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百人一首にまつわる思い出と紫式部
「僕の昭和スケッチ」イラストエッセイ219枚目
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百人一首にまつわるちょっと個人的な話
僕は20年ほど前に離婚したのだが、その別れた女性Aさんは中々の才女で小さい頃から文學に親しみ、百人一首にも精通していた。
一方、僕の方はといえば、百人一首は家にあったもののものの、母親と坊主めくりばかりしていたという有様。高校時代から本が好きになった僕と幼年期から本に親しんできた彼女との間にはスタート時において文学的な基礎教養に若干の開きがあった(笑)
勿論、そんな事が離婚の原因ではなかったが。
さて、では百人一首の名は誰でも知ってはいるが、、、
百編全部読んだという方はどれ位いらっしゃるだろうか???
僕も、ちょっと自信がない(笑)
百人一首
「ちはやぶる 神代も聞かず竜田川 からくれなゐに 水くゝるとは」
<現代語訳>
「不思議なことが当たり前のように起こっていた遠い昔の神代でさえも、こんな不思議で美しいことは起きなかったに違いない。竜田川の流れが舞い落ちた紅葉を乗せて、鮮やかな唐紅の絞り染めになっているよ」
これは在原業平(ありわら の なりひら)の歌。
恥ずかしながら、僕もこれくらいは知っている(笑)
美しい歌だ。
「五・七・五/七・七」の和歌に凝縮されたこの絢爛な一文は百人一首の中でも取り分け見事、という他はない。
もう一つ。
今年の大河「光る君へ」の主人公/紫式部の百人一首57番から。
「めぐり逢ひて見しやそれともわかぬ間に 雲がくれにし夜半の月かな」
<現代語訳>
せっかく久しぶりにめぐり逢えたのに あなたなのかどうかも分からないほどの短い時間で あっという間に帰ってしまわれました。まるで 雲隠れしてしまった夜半の月のようでしたね。
これは、女性の友人への思いを式部が紡いだ和歌。
都会的な感覚(今風に言えば)の歌で、友人への愛着をさらりと月に準える、その軽みが返って寂しさを誘う。式部の人となりが垣間見えるように思う。
言葉が、音楽のように流れる美しい一文だ。
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