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彼らの世界に入り込む「エルマーのぼうけん展」に行ってきました

『エルマーのぼうけん』は子どもの頃に母が与えてくれた本のひとつで、実家の本棚にいまも静かに収まっているだろう思い出の本です。

本屋さんをひとりで歩いていると、ポケット版なる三冊を見つけて、思わず手に取ってしまいました。鮮やかなりゅうの姿が懐かしく、幼い頃に何度も読んだはずのおはなしはどんな内容だったかなと、つい買ってしまいました。

持っていたのはハードカバーだったけど、
今回は薄いセット。
表紙はおなじみの。

児童書を一晩で読み切るのは、大人になった贅沢でしょうか。「ぼうけん」の理由の純粋さに、大人になった私はまず驚くのでした。そうか、エルマーは空が飛びたかったのだっけと。そうくるか!という猛獣たちとのやりとりや、ふたり(ひとりといっぴき)のまっすぐさも印象的で、すぐに五歳のときに引き戻されました。なんて魅力的なぼうけんなんでしょう。

久しぶりの児童書との再会を喜んでいたら、なんとエルマーのぼうけん展が都内で開かれているそうです。2023年10月1日(日)まで。これは行くしかありませんよね。というわけで、立川へ向かいます。

少しだけ迷いながら会場に着くと(そこはいろんなイベントが開かれている場所で、うろうろと奥まで進んで見つけました)、入り口からどこか懐かしいポスターがお出迎えしてくれます。私は9月あたまの土曜日、当日券で入れました。

見つけられてよかった!
展示の入口ではりゅうが出迎えてくれます。
親子で訪れる人、ひとりの人、友達となど
いろんな人たちで賑わっています。
チケットもかわいい

さて、展示室の中に入ります。フラッシュをたかなければ写真も動画も撮影可能という嬉しい展示です。薄暗いところもあるので、展示室ではゆっくりと進みます。

堤防を歩くかのような展示のはじまり

シリーズの一作目、『エルマーのぼうけん』にそって展示はスタートします。

エルマーがたどった道を再現
原画の展示があります
ひとつひとつじっくり眺めたい!
こうやって、お話がついているんです。
木の堤防のおわりに、ワニがいます。
ワニの背中に乗って、川をわたりきれるかな

エルマーが川を渡ったときも、ワニの背中を使いました。ユニークな展示には、おとなも子どもも笑顔になっていました。

エルマーを追ってワニの背にのる動物たち

全部の絵を紹介したいですが、一冊ぶんになってしまうのでお気に入りだけ。お話がついているので、もし読んだことがなくても楽しめそうです。

続いては、シリーズ二作目

エルマーのぼうけんシリーズは、三冊に分かれているものの、ひとつの繋がった物語です。三冊それぞれ、冒険の舞台が異なり、二作目の『エルマーとりゅう』にはカナリヤ島が出てきます。

展示室のようす
この鮮やかな色づかいに引き込まれます
おなじみの表紙と裏表紙!
なんだか感動です
こうやって書いていたんですね
みかんをあげるエルマー

エルマーのぼうけんシリーズを通して、子どもの私には「みかん」が印象的だったようで、そのみずみずしい感覚がよみがえりました。二十年近くたって、あのときの感覚を思い出すとは思ってもいなかったので、驚きとともに嬉しさを覚えます。

りゅう、顔が特別に愛らしいとかではないのに、とてもいとおしいです。
それぞれの絵に添えられたお話と、
展示の中での印象的なことば
このイラストも印象的
カナリヤの王様が代々秘密にしていたことは何だったのでしょう。

さて、お次はシリーズの最終話『エルマーと16ぴきのりゅう』です。

さて、またブースの雰囲気が変わってきます。
色づかいでなんだか幸福になる気持ち。
会場にもりゅうたちのすみかが!
家族の絵は私の好きな挿絵です。

りゅうの家族を助けるために、一度別れたエルマーとりゅうのぼうけんは再び始まります。

本のページをめくる代わりに、
ひとつひとつの額の前で立ち止まります。
りゅうたちのダンスパーティ
会場には光と音楽が!
りゅうの模様も色もそれぞれ違います
ぼうけんの物語もそろそろ終わりに近づきます
こちらも私の好きな挿絵
汽車の音が響く会場と線路
エルマーも日常に帰ります。
こうやって色をつけていたのかな、と想像が膨らみますね
ここで物語の展示は終わりです。

物語の1ページ1ページをたどる展示はここまでです。ここからは、作者のR•S•ガネットと、絵のR•C•ガネットの生い立ちや、エルマーのぼうけんが生まれるまでのストーリーです。

幼い頃のノート
案段階の地図
だんだんと完成に近づいてきます
手作りの作品も並びます。
こちらは、動きのイメージのために、動くように作られたりゅうのぬいぐるみ

ここまでがエルマーのぼうけんがメインの展示でした。

エルマーのぼうけんに限らず、本がたくさん並びます。
いろんな言語でのエルマーのぼうけんシリーズ
懐かしい本がみつかるかも
ここの名前は「ぼうけん図書館」です

満足しながらグッズのブースへ。これは危険な香りがしてきました。物語の中のぺろぺろキャンディーやくしから、エルマーのぬいぐるみまだ様々です。私は引っ越しも控えていて物は増やせないので、何か思い出になるちいさなものを探します。

色鮮やかなグッズブース
ポストカードにしました
あとは、マスキングテープも
さっそく家族に向けてポストカードを送ってみます
これは入場特典

お土産を抱えて、なんだかとてもあたたかい気持ちで帰路につきました。20年近くの時が流れるあいだに忘れてしまっていたストーリーが、当時一緒にいてくれた祖母や母の思い出とともに流れ込んでくる感じ。

空をとびたい。優しいりゅうの友だちがほしい。よく鳴るラッパがほしい。ねこと話したい。

いつの間にかしぼんでカラカラに乾いていた幼いころのファンタジーが、生き生きと思い出されました。わくわくに心を躍らせた時間をくれた本たち、周りの環境を、いまはとてもありがたい物だったんだなあとしみじみしたりもしながら。結局ポストカードは、1枚だけ手元に残し、それ以外は家族に送りました。

26歳の夏、かれらのぼうけんに少しだけおじゃまさせてもらったのでした。


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mayu
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