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【短歌】センスあふれた歌に憧れて、木下龍也『天才による凡人のための短歌教室』を読んでみた! + 毎日短歌 12月7-16日分

 毎度、短歌の入門書を読んでいるわけなのですが、今回は木下龍也さんの『天才による凡人のための短歌教室』を読んでみた。

 木下龍也さんというとSNSでよく目にするキャッチーさと独自の角度が魅力的。また、ネット通販で「あなたのための短歌1首」という単価の販売を行うなどビジネス的な面白さもある。

 もちろん、作品も素敵で、わたしは「飛び降りて死ねない鳥があの窓と決めて速度を上げてゆく午後」や「ささみ・むね・もも・すね・てばにわけられて天国でまたにわとりになる」、「生前は無名であった鶏がからあげクンとして蘇る」といった鳥シリーズが大好き。

 そんな人が『天才による凡人のための短歌教室』なんてタイトルをつけるとは、めちゃくちゃ挑発的だなぁとページを開いたところ、なるほど、そういう意味だったのねと冒頭からひっかけられる。

はじめに

僕は天才ではない。

正確に言うと、僕にとって僕は短歌の天才になりえない。

なぜなら僕には僕の短歌の意図、構造、工夫がすべてわかってしまうからだ。

一首の完成度について言えば現役の歌人の中ではトップクラスだと思う。

それでも僕にとっては僕の短歌がこの世でもっともつまらない。

僕が披露できるのは手品であり、魔法ではない。

タネも仕掛けもある僕の短歌は僕の胸をどうしても撃ち抜くことができない。

2011年から短歌を始め、そんな絶望にたどり着い2017年に「天才による凡人のための短歌教室」を開催するようになった。

僕にとっての短歌の天才を見つけるためだ。

これまでに培ったいくつかのコツを、まだ短歌を始めていない未知の天才に、短歌を始めたばかりの未来の天才に伝え、なるべくはやく天才になってほしいからだ。

僕にとって最高の一首をつくるのは僕ではない。

この本を開いたあなただ。

木下龍也『天才による凡人のための短歌教室』はじめにより
※改行は引用者が変更。書籍では美しく配置されています。

 驚くなかれ。天才はわたしたちの方だったのだ。そんなこと言われたら、やる気が出ちゃうよね。だから、盛り上がってページをめくったところ、今度は「引き返すならいまである」という警告されるのでギョッとする。

 短歌の道を進んだ先輩として、この先を行っても幸福があるわけじゃないと重要なアドバイスがなされる。加えて、数多ある表現の中で短歌がベストなのかを尋ねてくる。

 例えば、愛がテーマであるとする。愛する人が目の前にいるなら直接伝えた方がいい。離れたところにいるならラブレターを送ればいい。いまこの瞬間の愛を残したいなら写真や動画を撮った方がいい。いずれにせよ、現在にフォーカスを当てるなら短歌は向いていないという。

 じゃあ、短歌はなにに向いているのか。木下龍也さん曰く、これまでを残し、これからを生きやすくするための御守りとしては役に立つとか。

短歌は過ぎ去った愛を、言えなかった想いを、見逃していた風景を書くのに適している。それらを、あなたがあなた自身のために、あなたに似ただれかのために、結晶化しておくには最適な詩型だ。記憶の奥にある思い出せない思い出を書くことには最適なツールなのである。思い出とはこれまでだ。

木下龍也『天才による凡人のための短歌教室』はじめにより

 このようなことが「はじめに」の7ページという短さの中に凝縮している。短歌ってすごいかも。そう思わせてくれるに十分過ぎる。かつ、自分も短歌を詠んでみたくなる。あまりにも鮮やかな導入だ。

 そうして、読み進めていくと上達に必要なテクニックが惜しみなく紹介されているので、めちゃくちゃ嬉しい。こういうのが知りたかったんだよ! ってやつ。ネットで探しても全然出てこない虎の巻にホクホクしてしまう。

 特にやばいのはこれ。

(困ったら)雨を降らせろ。月を出せ。花を咲かせろ。鳥を飛ばせろ。風を吹かせろ。ひかれ。だれか、何かを待て。時間、空の様子、季節を述べろ。

短歌をつくっていて「あと二文字足りない」「シチュエーションが思いつかない」「どうも締まりがない」などと困ったときはこの言葉を思い出してほしい。花鳥風月は現代人にはあまり親しみがないからこそ一首を短歌らしく引き締めてくれる小道具になる。同じ内容の短歌でも晴れの日と雨の日では印象がまったく違うのにもかかわらず「雨」と書いておけば雨が降るのだから、演出方法としては映画の撮影なんかよりずっと楽だ。

木下龍也『天才による凡人のための短歌教室』72頁により

 いわゆる小手先の技なんだけど、まず、これを知っているだけで短歌に対する苦手意識がなくなるので超重要。

 多くの人が日記感覚で一日一首詠んでみようかなぁと短歌を気軽に始めがち。かく言う、わたしもその一人でなんとなしにそういう生活をスタートさせた。で、ある困難にぶつかった。短歌らしくならない!

 一応、言葉を並べていけば57577にはなる。ただ、単にそれだけだと標語っぽくなってしまうというか、短歌らしさが漂わない。手探りに古語を使ってみたりもした。雰囲気は漂うも自分の言葉ではないので借り物感が半端ない。そもそも意味が合っているのかもわからないので、だんだん負担になってくる。

 ところが、なるほど、雨を降らせればよかったんだなぁと腑に落ちた。それだけで短歌らしさが如実に出てくる。

 たぶん、この手法を知っているベテランが見ると、「こいつ困って雨を降らせてるよ」とバレちゃうんだろうね。でも、雨を降らせなきゃいけない段階でそんなことを気にする必要はない。むしろ、雨を降らせて、短歌のリズムを掴んでいくことの方が大切。そういう意味では木下龍也さんの教えは心の支えになる。

 そして、そのことを示唆するように本の終わりは「木下龍也を信じるな」という強烈な一言で締められている。

歌人は短歌というパズルに言葉というピースをはめながら、最終的に自分自身がピースとなり、短歌の歴史にはめられるかわいそうな生き物なのかもしれません。

木下龍也『天才による凡人のための短歌教室』おわりにより

 改めて、短歌ってヤバいね!


◇毎日短歌 12月7-16日分


12/7 お題「ペガサス」

ラーメンズ中毒だった後遺症
飛騨の字を見てペガサス思う

 ラーメンズが好きで好きで堪らなかった。実質、解散状態なのは残念だけど、YouTubeに動画は残してくれているからありがたい。

 その中でも大好きなのは「不思議の国のニポン」で、飛騨高山と聞くと毎回、ペガサスフライ! というボケを思い出してしまう。


12/7 一字題「味」

この味がわからないとは子どもだな
五歳が二歳にピーマンマウント

 これ、実際は回転寿司で隣の席に家族連れがいて、子どもたちがわさびを巡ってこんな会話をしていた。わさびが食べられないなんて子どもだなぁって。

 そういうのってあったよね。わたしの場合はイカの塩辛が好きと言って、まわりの大人たちから将来は酒飲みになるぞと言われることに満更でもなかった。


12/7 テーマ「パスタ」

パスタって家で作ると安いのに
外で食べるとどうして高い?

 貧乏な自炊の代名詞はパスタなのに、外で食べるとめっちゃ高いのなんでだろう? ずっと思ってた。まあ、ワタリガニとか使っていたら納得だけど。

 でも、ペペロンチーノ。お前は安いだろ! そういう意味ではサイゼリヤって凄すぎる。あの値段で出してくれたら大満足。

 とはいえ、シンプルな料理だからこそ、シェフの腕で差がつくから高くなるってことなんだろうね。


12/8 お題「バス」

行き先の表示されないバスに乗り
運ばれていく我らは派遣

 大学生の頃にやっていたセブンイレブンのサラダ工場の派遣がこんな感じだった。夜、郊外の駅に集められ、行き先の書いてないバス停に並ばされる。時間がくると行き先の表示がない謎のバスがやってきて、みんなでそれに乗り込む。

 これは心が荒むなぁと頭の中でエミネムの8 Mileが勝手に流れた。ただ、そんなバスの中で楽しそうに会話している夫婦がいて、休憩時間も二人で仲良くお弁当を食べたりしていた。幸せな本人次第なんだと思い知らされた。


12/8 一字題「農」

タワマンのそばで枝豆育ててる
地元農家に脱税疑惑

 枝豆ではないんだけど、うちの地元にそういう人がいた。タワマンの隣で野菜を育てているおじいさんで、対比誰がハンパないと素朴に眺めていた。

 ところが、あるとき、おじいさんが脱税で取り締られたという噂が流れた。なんと、地主で超金持ちだったのだ。タワマンを建てられる場所で野菜を育ってるって、考えてみれば最強の贅沢だった。


12/8 テーマ「箸」

祖父の骨ポロリ落として粉々に
三途の川で溺れてるかも

 去年、祖父が急になくなり、火葬してきた。そこで箸渡しの説明を聞き、これが三途の川を渡る箸にかかっているとはじめて知った。

 へぇーって言いながら、弟と一緒に祖父の骨を持ち上げたのだけど、バランスを崩してポロリと落としてしまった。溺れちゃったかも。ごめんね、おじいちゃん。


12/9 お題「亀」

乙姫も亀もいいやつだったのに
玉手箱だけ悪意あらんや

 太宰治が『お伽草紙』で浦島太郎について、そんな風に言っていた。亀も織姫もいいやつなんだから、なにも悪いことをしていない浦島太郎に意地悪はしないだろう、と。だとすれば、玉手箱もポジティブな贈り物に決まっている。

 わたしたちは歳をとるって悪いことのように思ってしまうけど、案外、幸せなことなのかもしれない。そのことを織姫は知っているから、浦島太郎を白髪のおじいさんに変えてしまったのかもね。


12/9 テーマ「職員室」

教室と職員室で別の顔
先生だって大変なのよ

 小学生の頃、用事があって職員室に行ったとき、教室では明るく元気な先生がげんなりした表情で座っているところを見て、申し訳ない気持ちになった。

 そうか。先生は頑張っていたのか、と。大人が苦労しているって、子ども心には考えたこともなかったので、かなり衝撃を受けたものだ。


12/9 一字題「歌」

同世代カラオケ行くと歌いたい
曲がかぶってピリカピリララ

 年末年始、地元の友だちと再会し、カラオケに行くと、まあ、盛り上がる。いきものがかりとか、普段、そんなに聞かないけれど、どの歌もみんなフルで歌えるんだよね。

 最近はカラオケ文化も廃れてしまって、ヒット曲も素人が歌うには難しいものばかりになってしまったので、90年代から2000年代が懐かしい。


12/10 お題「布団」

朝起きてご飯を食べて有意義な
今日にしたいが布団出られず

 正月こそ、時間があるんだし、運動して勉強して成長を目指すぞ!

 と、思うまではいいんだよね。同時に正月ぐらいゆっくりしたいと布団に入り、ゴロゴロするのが人というもの。あーあ。いつもと変わらない。


12/10 一字題「字」

友だちの結婚式で思い出す
習字ならっておけばよかった

 わたし、手書きの字がめちゃくちゃ汚くて、でも、いまの時代に文字を書くことなんてないし、別にいいやと開き直っている。でも、結婚式を筆頭に未だ手書きが必要な場面はちょくちょくあるんだよね。

 本当、ユーキャンのボールペン字講座とか受けなきゃな。名前すら下手って、大人としてダメなやつって感じがしちゃう。


12/10 お題「カタカナをどこかに入れた短歌」

「スペインニ、ニホン、カタカナ?」
「きついっしょ」
夜勤終わりに喜ぶ二人

 前回のワールドカップのとき、コンビニではなかったけど、そんな会話をしている人たちがいた。片方は外国人で、日本を応援している感じにへーっと思った。

 まさかスペインに勝つとはね。結果を知ったとき、ビックリしただろうなぁ。


12/11 お題「二日目」

二日目のカレーは香り飛んじゃって
旨くないはずなのに旨いね

 二日目のカレーは美味しいって、定説みたいだけど、科学的にはあり得ないらしい。なぜならスパイスの香りは揮発性が高いので置けば置くだけ飛んでいくから。

 でも、二日目のカレーって美味しいよね。もしや、わたしたちはスパイスをそんなに好きじゃないとか! ……あり得る。


12/11 一字題「鶏」

鶏肉とチキンの違い見つけたり
箸で食べるかフォークで食うか

 鶏肉とチキンって言い方を変えるだけで、料理の印象が変わるなぁと前々から思っていた。

 箸で食べるものは鶏肉で、ナイフとフォークで食べるものはチキンのイメージ。つまり、和洋の違いということなのか。

 でも、そんな単純じゃないかもって疑問が次の短歌で生じてくる。


12/11 テーマ「チキン」

鶏肉とチキンの違い見つけたり
テリーが揚げてかあさんは煮る

 鶏肉とチキンって言い方を変えるだけで、料理の印象が変わるなぁと前々から思っていた。

 唐揚げの場合は鶏がいい。でも、大戸屋の母さん煮定食はやっぱりチキン。そうすると和洋でわかれているわけではなさそう。作り手の男女差なのかな? ただ、唐揚げは母さんも揚げるしね。奥深い秘密がまだまだありそう。


12/12 お題「刺す」

刺身ってどうして刺身なんだろう
そう言いながら箸でプスプス

 刺身はなぜ刺身なのか、幼いときから不思議だった。刺して食べるわけじゃないもんね。

 調べるといくつか説があるらしい。スライスすると魚の種類がわからなくなるから、尻尾を刺して表示していたとか。切るは縁起が悪いから刺すって言葉に置き換えたとか。

 ただ、いずれにせよ、しっくりはこないよね。刺身、お前はどうして刺身なの? そんなことを尋ねながらマグロを頂く。


12/12 一字題「俗」

ぞくっぽいものが嫌いと言う割に
氣志團ライブしょっちゅう行くね

 これは「ぞく」という音で「俗」と「族」ですれ違いが起きるようなやりとりを目指したもの。なんか、もっと上手くできたような気がするので悔しい。


12/12 テーマ「サッカー」

「将来の夢はサッカー」「えっ! 作家!」
母早とちりこうなったわけ

 これも「さっか」という音で、「サッカー」と「作家」のすれ違いを狙った。この時期、アンジャッシュのコントみたいなものを短歌でできないかと考えていた。でも、そんなにぴったりくるものは見つからなかった。

 アンジャッシュって、あまり知的に見られていなかったけれど、本当はめちゃくちゃ高度なことやっていたよね。教材として取り上げていいレベルだと思う。


12/13 お題「お揃い」

お客様お連れの方がいるのなら
お揃いの上並べやタコこら

 最近は禁止になったけど、むかしは当たり前のように誰かが代わりに並んで、後から家族やら友だちやらがたくさんやってきて、順番がなかなか回ってこないという事態がよく起きた。

 そこに赤ちゃんがいたり、お年寄りがいたりすると、仕方ないかと納得できるけど、イケイケな若者が合流したときにはわたしの中の長州力が暴れまくった。でも、戦って勝てるはずはないのでストレスを抱えるだけ。はぁー。本当、嫌だったなぁ。


12/13 一字題「削」

これ以上どこを削ればいいのやら
140の文字じゃ足りない

 Xをやっていて、いつも悩むこと。140文字じゃ全然足りない! 書きたいことを書いて、毎回、あそこを削って、ここを削って、頭を使いまくっている。

 そのおかげか接続詞に悔しくなった。「だけれど」は「側」でいいし、「だから」は「ので」で十分。ただ、そうやっていくと文章が固くなりがちだよね。そのあたりが悩ましい。


12/13 テーマ「掃除」

今年こそ掃除しなきゃと思いつつ
換気扇見て現実逃避

 実は10月ごろ、換気扇から油が垂れてきたので掃除をしている。そのとき、めちゃくちゃ大変だったので、これからは年末に必ず掃除しようと決意した。

 ……はずだったのに、結局、この年末はなにもしなかった。いざ、換気扇を目の前にすると来年でいいかってなってしまう。たぶん、また油が垂れてくるんだろうなあ。


12/14 お題「鬼」

人の死を自業自得で片付ける
自称優しい人に住む鬼

 Yahoo!ニュースやSNSを見ていると、気の毒な事故などに心ないコメントがついたりしている。どんな人なんだろうとその人の過去のコメントを追ってみると、同一人物とは思えない道徳的な発言をしていたりする。

 これはいったいなんなのだろう。鬼が住んでいるとしか思えない。じゃなかったら、あまりに怖過ぎる。


12/14 一字題「溶」

温泉に行きたい気持ち飲み込んで
入浴剤で師走やりきる

 温泉に行きたい! マジで行きたい!

 理想は年末に温泉地でのんびり過ごしたい。でも、みんな、同じことを希望するから高いんだよね。いつか叶える夢として、今回も自宅で美味しいものを食べたよ。


12/14 テーマ「南極」

南極の映画見たりて思うのは
ラーメン食べよ、ほら、のびちゃうよ

 映画『南極料理人』が好き。特にラーメンを食べるシーンが最高。YouTubeにあるので繰り返し見てしまう。そんでマルちゃん正麺を食べるのがワンセット。

 またラーメンが食べたくなってきちゃった。


12/15 お題「自転車」

自転車を盗まれ歩く寒き夜半
星に誓ったこの町を出る

 高校生の頃、自転車盗まれたんだよね。悲しかったなぁ。この街にはそういう人がいるんだなぁって。

 ちょうど大学受験の勉強を頑張っていたときで、なんとしても現役で合格し、東京で暮らしてやるんだって強く誓った。


12/15 一字題「甘」

コーヒーが美味しく入ったお祝いに
特別甘いケーキを食べる

 友だちに美味しいコーヒー豆をもらった。そうなると単体で飲むのはもったいないのでケーキを買った。こういう贅沢が日々の幸せ。


12/15 テーマ「バス」

初めての街で乗り込むバスの中
知らぬ言葉に耳傾ける

 旅行先でバスに乗ると、地元の人たちばかりで緊張する。聞き慣れない言葉が飛び交い、自分がよそ者であることを痛感する。

 電車だとこうはいかない。なんでだろ。速すぎるからなのかな。バスの速度は土地に根ざしているような気がする。だから、車内に街の空気が満ち満ちているんだろうなぁ、と。


12/16 お題「チル」

チルしない? 誘われるまま由比ヶ浜
さらわれていく君の肉まん

 海に行き、温かいものを食べようといって、コンビニで肉まんを買ったはいいけど、速攻でとんびに取られてしまったことがある。夕陽を浴びながら、なんとも言えない切なさにチルを感じた。


12/16 一字題「紙」

指先に一条のびる赤い痕
舌先を刺す日記の酸味

 冬の乾燥で、プリントを用意するときに指を切ることが増えてしまう。痛いし、汚れるし、本当にテンションが下がる。

 あれ、防ぐ方法ってないのかな? 静電気は一回放電するといいとか言うけど、紙で指を切るのも解決策が欲しいところ。伊藤家の食卓とかでやってそうだよねぇ。


12/16 テーマ「電話」

懐かしい声が聞けると期待して
とりし電話はまたしても詐欺

 おばあちゃんにオレオレ詐欺がかかってきたとき、いっそ、家電をなくした方がいいんじゃないか? という話になった。携帯のみにすれば、そういうこともなくなるだろう、と。

 でも、おばあちゃんは嫌がった。この電話にかけてくる懐かしい人がいるかもしれないからって。

 そうか。おばあちゃんは家電が鳴ったとき、懐かしい人からの連絡かもと期待していたのかと初めて知った。そして、なのに出たら詐欺だったときの悲しさを思うと犯人たちに腹が立ってきた。お金を盗むだけでなく、心まで深く傷つけていたとは。絶対に許せない。




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