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余生を唄い明日を憂う

そこに老婆は傘を置いた
まるで私を通したくないように
けれど私の邪魔をしないように


水面に映る自身の姿を
老婆は眺め呼吸をひとつ


雲が早く過ぎ去る空
夏の終わりを告げる風

私はそこにただひとり

傘は風になびき転がり
老婆の足元へ戻る

老婆はその傘を持ち私に向け微笑む
そして詠う

己の死期と夏の暮れを

これを幸と呼ばずして何を幸と人は言う
されど無駄と人は呼ぶ

置かれた傘が風に揺れ付けた傷を
砂利で辿って明日を憂う

これを惨めと呼ばずして何を惨めと人は言う
されど幸と人は呼ぶ

誠阿呆なり
されどこれ天才なり

一瞬の余生を楽しむ人よ
どうか私より幸せになれ


私の靴が付けた軌跡
砂利の上を蟻が歩む

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