真摯に、一途に、そして心の葛藤も味わって
寺地はるなさんの「月のぶどう」は、ワイン作りの一連の過程に驚くとともにワイン作りは熱意と冷静さ、そして時にはユーモアを持って接すること、
まるで人間関係のようだと感じた1冊です!
「天瀬ワイナリー」の社長であった母が突然亡くなり、双子の姉の光実に
懇願され、ワイナリーで働くことになった歩。
ワインの知識を一から学びと慣れない重労働に加えて
醸造長の日野さんとワイナリーで働く20歳の森園くんとの関係に悩みますが
祖父と父、友人の広田に支えられて少しずつワイナリーでの
自分の役割を見出していきます。
以前にもnoteに書いたのですが、著者の寺地さんは登場人物の
性格や心情の変化が丁寧に描かれていて、一人ひとりが“生きている”のです!
“生きている”という表現が適切かわかりませんが
この人がこういうことをする行動にはそれなりの理由や感情が
あることが理解できます。
それは、「誰かが、誰かを想っている」ことが
本を通して、心に伝わってくるのかもしれません。
そのことを表している一文を紹介します。
歩が、がんばりすぎの姉の光実にかける言葉。
「もっと周りの人間のことを信用したほうがええと思うよ。
お前が思っているほど、みんな性格悪くないから」
私自身この言葉にドキッとしましたが、ずばり的を射ていると思います。
ワインの世界を知らない人は新しい世界を知るきっかけに、
ワイン好きの人はさらにワインにかかわる人々を見て
さらに魅力を新発見するかもしれませんね。🍷
書き続ける楽しみを感じています、その想いが伝われば嬉しいです~