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なんとなく、エモーショナル
題は、田中康夫『なんとなく、クリスタル』をもじったものであるが、僕は頻繁にこの「なんとなく、〇〇」を使用させてもらっているくせに本作を読んだことがない。そして、僕にとっての田中康夫は長野県知事の印象が強く、作家というふうにはどうしてもみることができないのである。だから、なんとなく読まない。
さて、エモいという言葉はいまではすっかりと日常生活に馴染んでおり、幅広い世代に通じる日本語として定着しつつある。なんというか、うまく言葉にできない心の揺らぎというか感情というものをエモいと表現しているのである。ということはつまり、エモいという言葉は、「なんとなく、エモーショナル」ということであり、要するに「シン・田中康夫」というわけだ。
最近はシン〇〇というのも広く定着しつつあるので、近いうちにエモいの代わりとして、シン・田中康夫、もとい「シンタナ」という言葉で気持ちを表すようになるのだろう。言葉というものは日々変化していくので流れに乗り遅れないようにしなければならない。
ふと疑問に思ったのだが、現行、エモいと表現しているものは今までなんと表現していたのだろう。その気持ち、感情自体は元来存在してきた。僕たちはなんと言っていたのだろうか。をかし、いやそれは流石に遡りすぎだ。
だが、古文にはそういった感情の機微を表す言葉が多く存在する。
をかし、あはれ、にほふ、うつくし、なまめかし、
僕たちは、最近までなんと言っていたのだろうか。
思い出せないこの状況もまた、エモいのかもしれないなと思った。
先日自然を感じる旅に行きましたので、その風景を。
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