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秋田道夫著『機嫌のデザイン』読了☆彡
秋田道夫氏は、1953年生まれのプロダクトデザイナーです。ケンウッド、ソニーで製品デザインを担当し、1988年よりフリーランスとして活動を続けている人です。
2020年には現在世界一受賞が難しいとされるGerman Design AwardのGold(最優秀賞)を獲得するなど、受賞多数の経歴です。
2021年3月よりTwitter(現X)で「自分の思ったことや感じたこと」の発信を開始し、フォロワーが10万人を超えている方です。
タイトルの本は、氏がインタビュアーの質問に答える形で、Twitterでの発信の裏に隠された真の内容を解説していくという内容になっています。
氏は、ラジオに出演していたことがあり、氏自身の機嫌の良さに関して発言されていて、気になっていたところ、たまたま書店で本を見つけたのですね。
この本でも、機嫌の良さについて、言及しているところはありますが、今日は、特に、気になったところを、やや長いですが、引用してみます。
タイトル「納期に九割を出すより、翌日に五割で出す。時間をプレゼントして、相手に委ねる。」
「こんなことを自分でいって申し訳ないのですが、仕事が早いんです。多分とんでもなく。それほど時間をかけずにいくつも案を出せてしまうんです。いやらしいですね。
打ち合わせを今日したとしたら、もう翌日には出してしまいたくなるんです。許されるなら打ち合わせ中でも一時間後でもいいくらいです。
ただし、それは100%の完成品を目指すのではなく、50%でもいいんです。
50%でもいいから早く出すことで、相手の方向性の確認ができるではないですか。
もしも間違っていたとしても、修正する余裕もありますから安心でしょう。…
早く出すのは自分のためではなく、相手に時間をプレゼントするようなつもりです。
私のポリシーは、他の人の半分の時間で、八割まで仕上げること。
でも、話の種明かしをすると、ものごとの八割までは案外ささっとできるんですよ。八割から先を仕上げるのが難しい。
たぶん80%から90%への一割の磨きに、0%から80%までにかけた時間と同等の時間がかかって、さらに90%から99%までの仕上げには倍の時間がかかります。
-八割の段階で出すことに躊躇はないのでしょうか?
まったく躊躇はないですし、八割であってもアイディアそのものは十分見えるものだと思います。とにかく大事なことは「意見の食い違い」をなくすことにあります。
さらにいえばあまりちゃんとした絵を描きすぎると相手が困るんです。ちゃんと描いたためにアイディアのバリエーションが少ないというのはさらに困らせます。…
いえるのは「まだ結論が出てこない段階で燃え尽きてはいけない」ということです。初期のアイディアでやりすぎないで、もっと先のためにエネルギーを保存したほうがいいですね。
満足のものさしは人によって異なるので、結論は相手次第であることも忘れずに。」
実は、私もこの傾向があり、とにかく仕事が早いタチなんです。最初の着手が早く、その日か翌日には、ラフ案ができていることが多いんです。
私も、氏の意見に全く賛成です。相手の好みもあるのが仕事ですから、締め切り直前に作りすぎたモノを出して、好みと合わないなんてことは、仕事の段取りを考えていないなぁ~と常々思っていますから。
で、この本によると、その要因と想定されることは、氏は若い頃、ろくに食べずに、本ばかり買い込み、読んだと言います。そして、この本の中で、次のように指摘します。
「どんどん本を読んで色々なものを観てください。そしてどんどん忘れてください。それでも残っているのがあなたの知識です。」
“ブラボー!”としか言えないセリフです。デザインの第一人者が、言語と融合した結果、得られたセリフなんでしょうね。ヤバいっす。