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2024日日俳句 自選10句&雑感

【自選10句・2024日日俳句】

律動

柏柳明子

半仙戯ティンカーベルの尖る羽
卒業のバスの後ろの二人かな
罰として腹話術師は緑蔭に
初蟬や後部座席に母を乗せ
風に風触れて青水無月の朝
大ねぶた闇の律動してゐたり
黒猫の振り返らない秋気かな
白線の外側にゐて愛の羽根
開店を待つ数へ日の商店街
探梅の声の眩しくなりにけり


【雑感】

note「日日俳句」では、2023年1月1日から毎日・1つの俳句(日によっては2句)を掲載してきました。
2024年大晦日で丸2年を迎えますが、それを機に更新・掲載を終了します。

上記の10句は2024年に発表した句の中から選んだ句群にタイトルをつけたものです(実際にはまだ12/31を迎えていませんが、その頃に記事を書いている余裕がないため終了より前にアップしました)。
ご高覧頂ければ幸いです。

2024年・一日一句の感想

感想は2023年と重なるところが多いのですが、2024年は「つくる」という視点で下記3点を追加したいと思います。長文なので適当に読み飛ばして下さいませ😅

画像が無くてもわかる作品をつくる

毎日の投稿を行うにあたりnoteのつぶやき機能を2023年のスタート時から使ってきました。この機能だと俳句(言葉)と共に画像も載せられます。そのため更新の際、次のことを意識しながら毎日アップしていました。

「画像が無くても、俳句の内容や映像が読者にきちんと伝わる(理解される)作品をつくる」

どういうことか。
俳句作品は17音という短さの中、言葉のみで第三者がわかる内容を構成したり映像を描きます。
したがって「画像(映像)があって初めて俳句として何を描きたかったのかがわかる」は本末転倒となります。また、「作者が説明して初めて作者の言いたいことがわかる(自句自解)」では独立した作品とは言えません。よって、俳句作品としてはNGとなります。

何よりコワイのは俳句の隣に画像があると「きちんと詠めた気」に陥ってしまう。でも、実際はそうでないことが多い。アブナイアブナイ💦

ということで、「これは作品として独立してない、アヤシイ……」というものについては画像抜きで俳句作品だけを家人にみてもらい解釈・意見を聞いてからアップしたこともありました。あるいは、後から修正したときも。
でも、いざ2年間の作品を見直すと「これは画像に寄りかかっているなあ」という句も散見され、あああ~💦と今更ながら心の中で雄叫びを上げております。

しかし、「画像と俳句を同時に載せる」という試みは普段とは別の角度から俳句を作る方法を知らず知らずのうちに探っていたことにもなったようで、振り返ると面白い作業だったと思います。

※ちなみに画像以外に短文も一緒に載せていて、それも俳句作品を補完する要素があると思います。それについては本マガジンが俳句ストレッチ(後述)という目的および日記的に始めたということもあり、文章は備忘録として俳句作品とは別に捉えていただけると嬉しいです。

「とにかくつくる」

日々、淡々と俳句を作ることを継続する。
そのことの重要性については他の記事でも書きました。

しかし、特に2024年は心が折れそうになったり疲弊するようなことが続きました。
正直、日日俳句どころではない時も結構あった。こりゃムリだ、辞めようかとも。

「でも。でも、ここで辞めたら……また昔と同じ後悔をするよ」

そんな心の声が響き、何とか続けることができました。
そして、これから年齢を重ねて「俳句を作るのが難しい局面」に遭遇することがもっと多くなるだろう。
その前のよいレッスンと思って続けるんだ。
類句類想でもいいから、とにかくつくる、つくり続ける。

2024年の一日一句は、奇しくもメンタル面の建て直しや自分で自分を励ます練習等の機会となりました。

句会に出さなくても評価される作品をつくる

最近、所属する俳句結社「炎環」の雑誌に投句する作品は「日日俳句」のものを使うことが多いです。その理由の一つに「結社等の句会に出していない俳句作品でも通用するかどうか」、自選力も含めて鍛えたいということがあったからです。

その中で2024年春に発表した、
まんさくや天気の話から勧誘

この作品は評判がよく、炎環誌の天網集(同人作家が指定された月の掲載句から最優秀句一つを選出する欄)に掲載されました。
またこの作品を『角川俳句年鑑2025年版』の諸家近詠の一句として出したところ、他の結社の方からも「好きな作品」と言っていただけました。

それ以外に下記は2023年の作品ですが
米袋抱けば軋む小暑かな

2024年に炎環誌に投句したところ、実力派同人作家お二人が同じ月の天網集の一句として選んでくださいました!
(名前は伏せますが)このお二人は結社内外を問わず活躍している方たち(俳句賞受賞者でもある)。しかもそれぞれ作風が違う。そのお二人が同じ句をその月のベストワンに選出してくれた。
そのことは私にとって嬉しい自信となりました😊

句会などで他者の目(評価)というフィルターを通して自句を客観的に知ることも大事ですが、たまにはこうやって従来の句会システムではなくnoteのようなネットの幅広い場で発表した作品から自分で作品を選び投句するという挑戦もよい経験となり、また訓練になる。
今回の経験からそう思いました。

おわりに

「日日俳句」を始めた目的の一つに「俳句ストレッチ」がありました。

「類句類想の句があったっていいから、毎日一句をつくってネットで公開する。そのことで、すぐに俳句スイッチをオンにできる態勢を鍛える」

そんな俳句作りにおける準備体操と位置づけて、日日俳句に取り組んでいました。句会がないと「メンドクサイ」とつくらないのが本来の私なので……(-_-;)
その意味で一句だけですが、一度も休むことなく二年間更新・掲載できた経験は大きなエナジーを私に与えてくれました。

日日俳句の役割は十分果たされたと思います。
だから、丸二年で終わりにします。
今後は違う形で作品発表をするかもしれません。

最後になりましたが、毎日欠かさず読んでくださった皆様に感謝いたします。
俳句関係者の方もおられれば、俳句とは全く縁のない方もおられると思います。そのすべての皆様とこの2年という時間の中で作品を通じて繋がることができたのであれば、こんなに嬉しいことはありません。

今までどうもありがとうございました。
皆様にとって2025年が幸多きものとなりますように。

そして、今後も記事を書いたり俳句作品を掲載していきます。
よかったらまたこのnoteに遊びにいらしてくださいね😊

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