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あんこ
2024年12月27日 15:33
【自選10句・2024日日俳句】律動柏柳明子半仙戯ティンカーベルの尖る羽卒業のバスの後ろの二人かな罰として腹話術師は緑蔭に初蟬や後部座席に母を乗せ風に風触れて青水無月の朝大ねぶた闇の律動してゐたり黒猫の振り返らない秋気かな白線の外側にゐて愛の羽根開店を待つ数へ日の商店街探梅の声の眩しくなりにけり【雑感】note「日日俳句」では、2023年1月1日から毎日・1つの俳句(
2024年12月25日 20:11
縁てのひらの友と仰ぎし大夕焼夏夕べ用心棒は肩に乗り黒板にうつすら残る恋歌よ短夜の銀河は海に溶けてゆくさくらさくら悲しいほどにふくらみて紅葉かつ散る山奥の神の滝まなうらに虹おなじ夢より覚めて不器用な花壇褒められ夏の朝夕飯へ走る先生草いきれ妖のかそけき声や月涼し自由てふ先生の眼は夏の空「また明日」と言へる暮らしよ夕焼川夏の夜の仲間や賑やかな誤解うすばかげろふほど
2024年12月17日 19:44
かなしき遊びとほき日の花野は蒼きレクイエムいつもひとり彼女は色なき風の中秋の蝶笑顔の仮面はづさずに爽やかに恥づかしさうに名を訊かれ勝負しませう秋虹の少女たち約束のやう手のひらの青きアメ寝転べば呟き秋の雲となる秋しぐれ名乗ればふたたびの独り花の降る花野こころの鍵捨てて草の花かなしき遊びはじまりぬ妖のこゑの届かず秋暮るる待つうちに少女は秋夕焼の果て八千草にあをく残りし祖母の
2024年12月14日 17:06
いてふちるちはやぶるうのやまひかな「ちはやふる」といえば、百人一首の「ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは」(在原業平)、そして同名の漫画作品が思い浮かぶ。でも、そもそも「ちはやふる」とはどういう意味なのだろうか?こんなにダイナミックで厳か、かつ人間の表現とも関係のある言葉だったのか、と今回初めて調べて驚いた。と同時に、鈴子さんの俳句作品とこの句集に相応しい言葉だな
2024年12月11日 20:31
あの日日盛をくねりて神の訪へる忘却の呪詛に覆はれ夏座敷淡々と負ふ祓ひ屋の理を解術のことば瀑布となりにけり恩返ししたいと炎ゆる目に涙雷鳴と化し放埓な神の四肢約束の果たされ空蟬の屋敷振り向きもせず祓ひけり灼けながら恋ひとつ胸の泉へそれつきり夕焼けて独りの自由吸ひ込みぬ暮れかかる空にあの日の枇杷の色受け取つてきつと今度は甘い枇杷※俳句12句は、放映された物語からインスパイア
2024年12月4日 19:56
のつぺらぼう血の絶えし屋敷や枇杷の燦燦と振り返る先生の眼の黒南風に夏座敷儀式を語る柔き貌約束の神待つ廊下長くながく一門を統べる泉の声をもてふと思ひ出したがごとく枇杷のこと祓ひ屋のふたり下闇ほどの業風死すや今はのつぺらぼうの家炎昼の奥より毬の転がり来小面の昏きまなこへ墜ちにけり※俳句10句は、放映された物語からインスパイアされて作者(私)が詠んだものです。今回、映像から季
2024年12月2日 18:13
昔、「暮れの元気なご挨拶~♪」という歌が印象的なCMがあった(調べたら日清オイリオギフトらしい)。毎年このCMがテレビで流れるたびに「そうか、もう今年も終るか」と思ったものだ。そして現在。CMはめっきり見なくなったが、年一回『ユプシロン』がこの時期に我が家のポストに届くたびに今年の終わりをしみじみ感じている。さて。『ユプシロン』とは関西在住の四人の女性俳句作家たちの俳句誌。No.7とあ