開高健の嗜むという意味と趣味の域を越える粋に私は憧れる。
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開高健
オーパ
巻末の解説が重松清さんだった。ここで月刊「PLAYBOY日本版」1977年の暮れに連載で書店に並んだということを知った。重松さんの解説で直筆原稿版の意味を教えてくれている。推敲で削られていること。それは、作家の手の内を垣間見ることができるということ。逆に考えれば、ほんの数行の削除や異同が目立ってしまうほどの完成度の高いもので開高健のすごみを、実感する人も多いに違いない。と。
めちゃくちゃ面白かった。旅行記、冒険記、未知なる生き物の釣り記録。
これが、雑誌で女性のグラビアなどと一緒に掲載されていたのか。
最高だ。
私は、大江健三郎から開高健を知り、先日芥川賞受賞作を読んだ。開高健は、私が住んでいる茅ヶ崎に記念館があるということで、読まなければと今年に入り読み始めている。前回は記念館へ行こうとして、何を血迷ったか頭を刈り上げた。
社会派の小説を書いている人とは思えない。
旅に取材で行けるように、編集者の事を口説く様子から、仲間の人物描写。そして、アマゾンにいる生物達の描写、捕まえかた。ブラジルの街の様子、政治背景。どこを読んでも文章が弾んでる。
これは間違いなく、楽しんで書いている。
「釣り好きのバイブル」ってどこかに書いてあったが、そうじゃない。
私は釣りをやらないがこれは、
「行動するのが好きな人のバイブル」だ。
作家が本気で楽しむ文章とは、こうも豊かに惹き付けるのか。
すごいわ。楽しませるってすごいわ。やっぱり。
直筆原稿を指で追いながら読む読書は、新鮮でこの部分を削ったのか。こんなに丁寧に説明しているのにというところまでバッサリと切っていたり。
やっぱり手書きの恐ろしさに作家の凄さを知れたり。
どんな知識もそれを組み合わせるセンスと、削る決断。しっかり勉強して落とし込んで楽しませるために組み立てる。
めっちゃカッコいい。開高健。
よし。記念館に行こうと決めたのだが、金土日しか開館しておらず、先に刈り上げに行くべきかと、伸びた髪を触って揺らぐ盛夏。
なんのはなしですか
なんでもいい。これから先に起こる事をこんな風に思い出話を書いてみたい。
最後に名文を。
引用元がわからないって書いちゃうあなたが好きだし、あなたの言葉から最初にこれを知った私は、これを、あなたの言葉だと思う。それは、きっと幸せな事だし私の事実として残しておけばいいと思う。
では。
いつか雨の日に19世紀末のイギリス人の釣り師の書いたものを読んでいるうちに中国古諺を一つ教えられた。出典が書いていないので、どこから引用したものか、いまだにわからないでる。しかし、それは男による、男のための、男の諺なのである。いまこの人ごみのなかで、それがありありと昏迷のなかよみがえってくる。
一時間、幸せになりたかったら
酒を飲みなさい。
三日間、幸せになりたかったら
結婚しなさい。
八日間、幸せになりたかったら
豚を殺して食べなさい。
永遠に、幸せになりたかったら
釣りを覚えなさい。
追っかけるぜ。開高健。
自分に何が書けるか、何を求めているか、探している途中ですが、サポートいただいたお気持ちは、忘れずに活かしたいと思っています。