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自立活動の内容を考える
こんにちは。特別支援学級教員13年目のMr.チキンです。個別の指導計画をようやく書き終わりました。これから上役の供覧を経て、ようやく保護者の手元に届きます。子どもの人生のかかった個別の指導計画ですから、力も入ります。
今日は、”自立活動の内容を考える”というタイトルでお伝えします。
自立活動って何?
特別支援教育の世界に入ると、切っても切れない・・・というか、特別支援教育の本体と言っても過言ではない存在。それが自立活動です。
自立活動とは、学習指導要領上では
個々の児童又は生徒が自立を目指し,障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識,技能,態度及び習慣を養い,もって心身の調和的発達の基盤を培う。
ということで、子どもたちが自立するために必要な力をつけるという、特別支援教育ならではの領域指導のことを言います。
具体的には、
健康の保持
心理的な安定
人間関係の形成
環境の把握
身体の動き
コミュニケーション
という6区分と、その下位の27項目を組み合わせて指導します。
自立活動は、学校教育全般で実施するものです。ですので、子どもの実態をよく見て、それに合わせた指導を計画することが、特別支援学級(学校)教員の腕の見せ所でもあります。
子どもの実態を見る
では、子どもの実態を見るということはどういうことでしょうか。
例えば、学級でいつも暴力をふるってしまう子がいます。
その子は”乱暴者”という実態なのでしょうか?
特別支援学級の教員は
認知能力:その子はどのように見えているか、聞こえているか、感じているか、WISC・ビネー検査結果等
認知特性:同時処理・継次処理等
行動特性:ADHD、自閉スペクトラム傾向等
環境要因:上手くいかないときの直前の状況、友人関係、成育歴等
自己肯定感・自己有用感
上手くいくときの条件
等を考慮に入れてアセスメントをしていきます。
そうなると、先ほどの”乱暴者”は
本児は、聴覚及び触覚に過敏性が見られる。WISCーⅣによると、言語理解に大きな課題が見られるような発達の偏りが見られる。
そのことから、相手が軽くぶつかっただけで大きな衝撃と感じたり、相手の言っている意味の理解が難しいために自分を攻撃してきていると感じる傾向がある。
大人相手よりも、子ども相手に対して攻撃性が高まることが多い。特に休み時間の終わり等の活動の切り替わりの際にトラブルになることが多く、気持ちの切り替えに課題があることが仮説として挙げられる。
認知処理の傾向としては、同時処理に大きな偏りが見られる。漠然としたイメージをもつことはできるが、細かい内容を時系列に説明していくことは苦手としている。
以上のことが重なった結果、自己肯定感が低く、「どうせ俺なんか」が口癖である。
生き物が好きであり、同じく生き物が好きなBさんとはトラブルなく過ごすことができている。
となります。どうでしょうか。この子は周りを困らせる乱暴者なのでしょうか。だいぶ印象が変わりますよね。この子自身が困っていることに気付くのではないでしょうか。(本人も気付いていないことが多いです。)
子どもと保護者の願いをかなえる
そこに対して、子どもと保護者の願いを合わせていって、自立活動の具体的な内容を決めていきます。上の”子どもの実態を知る”ということは経験を積むと上達していくのですが、この”願いを知る”と言うのは本当に難しいです。日々変わることかもしれないし、保護者と子どもの間に信頼関係が無いと気付くヒントすらもらえないからです。
”保護者が我慢していること”を見付けて!
私が教員になりたての頃、自立活動の目標を立てるのに苦労していたのを見かねたベテラン教員が私に言いました。
「保護者の方が、気付かないうちに我慢していたり、諦めたりしていることは無いか」っていうことを軸に考えてみると良いよ。
その教員は続けます。
例えば、私の受け持っている子は、2年前からスーパーの棚を倒してしまうようになったの。それからお母さんは子どもと一緒に買い物に行けなくなったって言ってて。お父さんが休みの時しか買い物に行けないというのは、本当に大変でしょう。
今、心理的な安定を目指して頑張っているのは、おうちの人と「買い物に一緒に行けないと辛いですよね。行けるように頑張りましょう。」ってやってる。
私は、この言葉の中に、自立活動の深さを感じました。学校教育の中で、ここまで生活に根差せる学習があるでしょうか。
自分が親になり、振り返った時に、よりその思いは強くなりました。
今担当している子たちと来たらどんな感じかな?
今、特別支援教育に携わって13年目になりました。
生活の中で色々な場所に行きます。
映画館、同僚と飲み会、遊園地、ショッピングモール、レストラン、バイキング・・・もちろん、プライベートとして楽しんでいますが、一方で、
今、担当している子たちと来たら、どんな反応をするだろう?
ということを考えるのがクセになっています。
そんな中から、
保護者の方が困っていることは無いか。
寄り添えるものは無いか
探していくことも、自立活動の内容を考える上で大切なことなのかもしれません。
では、またね~!