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あんこ
2024年11月30日 09:46
『風紋』は広渡敬雄さんの第四句集。本句集は、現在発売中の角川『俳句』12月号(2024年)で特集されている。広渡さんは俳句だけではなく俳論やエッセイの分野でも活躍されており、本noteでも取り上げた『全国・俳枕の旅62選』は日本詩歌俳句協会評論部門優秀賞を受賞した。以下に感銘句を引く(全8章、1章ごとに1句ずつ)。白牡丹剪りて空気を断ちにけり団地老ゆ給水塔に夏の雲ケルンより離れて
2024年11月26日 19:50
鼻唄おぼろより人形の指あづかりぬ分かち合ふ秘密よ春の夜のぬくし切れ切れに友の言葉は透明にもうゐない人のてのひら朧月鼻唄に春星ほどの仄白さ寄り道は春満月の滑り台真夜中の儀式のやうに散るこぶし置き去りの人形の眼は月の色花こぶし笑つてくれる友のゐて今は言はず春満月の高々と※俳句10句は、放映された物語からインスパイアされて作者(私)が詠んだものです。今回、映像から季節は「春」
2024年11月21日 17:46
君を待つため息を掠めて紋黄蝶の羽不愛想な自転車の兄春の昼鳥ぐもり祖父と妹はるけくて報酬はエクレア一つ夜半の春手に載せし鍵に朧のけはひかなひこばえや兄の言葉のぎこちなしひとり守る家の廊下の陽炎へる永き日や用心棒は猫のふり鳳凰の書棚春陰の鍵穴二人なら開く扉よ風光る君を待つ春夕焼の兄と祖父未来より降りやまぬ花いつまでも※俳句12句は、放映された物語からインスパイアされて作者
2024年11月15日 20:31
※以下は、筆者の私見であり備忘録です。間違いなどある場合はご容赦くださいませ。現在、NHKのEテレ「100分de名著」では「百人一首」が取り上げられています。先日放送の第二回では枕詞や掛詞、縁語や見立てなどの和歌のさまざまな技巧が紹介されていました。31音を細かく見ていくとさまざまな技巧が繊細に組み合わされており、短い音数の詩型を存分に生かし、世界を膨らませるための効力の素晴らしさがよくわ
2024年11月13日 19:57
ふたたび霧鳥籠のこゑ霧よりもやはらかく廃線やしのつく雨へ緑の眼トンネルは黄泉比良坂蛇行せむ妖の咆哮すさまじき木霊左目のほほゑみ薄く滴りぬ空割れてきこきこと木偶の肢体傘を広げて祓ひ屋は花の下禁術の匂ふ夕闇孕みけりとこしへに欠けし右目よ天炎ゆる泰山木散るほほゑみに影の色雨上がるふたたび霧となる人よ夕焼に縁の少し見えさうな※俳句12句は、放映された物語からインスパイアさ
2024年11月7日 17:34
皆ゐて落日に閃く龍よ山眠る鯛焼を食む先生のまろき頬たからもの割れて友の手冷たくて捨てられず冬の夕べを一人ゆくひとひらの龍の鱗を追ふ冬野寒晴や脱線しつつ仲間たちそつけなき先生の援護冬ぬくし冬天の摑めば光なる鱗虹色の櫛永遠の冬の虹歓声の寒夕焼や皆ゐて※俳句10句は、放映された物語からインスパイアされて作者(私)が詠んだものです。 映像より季節は「冬」と判断しました。インスパ
2024年11月5日 18:25
毎年、秋に発表される結社賞「炎環賞」。20句の未発表連作を対象とした俳句結社「炎環」のコンクールで、今年は二作が同時受賞となった(筆者は本賞のスタート以前より炎環に在籍しているが)二作受賞は珍しいのではないかと思う(いや、もしかして初めて?)。お二方、おめでとうございます!受賞者のお一人は同人作家・北悠休さん。作品「ノクターン第二十番」は、御母堂を見送られるまでの日々を抑えた表現で丁寧