広告が元気だった頃「説明的ですね!」は広告クリエイターへの必殺技だった!WEB広告がテレビを抜いてメイン媒体になってからというもの、説明だけの広告ばっかりになったと思いませんか?
こんにちは、昔広告クリエイターの端くれたっだDJムッチーです。
去る8月19日、第77回広告電通賞の受賞者が発表されました。
特に優れた成果をあげた広告主企業を称える「総合賞」には、2年ぶりにサントリーホールディングスが選出されました。サントリーの選出は26回目で、今回は「フィルム広告」「OOH広告」の2部門でもザ・プレミアムモルツ「無言の父たち篇」が最高賞の受賞です。
受賞作品は、視聴者の感性を掘り起こす視点の鋭さと、表現の豊かさを兼ね備えた作品で、嫉妬を感じるほど素晴らしい出来上がりです。
こういうクリエイティブは感性だけでは作りえないもので、論理的思考によって裏付けられています。そこら辺が、広告クリエイティブとアートの違いだと言っても過言でないでしょう。
そのことは、電車の中吊り広告や駅貼のポスター広告等を表彰する「OOH広告」部門での最高賞の受賞が物語っています。
「説明的ですね!」は殺しの言葉
僕が広告コピーを書き始めた頃は、感性と論理的思考の比重が呑み込めずにもがいていました。
上司やクライアントからもらう最も厳しい評価は、「説明的!」。
「いやいやこれくらいは説明しないとわからないんじゃない!」とお腹の中では思うものの、すごすご席に戻ってやり直すしかない。
夜遅くまで頑張っていると、先輩が僕の原稿用紙を覗き込んで言った言葉が憎らしい・・・
「おまえさぁ、まだ20案ぐらいしか書いてないよな、200案ぐらい書いたら、なんとなく見えて来るヨ・・・お先に」でした。
放り出しそうになるのを何とかこらえて、朝までに200案を超えるキャッチコピーを作ったら、不思議なことに見えてくるんですね・・さすが先輩!
そして、渾身のA・B・C案を上司にぶつけたら、
「他にないの?」と来たので200案を全部見せました。
すると上司が不思議なことを言ったのです・・・
「お前さ、蜘蛛の絵を描くときに、蜘蛛だけ描くか? 巣も書くだろ。
蜘蛛って巣ごとで蜘蛛なんだよ!・・じゃあC案でいこうか」
この言葉で僕は開眼したのでした。
200案というのは、蜘蛛の巣の網目の事で、それが蜘蛛を引き立たせる。
引き立たせたところで、蜘蛛を描けば、それで合格。
上司は、僕のコピーが出合い頭のヒットではないことを確かめたのでした。
説明的というのは、蜘蛛の姿だけを視点を変えて描こうとした時の評価だったんです。
開眼はしたものの、それ以後も説明的なのが抜けるには随分時間がかかりましたが、TVCMを担当するようになるころには、説明的は消えていました。
僕は、良い先輩と良い上司と蜘蛛に出会えて救われたのです。
今や説明がコピーのお仕事
インターネット広告が、テレビCMを抜き去って出稿量トップになったのを境に、説明的という評価も聞かなくなりました。
インターネット広告では、商品の説明をデータとユーザーレポートを駆使して長々と表現。ランディングページで即購入につなげるものですから、説明が溢れかえることになる。つまり、蜘蛛の巣なしで蜘蛛を描くのがインターネット広告だと、WEB広告制作者も広告主さんもお考えのようです。
広告主さんが小さい企業の場合、この傾向は顕著になります。
リスティング広告なんて言うのもあるけれど、商品名と特徴とビジュアルコピーだけ・・・なんて悲しいことでしょう。
それが時代の流れなのでしょうか?・・そういえばWEB広告制作会社の求人には、広告と広報が同じ職種として募集されていることがありあます。
全く違う種類の文章だということもお分かりではないのですね。
また「文章を書くのが好きな人」なんていう募集文句もあるのだけれど、以前ならそんなの適性にはならないはずなのに、WEB広告では説明だけだから適性になるのですね。
(以前は、統合的マーケティングの知識が必須だったんですよ・・・)
(WEBマーケティングは、真のマーケティングじゃないですからね!)
鬼が神になった頃
僕が広告のお仕事をメインにしていた頃は、鬼と言われる人がたくさんいましたし。「鬼のようにうまい」とか「鬼のようにつよい」とか鬼が活躍していました。
ところが、いつの頃からでしょう、鬼は神になちゃって、「神仕事」だとか「神対応」とか言い出しました。
「先生、神・・・」なんて言ったりもします。
こうなった時期と、「説明的」が悪い評価から良い評価に変わった時期が重なっているような気がします。
鬼は、こまごま説明しないけど、神は優しく説明してくれるんですよね。
長く生きていると時代の流れを嫌でも感じてしまいますね。
心あるコピーライター希望の若い方、説明が正しい世界にはいかない方が、いいと思いますよ。文字数でお金をもらうお仕事は避けたほうがいい。
もちろん、説明的が良くないとされる広告コピーの世界に入るのは、ハードルが高いけれど、先に面白い展開が必ず待っているから、頑張って勉強してくださいね。
それでは今日はこの辺で失礼します。
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DJムッチーでした。