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【短歌】俵万智さんが一青窈さんに往復書簡で短歌のレッスンをする入門書『短歌の作り方、教えてください』がめちゃ理論的で、最高にわかりやすかった! +毎日短歌 10月18-27日分

 短歌の入門書を片っ端から集めている。今回は俵万智さんが一青窈さんに往復書簡で短歌のレッスンをする『短歌の作り方、教えてください』を読んでみた。

 サラダ記念日で言わずと知れた俵万智さん。現代的な短歌の代表格だし、日常を切り取ったようなポップなテイストから勝手に感覚的な人なんだと思い込んでいたけど、そうではなかった。めちゃくちゃ理論的でびっくりした。

 短歌とはどういう性質の表現で、五七五七七の定型を守る意味はなんであり、どういう状況なら字余りが成り立つのかを見事に言語化していた。加えて、単語や助詞・助動詞を文法の視点から説明してくれるので、すべてがちゃんと腑に落ちる。

 さすがは「万智ちゃんを先生と呼ぶ子らがいて神奈川県立橋本高校」の万智ちゃん。国語の先生ってやっぱりすごい。言葉の使い方を熟知しているし、教え方もわかりやすい。

 もちろん、先生がよくても生徒がイマイチだったら化学反応は起きないわけだけど、この本で短歌を学んでいるのは『ハナミズキ』の一青窈さんなので間違いなし。作詞家として定評があるから短歌も独自の感性があふれまくっていた。

 とはいえ、歌詞と短歌は全然違うらしく、最初のうちは定型にしっくりきていない様子。端的に言えば、歌の場合は音楽や歌い方で感情表現ができるため、盛り上がるサビ部分はあえてベタなフレーズの方が上手くいくらしい。「愛してる」とか、「君が好き」とか、ストレートがバチっと決まる。

 一方、短歌は言葉がすべてなので、ベタなフレーズは陳腐な印象になってしまう。歌詞で言えば、AメロやBメロなどフリとなる部分にフォーカスを当てた方がいいかもと俵万智さんはアドバイスしていた。

 で、二人はメールのやり取りを始めていく。一青窈さんが作ったものを俵万智さんが鑑賞し、こういう風に発展させていくことができるよとコメントをしていく。これを受けて一青窈さんが推敲するというラリーを何回も繰り返していく。なんと一年半も続けたというから驚きだ!

 短歌は自由と言いつつ、いざ、作ってみると短歌らしいか否かが見えてくる。また、これまで人々は短歌をどう楽しんできたか、どう評価してきたか、長年の蓄積が歴史として存在しているのも事実。してみれば、自然とその大きな流れとのつながりが意識されてくる。

 そして、そのつながりを通して、俵万智が語る言葉の中に多くのヒントが散りばめられていて、勉強になることがたくさんあった。

 例えば、短歌における主語はなんなのか、こんな風に説明していた。

短歌って何も書いてなかったら主語は"私"なんですね。だから、その風景なり出会ったものなりに自分がどう関わったかということがひとつないと、その人のオリジナルな歌というのは、成立しない。

俵万智・一青窈『短歌の作り方、教えてください』24頁

 一字あけや句読点、カギ括弧など見た目上の工夫に関しては特別な意志があるならいいけれど、基本的には避けた方がいいらしい。

見た目で空白を作るのではなく、内容や言葉のつらなりの中で、読む人の心のなかに空白を生み出すのが一番です。

俵万智・一青窈『短歌の作り方、教えてください』61頁

 つい、耳心地がいいから使ってしまいがちな慣用句が与える印象も言われてみれば、その通りと気づかされる。

「後の祭り」というような慣用句は、簡単につかうと歌が陳腐になってしまうので要注意です。

俵万智・一青窈『短歌の作り方、教えてください』83頁

 語数を合わせる関係で、体言止めは便利なんだけど、インパクトがあるためリズムに影響が出るというのも然もありなん。

名詞が出てくるたびにリズムがそこで途切れてしまうので、名詞で止めるのは、できれば一回におさえたいところです。

俵万智・一青窈『短歌の作り方、教えてください』87頁

 また、詩を詠むときってエモい気持ちになっているから、フワッとした雰囲気に惹かれちゃうんだけど、「も」で解釈をぼやかせると伝えたいことが伝えられない危険があるんだとか。

「も」は、要注意の助詞です。「も」をつかうことで、ふくみをもたせることができるし、口あまりもまろやかになるのですが、それこそが落とし穴。短い詩型ですから、ぼやかすよりは、きっちり焦点を絞ったほうが、印象が鮮やかになります。

俵万智・一青窈『短歌の作り方、教えてください』95頁

 擬音語もねぇ、使えるとセンスあるような気がしちゃうけど、その発想自体がナンセンスというジレンマはどうしたものか……。

オノマトペは、ごく普通のつかいかたをしてしまうと、普通よりマイナスなイメージになってしまうという、やっかいな面があります。

俵万智・一青窈『短歌の作り方、教えてください』122頁

 などなど、一部を引用しただけでも、今日から取り入れることができる方法が簡潔に述べられているのだ。たぶん、ちゃんと整理したら短歌の教科書として義務教育で使える内容になっている。それがメールというカジュアルなコミュニケーションの中で示されているのだから半端ない。風呂上がりのビールみたいにすーっと身体の中へ入ってくる。

 さらにこの本が面白いのは穂村弘さんや斉藤斎藤さんを交えた吟行会だったり、題詠歌会だったり、短歌にまつわるイベントが特別企画として収録されているところ。しかも、俵万智さんがそれらに対する苦手意識を赤裸々に口にしているから面白い。

 読むまではカジュアルな本だと思っていたけど、意外や意外、ど真ん中の入門書だった。ここに書いてあることを参考にしながら推敲をしたら上手になれるような気がする。

 さながら短歌版家庭の医学! 一家に一冊、置いおこう!



10/18 お題「裏」

おもてなし苦手な部下は裏表ない性格で
好感持てる

 ドラマ『TRICK』のスペシャルかなにかで、「占いでおもてなーし」というセリフがあって、ものすごく印象に残っている。そうか、占いって、おもてなしってことだったのかと。

 でも、実際のところ、裏も表もなかったら上手におもてなしなんてできないだろうなぁと思う。気遣いって、いい意味で相手の裏をかく行為というか、素直なだけでは務まらないから。ただ、いつ誰を相手にしても態度を変えない人間は素敵でもある。


10/18 一字題「芋」

掘ってきた芋で天ぷらたんと揚げ
〆は味噌汁炊き込みご飯

 さつまいも掘りって楽しいよね。大量に持って帰って、天ぷらにするのが幸せ。でも、ついつい揚げ過ぎちゃってあっという間にお腹一杯になってしまう。

 それでも味噌汁と炊き込みご飯は欠かせない。もちろん、どちらにも甘いさつまいもをたっぷり入れる。デザートは焼き芋かスイートポテトかな? 笑

 結局、なにをどうしたって美味しくなるから凄い食材!


10/18 テーマ「月夜」

スーパーなムーン見ようとLINE来て
すぐに飛んでく君の星まで

 スーパームーンって言葉、いつから使われるようになったんだろう。子どもの頃はなかった気がする。ただ、誰かと夜空を見上げるときに便利なフレーズだなぁと思う。

「今日、スーパームーンだよ。見よう、見よう」

 いつか、宇宙を好きに飛び回れる時代になっても、そんなやりとりだけは残ってほしい。 


10/19 お題「水」

休日が前後に遠い水曜日
自殺者が増えやすいんだとか

 この前の週末で回復したエネルギーは切れてしまっているし、次の週末までは距離があるし、水曜日って七曜日中一番しんどい。早く、週休3日制が当たり前になってほしい。水曜日はのんびり過ごしたいもの。

 むかし、ARBが『灰色の水曜日』って歌ってた。

届かない想い
引き裂かれてく絆
何もなかったように
雲は流れていくさ
灰色の水曜日よ

ARB『灰色の水曜日』

 曜日なんて人間が作ったもので、それでいちいち憂鬱になったりしているけれど、自然にしてみればまったく関係ないんだよね。というか、それで言ったら、人間のあらゆる悩みが自然レベルだとどうでもいいこと。だったら、逆に、みんなが明るく生きられる仕組みを作り出したいね。

 ちなみに自殺者数の曜日ごとのデータは以下の通り。男女で差があるみたい。

男女別にみると、男性は「月曜日」が最も多く50.6人、「日曜日」が最も少なく34.0人であり、女性は「水曜日」が最も多く21.9人、 「日曜日」が最も少なく17.9人であった。なお、「祝日・年末年始」については男性が
31.4人、女性が16.6人であった

厚生労働省『令和4年の月別・曜日別の自殺の状況』よりhttps://www.mhlw.go.jp/content/r5hs-1-1-05.pdf


10/19 一字題「坂」

この町のなんてことない坂道も
数字つければアイドルになる

 乃木坂からはじまって、「坂道+46」のアイドルグループがすっかり定着。有名な坂町に数字をつけて検索すると、パロディ地下アイドルだったり、大学生のアイドルサークルだったり、いくらでも出てくる。

 いまや当たり前だけど、乃木坂46がデビューした2011年より前には考えられない価値観。というか、乃木坂なんてもともと乃木大将の乃木なわけで、清楚な女の子たちのイメージなんて一ミリもなかった。だいたい、現地に華やかな雰囲気もないわけで、イメージの力ってとんでもない。

 さて、わたしが育った街には馬坂という坂があったんだけど、馬坂46というアイドルが出たりするかな? まさか! まさか! であり得たりして。


10/19 テーマ「まみれ」

なんとなく詠んだ短歌が評判で
いいね中毒まみれる欲に

 こうやって短歌をウェブ上で後悔していると、ありがたいことに「いいね」をたくさんもらえることがある。気にしてないつもりだけど、その数が積み重なっていくのを見るとニヤニヤしてしまうのが人間というもの。

 で、いいねが欲しくて似たような短歌を詠んでみるんだけど、同じような反応をもらえないのが世の常で、そうなると満たされない欲求に「次こそは!」と力が入ってしまったり……。ほんと、中毒になってしまう。


10/20 お題「曇り」

曇天の日しかカメラを回さない
ギリシャ映画で晴れるや心

 ギリシャの映画監督テオ・アンゲロプロスは曇りの日しかカメラを回さないことで有名なのだが、そのことを知らず、池袋の新文芸坐の「アンゲロプロス三本立てオールナイト」で10時間近くぶっ通しでその世界観を浴びに浴びた学生時代のわたしは「ギリシャって晴れない国なんだ」と完全に信じ込んでしまった。

 もちろん、地中海でそんなはずはなく、むしろ、曇りなんて珍しいらしい。なのに、そんな風にして、観客の中に現実と異なる現実を作り出せてしまう点に映画の凄まじさを思い知らされた。


10/20 テーマ「シチュー」

白米にかけるなんてあり得ない!
十年前はケンカしてたね

 シチューをご飯にかけるか否か。これはもう永遠の論争のように思われる。うちも一緒に暮らすパートナーと意見が合わず、同棲当初はそれなりに言い争った。

 あれから10年。当たり前のようにかけている。冷静に考えて、ドリアがあれだけ美味しいことを踏まえれば、シチューご飯がまずいわけないんだよね。その辺は本当、育ってきた環境が違うからぁ〜♫ ってやつで、環境が変われば自然と馴染んでくるのさ。


10/20 一字題「髪」

「髪切った」明日の日記に書いたから
あしたは髪を切ることにする

 未来日記。バカみたいだけど、それぐらい行動が決まっている方が楽だなぁと感じるときはある。明日の休みはなにしようなんて考え始めたら、少しでも有意義に過ごしたいばかりに悩みに悩み、どうしようもなくなってしまうから。

 寺山修司の『わたしのイソップ』が好き。

 肖像画に
 まちがって髭を描いてしまったので
 仕方なく髭を生やすことにした

 門番を雇ってしまったので
 門を作ることにした

 一生はすべてあべこべて
 わたしのための墓穴を掘り終ったら
 すこし位早くても
 死ぬつもりである

寺山修司『わたしのイソップ』

 生きたくて生まれてきたわけではなく、生まれてしまったから生きているわたしたちにとって、あべこべは本質的なあり方なのだろう。なにをしたいかではなく、なにをすべきかで行動する方が結局は楽。

 でも、それだとあまりに無責任過ぎるから、いまここに存在することを大切にしろとサルトルは言った。いわゆる実存主義というやつ。

 その必要性は承知の上で、あまりに弱いわたしは未来日記に憧れてしまう。


10/21 お題「死」

人口の減少止める決定打
今日からみんな死ぬこと禁止

 中学生の頃、X51.ORGが好きで毎日夜遅くまで読み耽っていたのだけど、その中に死ぬことを禁止する法律が提案された街の話が出てきた。

ブラジルはビリチバ・ミリン市にて、市民が死ぬことを禁止する法律が市長によって提案され、物議をかもしているとのこと。市長のロベルト・ペレイラ・ダ・シルバ氏がこの法律を思いついたのは、現在同市の墓地が既に満杯であり、拡大不可能であるからだと述べている。またロベルト市長によれば、この法律は、例えばもし誰かが死にそうになった場合、その親族などに適用されるとし、市民が健康に適切に配慮しない場合にも同様も違法と見なされることになるという。

X51.ORG『死ぬことを禁止、市長が立法を提案 ブラジル』より

 むちゃくちゃだけど、手段と目的を入れ替えてしまえば、こういう理屈も通るのかと感心してしまった。逆に言えば、我々もなんのためにそれをやっているのか、わからなくなったら、これぐらい荒唐無稽な提案をしてもおかしくないというわけで、東京オリンピックや大阪万博を見ていて、つくづくそう思ってしまう。


10/21 一字題「明」

眠れないまま窓の外見ていたら
夜明けに追い越されてしまった

 最近はフリーランスみたいな働き方なので、基本的にはいつ寝て起きても問題なくなったけれど、働いていた頃は不眠症でけっこう悩まされていた。寝なきゃいけないのに眠れない。焦りが募って仕方なかった。

 やがて、鳥の鳴き声が聞こえてきて、目を開けるとカーテンの隙間から朝日が室内に入り込んできている。そんなとき、夜明けに追い越されてしまったなぁと悲しい気持ちになったものだ。


10/21 テーマ「未遂」

今回の自殺は未遂だったけど
昨日はちゃんと成功したの!

 自殺を繰り返してしまう人っているけど、そんだけやっていたら、一回ぐらいはうまくいっているんじゃないかなぁと素朴に思った。もちろん、そんなはずないんだけどね。


10/22 お題「駅」

この駅でいつもたくさん降りるけど
そういや誰も乗ってこないね

 通勤電車に乗っていると大きな駅でたくさんの人が一斉に降りてしまって、さっきまでの混雑はなんだったのだろうと戸惑うぐらい車内はガラガラになったりする。

 当然、帰宅時間になったら、その駅でたくさんの人が一斉に乗ってくるんだけど、万が一、そうじゃなかったら恐ろしいなぁなんてことをいつも考えている。その街に集められた人々はどういう目に遭っているんだろう。


10/22 一字題「禁」

掌の露出禁じて五十年
いまや手袋外しはどエロ

 むかし、『鶴瓶・上岡パペポTV』でいやらしいものは普段見えないものなのだから、あえて、見えないものを作ればいやらしくなるんじゃないかとくだらないことを話し合っていた。

 そこでは小指を見せちゃダメと法律で決めれば、いつか、「おこゆび」なんて響きに若い女性が頬を赤らめるんじゃないかと嬉しそうに笑っていた。バカバカしいけど、現在、エロいとされている身体のパーツがなぜエロいのかを考えていくと、その根拠は曖昧なわけなので、あながち、そんなものかもしれないと納得してしまった。


10/22 テーマ「気配」

友だちの思い出話聞きモヤる
その日わたしも一緒にいたよ

 地元の友だちと久々に会ったりすると、昔話で盛り上がり、あのときあんなことがあったんだよとみんながわたしに詳細を教えてくれたりする。最初は楽しく聞いているんだけど、だんだん、TSUTAYAで同じDVDを借りてしまったときみたいに次の展開が完璧に読めてくる。

 てか、そこにわたしもいたんだけど!

 もちろん、口に出せるはずもなく、まるで初めて聞いたかのように作り笑い。これ、めちゃくちゃへこむんだよね……。


10/23 お題「穴」

昨日から庭に大きな穴が開き
「麻里子カモン」と母呼ばれてる

 星新一の『おーいでてこーい』が好き。ある日、ぽっかりと空いた穴の向こうに「おーいでてこい」と呼びかけてみても、一向に返事がないから、こりゃ便利だとゴミやら死体やら都合の悪いものを投げ捨てていく。ところが、やがて、空から「おーいでてこい」と聞こえてくるというオチに教科書に載っている小説とは思えないほど心つかまれた。

 以来、穴といえば呼ぶか呼ばれるかが自分の中ではセットになってしまっている。その先になにがあるのか。誰が待っているのか。気になってしまうのだ。


10/23 一字題「家」

「おかえり」と駆け寄る子どもじっと見て
父は尋ねる「誰だお前は?」

 うちの祖父がアルツハイマー病気なったとき、孫であるわたしに「誰だお前は?」と怖い顔して言い放ったらしい。小学生の頃だけど記憶は定かじゃないけれど、母から当時のショッキングな出来事として何度も聞かされているうち、いまでは鮮やかな思い出になってしまった。

 なんとなく、すべてを忘れてしまっても、可愛い孫のことは覚えているんじゃないかと楽観視していた部分がみんなあったのだろう。でも、病気にそんな配慮はなく、平等にわたしも忘れられていた。


10/23 テーマ「図書カード」

誕プレに三千円の図書カード
お前は親戚のおじさんか!

 友だちがあるとき、いいこと思いついたと言った。誕生日プレゼントになにを買っていいかわからないから、とりあえず、図書カード渡せばいいんじゃない? と。たしかに! とその場では盛り上がったけど、後ほど、冷静に考えてみたら、それって親戚のおじさんじゃんと気がついた。

 もちろん、図書カードは嬉しいけれど、友だちからもらうのはなんかね笑


10/24 お題「鞄」

四角くてゴツいバッグを背負ってる
山野のあだ名ウーバーイーツ

 山野くんのあだ名はウーバーイーツ。配達しているわけでもないのに、なんで、いつもあんな大きなバッグを背負っているんだろう?


10/24 一字題「罠」

罠だとはわかっているがかまわない
もっと来て来てハニートラップ

 政治家でも芸能人でも、ハニートラップに引っかかったと言う人がいるけど、それって気がつかないものなのだろうか。気がついているけど、ままよとて、いったれ! と覚悟を決めた結果なんじゃないかと疑っている。

 実際、人生における充実度を計算したとき、仕事で秘密を抱え続けて得られる利益はたかが知れている。だったら、素敵な異性と素敵な時間を過ごす方がいいと考える人が現れてもおかしくない。

 幸せって何だっけ、何だっけ?


10/24 テーマ「バイト」

ブラックな職場で鬱になるよりは
ワンチャン闇バイト選ぶっしょ

 闇バイト事件が相次いでいる。そんな怪しい求人に手を出すぐらいなら、まじめに働けと思う反面、真面目に働くことでバカを見る世の中なのもたしかであり、そりゃ、闇バイトがなくならいわけだと絶望する。

 安い給料でハラスメントに遭って、精神壊されるリスクを考えたら、逮捕されるかもしれないけど、闇バイトで他人を傷つける方が当事者にしてみればよっぽど安全なのかもしれない。

 というか、ブラックと表現される仕事からして、すでに闇は始まっているのであって、決して遠い話ではない。


10/25 お題「靴」

王子様! マジでわたしがシンデレラ!
入らないのは浮腫んでるだけ!

 つい、言っちゃうと思う笑


10/25 テーマ「惨敗」

悪口を言ったつもりが感謝され
頑張ってると褒められちゃった

 どんな勝負でもいいんだけど、負けたとき、悔しさから相手に嫌味っぽいことや負け惜しみを言ってしまいがち。それに対して、眉をひそめられたら、険悪にはなるけど「お互いに嫌い」という結論で心が落ち着いたりもする。

 ただ、そこで勝者に励まされてしまったら、こちらの心が乱れていることを受け止められてしまったみたいで、ああ、本当に勝ち目がなかったんだと徹底的に打ちのめされてしまう。その瞬間はけっこう落ち込む。でも、おかげで相手との関係が築けるかもしれず、長い目で見たら救われるんだよね。


10/25 一字題「声」

国民の声を聞いたと言うけれど
うちらなんにも聞かれてないよ

 政治家は国民の声を代弁している風にいろいろ語るわけだけど、こっちからすると、なにも聞かれてないんですけどって戸惑ってしまう。それが小選挙区で受かった政治家ならまだわかる。しかし、比例復活のお前。お前はダメだ。

 小選挙区で落ちるってことは選ばれなかったということ。なのに、政党の都合で復活してくるって、国民の声を完全無視しているよね。比例復活だけは早く廃止しなくては。


10/26 お題「数学」

この問いがわからないのと声かけて
放課後カフェでぐだる青春

 数学の難しい問題を教えてもらう設定で、放課後、駅前のサンマルクでデートっぽいことをするのが好きだった。付き合うほど踏み込んだ関係ではないけれど、定期的に何時間もおしゃべりをするのはなんであんなに楽しいのだろう。

 そのせいか、やたら数学の成績がよくなってしまった。


10/26 一字題「悪」

汚れてる川に洗剤流し入れ
いいことしたと胸を張る会

 環境保護活動をしているつもりが、実は科学的な知見に基づくと環境破壊だったみたいな話はよくある。なにかしらやっているという達成感は気持ちいいけれど、それが本当に意味のあることなのか、自分では判断できない。案外、悪とされている出来事の多くはそういう認知の歪みによるものなのかも。

 よかれと思っていた……。

 仮に純粋な悪が存在するとしたら、きっかけはそういう独りよがりな善意な気がする。


10/26 テーマ「上げ底短歌」

上げ底に騙されるのは一度だけ
やったら終わり死のドーピング

 セブンイレブン側がいくら弁明をしたとして、上げ底のイメージが覆ることはもはやない。

 最初に上げ底を導入した際は、ステルス値上げの成功で利益率は向上、担当者はナイスな工夫をしたとして褒められたに違いない。ただ、それは死のドーピング。目の前の小銭を手にするため、長い時間をかけて積み上げてきたブランドイメージを毀損しているだけなのだ。


10/27 お題「喫茶店」

貧乏はつらいが素敵な喫茶店
近くにあるしあなたもいるし

 お金がないのはつらい。これはもう絶対である。

 だけど、なぜ生きていけるのかと言えば、素敵な喫茶店が近くにあったり、素敵な人たちと交流があったり、お金では買えないプライスレスに恵まれているから。それって実は奇跡みたいなことなんだと思う。


10/27 一字題「選」

選んでるつもりで選ばされている
自由なようで不自由な日々

 選挙の会場でリストを見ながら、誰に投票しようかなぁと考えるわけだけど、うちの地区は長妻昭さんが強過ぎて、他の政党が明らかに手を抜いているため、投票先に悩みようがなかった。

 たしかにわたしは自由に投票した。でも、投票させられたと言った方が実感に近い。


10/27 テーマ「青春を感じる短歌」

自転車で半日かけて海を見て
半日かけて帰るだけでも

 中学生の頃、自転車で横浜まで行き、海を見るってことが流行った。うちの地元からはだいたい半日かかるんだけど、男の子も女の子も、休日に約束し合って自転車をこぎまくっていた。ちなみに電車で行けば片道800円ちょっと。子ども的には高かった。

 とはいえ、行きに半日かかるということは帰りにも半日かかるということで、横浜についたところでできることなどあまりない。中華街でご飯を食べて、みなとみらいで海を見て、そろそろ帰らなきゃ! と忙しい。

 でも、それでよかったんだよね。というか、それがよかったんだと懐かしい。




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