを入れてこそげる工程にもきっと何か意味があるのだろう(知らんけど)。
酒は水よりも蒸発が早く、臭みも取ってくれるので料理酒は意外と重要な調味料だと思う。

 芋煮のイモは柔らかくいてほしいので、僕は二回ある煮込みのところで圧力鍋で三分ずつくらい圧力をかける。ちょうど加圧減圧を含めて10分くらいになるのでちょうど良い。芋が柔らかくなるし、具材が馴染む感じがして普通に煮るよりるよりおいしい気がする。

 1回で大量に芋煮ができるので、余った時には芋煮カレーにもしてみたが、カレールーを入れちゃったせいか自分には少し味が濃くかんじて、芋煮のまま食べる方がおいしかった。次はカレー粉を入れるだけも試してみようかな。

オーブンは敵か味方か

 電子レンジにオーブン機能がある。でも使ったことがなかった。買って以来しまいこまれたままの黒い角皿を取り出し、オーブン調理もすることにした。ビニールに入ったままの黒皿はとてもピカピカと輝いていた。

一度やってみると、思ったより簡単で。
オーブンOKの皿を使えば、黒皿も汚れず洗い物も普段と変わらない。
オーブンで加熱してる間は手が空くので、自由の身。
他の一品物を作るもよし、ちょっと一息つくもよし、だ。
しかも、おいしい。
ワンランク上の料理になる気がして、最高だった。

4.簡単チャーシュー

この簡単チャーシューが自分のオーブンへの扉を開けた。
前日にジップロックなどに入れて漬けておいた肉を、翌日オーブンで焼くだけ。
めちゃくちゃ簡単で、かなり美味しい。
オイスターソースがかなり味の決め手になるので、なるべく良いものを使った方がよさそう。

豚バラのブロック肉が安くなっているときがたまにあるのだけれど、角煮は煮る時間が長いので面倒だなと思うときもしばしば。
そんなときにも、このチャーシューのレシピのおかげで、塊肉でも「買っちゃえ」と思えるようになった。
あまったチャーシューは、翌日の昼とかにラーメンに入れてもおいしい。
休日か休日前の夜に作っておくと、よい週末を過ごせそう。

5.アスパラのパルミジャーノ風

 アスパラガスはベーコンで巻くかベーコンと炒めるかしかしたことがなかったのだが、下処理のミスか火入れのミスか筋がかたくて食べにくいことが何度かあった。
 アスパラガスが安くなっていても、失敗の経験が脳裏をよぎり、買うか迷う野菜だったのだが、オーブンで成功してからは買う頻度が増えた。

 ミートソーススパゲティとかナポリタンにかける以外出番のないパルメザンチーズの蓋を開けて小さじを突っ込む(大さじが入らないので)。大さじ4なので、小さじ12ということになる。
 いつもビビッて小さじ10くらいで止めてしまうのだが、それでも十分おいしい。
 「アスパラを固めにゆでる」のとこもよくわからないので、いつもゆですぎかもしれない。フライパンでアスパラをゆでて、お湯を捨ててその鍋でバターを溶かしてかける。10gずつ切れてるバターが便利だ。

6.グラタン系

グラタンと言えばチキンマカロニグラタンなのだけれど、これがかなりハードルが高い。
・マカロニを茹でて(別の鍋がいる。しかも湯も沸かす)
・ホワイトソースを作る(焦げとダマが厄介)
そして、オーブンで焼く。工程が多いし難しそう。
できたらめちゃくちゃおいしいのだけど、焼き立ては最高なのだけど。
また作ろうとはなかなか思えない。
冷凍のグラタンの手軽さが強すぎる。

そこで便利なのが、とろろグラタン。
ホワイトソースがとろろに、マカロニがネギに代用されている。
作るのが楽だし、味付けも味噌で和な感じでおいしい。

 ベーコンは2つ3つがセットになってるパックで買うことが多いのだが、我が家では使うことを忘れられ、賞味期限的に瀕死の状態になりがちだ。
 長芋もお好み焼きに入れるか、冷凍や乾麺のソバにかけるかくらいしか出番がなく、どちらも量は消費しないので余りがちだ。

オーブンが面倒だったり、レンジが使用中だったりするときは、オーブントースターでもいける。先人たちのコメントを元に、工程や材料を調整できるのもインターネットならではである。

おわりに

 レシピを調べ、料理を作ることで自分の料理スキルが上がっているのを感じる。料理研究家からレシピという情報を通じて修行しているような気分だ。

 時間があるときにはNHK+で「きょうの料理」の番組の動画配信を見るようになった。
 実際に切ったり加熱したりする様子を見る方がイメージが湧く。
 切り方や加熱方法でなぜそれを選んだのかの理由を説明しながら調理してくれるので、そういう理論的根拠のようなものを読んだり聞いたりするのが好きな自分にはぴったりだった。

 特に栗原はるみさんの回、志麻さんの回がわかりやすくて好き。
・栗原はるみさんとアンドレア・ポンピリオさんの回をよく見ていたのだが、調べてみると2013~2019と結構な時間が経っていてびっくり。
・志麻さんは季節ごとにお届けされる小さな台所シリーズの回。これは今年配信されていた。

 まだまだ書き足りないような気もするが、今日はこれぐらいにして。
 いつ書くか何を書くかは全然決めてはいないけれど、もしあるならば次回に続けたいと思う。

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