#読書記録 この夏に読んだ11冊
夏らしいことをしたいと思うとき、海やプールや花火と並んで、私は読書を思い浮かべます。もう10月になるのに何言ってんだ、って感じかもしれませんが、だって最近まで暑かったんですもん。
夏の100冊が本屋さんに並んでいると、すうっと吸い寄せられてしまいます。中学生のころ、本屋さんで自分で本を買い始めてから私の夏はそういうルーティーンなのです。
そんな夏に読んだ本はこちらです。
No.1 『悲しみよこんにちは』サガン
サガンの名言集を読んでから、ずっと彼女の著作を読みたいと思っていました。そしてやっと読めたこの本は、瑞々しくて、残酷で、太陽に焦げて、浜辺の肌色の砂が沢山ついている手足をそうぞうさせるような、夏のお話でした。
二日酔いの朝、恋人が目覚めるまで気だるい身体をあずけるのには、ピッタリの本でした。言葉を学ぶためにも、世の中が苦しいものだと美しい残酷さを描くためにも、また読みたいと思いました。
No.2 『祝祭と予感』恩田陸
『蜜蜂と遠雷』のスピンオフで、表紙を見つけた瞬間に興奮しました。本編の方で鮮やかで迫力のある演奏を見せてくれた登場人物たちとは別に、その記憶を彩るように読める作品です。これを読んだら、またの長い上下巻に連れ戻されてしまいたくなります。
No.3 『もものかんづめ』さくらももこ
ちびまる子ちゃんでおなじみのさくらももこさんのエッセイは、夏の100冊の定番と言ってもいいのに読んだことがありませんでした。自分もエッセイをぼちぼち書いている身として、ぜひ読んでみたいぞと思って手に取りましたが、圧巻。アニメを見ているかのような軽やかさで情景に引き込まれ、そしてクスリと笑ってしまうのですから。
なんてステキな書き手さんなのでしょう!
No.4 『流浪の月』凪良ゆう
映画化されたのは知っていて、なんなら横浜流星さんがこの役で(名演技で怖すぎるといって)インスタのフォロワーが減ったとかいうラインニュースもみて、怖そうで読んでいませんでした。でも手にとってみたらなんと脆く、暴力的で、でも優しいのだろうとぎゅうっと胸を掴まれるようでした。映画も、サブスクで出たらぜひ観てみたいです。
No.5 『かか』宇佐美りん
推し、燃ゆ。の若手作家さんの一作です。酒を飲んでは暴れる母と、その母と一体となっているかのように痛みも共に感じてしまううーちゃん。彼女の行き着いた祈りがあまりに一途で、あまりに生々しくて、つい息を止めてしまう描写に圧倒されます。
No.6 『クジラアタマの王様』伊坂幸太郎
伊坂さんのパズルがはまっていくような仕掛けが好きで、新刊が出ているとついつい買ってしまいます。本作は今までとは少し毛色の違う、夢がテーマ。でもそれ以上に、感染症や閉塞感のある世の中、人々が神経質なまでに求める謝罪など、伊坂さんには世の中がこうやって見えているのかなと感じながら読み進めました。翌日仕事の日曜日の夜だったのに、夜ふかしして一気読みしました。
No.7 『鏡の孤城』上下 辻村深月
本屋大賞を受賞した本作をやっと読みました。ファンタジーは普段あまり読まないのですが、現実世界のリアルさがあるからこそ、「鏡の中世界」も引き立つ辻村さんの技に絡め取られます。子どもができたら、また違う視点で読めるんじゃないかなと感じました。
No.8 『樹木希林120の遺言』樹木希林
〜死ぬときくらい好きにさせてよ〜というサブタイトルのついている本書は、幸せに生きるとか自分らしく生きるとか、生きる中でエッセンスとなる問について樹木希林さんのエピソードが集められています。程よく力を抜き、自分の芯を貫く樹木希林さんの言葉で、すこし疲れているときにも明日の元気が出る本です。
No.9 『四畳半タイムマシンブルース』森見登美彦(原案上田誠)
森見さんが描く京都の学生って、なんでこんなに怠惰だったり清潔感に欠けていたりするのに魅力的なんでしょうね。タイムマシンという超古典的アイテムだけれど、予想ができないところに連れて行かれるこの感じ。独特でクセになるこのワールドにぜひ!
No.10『さくらえび』さくらももこ
さくらももこさんのエッセイにはまっています。ちびまる子ちゃんは知っているのに、さくらももこさんのことって知らない気がすると前回感じました。2冊目を読んでみても、なんでこのかたの人生はこんなに魅力的なのかなと思わされる軽妙な日常と非日常。素敵だな〜
No.11『徒然草』吉田兼好
教科書で読んだ記憶のある徒然草でしたが、すっかり誰の著作なのかを忘れていました。エッセイの超先輩ということで読んでいますが、その時代ならではの視点だけではなく、普遍的な価値観が多いことに驚かされます。普遍性の芯ようのなものを、自分の言葉にも身につけたいと思った作品でした。
ということで、最近は読書にも時間をとれていました。嬉しいことで、やっぱり言葉に触れるっていいなあと思う日々です。