国家の存立というのは大変だな。内外共に。やはりリーダーは偉大であってほしい。☮ 小説「虚空の旅人」★4
隣国サンガルの新王即位儀礼に招かれたチャグムとシュガ。そこで、魂を奪われた少女と、その背後から忍び寄る、他国の陰謀に巻き込まれていく…。シリーズ第4弾
2001年(文庫2008年)上橋 菜穂子
今回は、バルサが出てこないなーと思ったら、守り人シリーズの外伝的なモノらしい。そういえば、題名も「~の守り人」ではなく、「~の旅人」だった。「旅人」になるとチャグム(&シュガ?)が主役になるのかな。
上橋さん曰く、守り人シリーズ「全十巻への舵を切った物語」だと。確かに今までは、それぞれ一つの国の中で話が展開してたと思うが、今回は、多数の国家が出てきて絡み合い、この世界が大きく広がった。
奇しくも、現在ウクライナの戦争真っ只中なので、読みながら強く思うところがあった。侵略してくるタルシュ帝国がロシアと重なる。巻き込まれる一般市民の代表の様なスリナァ(一家)。そして、国家の存立など。
改めて、国を維持発展させていく難しさを感じた。国内も国外も、うまいことやらないといけない。小説の中でもリアリティあったけど、実際の世界は、もっともっと複雑に絡み合ってバランスを保とうとしてるんだろーな。
そんな中で、チャグムが奮闘するんだけど、この時何歳なんだろう。十代半ばくらいかな? とにかく、この若さながら、今後、偉大な王になると思わせられる、資質と風格が垣間見えるのが印象的。シュガとの絆も深まる。
話はそういうきな臭いものではあるけど、その反面、舞台が個人的に好きな、海や島々が登場するので、雰囲気好み。どこか、煌めく海面や潮の香りが漂う。住むなら、サンガル王国(の島々)、いいかもなー。
あと、チャグムたちの他に、重要なキャラとして、サンガルの次男・タルサンがいる。タルサンも未熟ではありながら、強い信念を持ち、今後の成長、活躍にも、大いに期待できる。楽しみが増えた。
ちらっと、カンバルのカーム・ムサが出てきて嬉しい。と言っても、はっきりとは思い出せないけど笑 でもそうやって過去の主要キャラが出てきてくれるは、やっぱ胸アツ。タルサンもまた出てきてくれるでしょう。
あとは、女性たちの活躍。サンガルの娘たち、とくに長女カリーナ、恐ろしや~。でも嫌いじゃないな~(想像クールビューティー笑)そして、三女のサルーナ。もしかして、チャグムといい感じになっちゃう!?
どうでもいいけど、本の冒頭にある地図見ると、新ヨゴ皇国が東京で、ナヨロ半島が千葉に見える。となると、サンガルは神奈川か。でも島々を見ると、瀬戸内海みたい。カンバルは埼玉、ロタは静岡?
ということで、今回この守り人シリーズの世界がグッと広がり、深みを増していってるので、今後も展開が楽しみだ。次巻は、「守り人」で上下巻となっているので、少し長いか。またバルサ達の活躍が見れるんだろう。