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【読書記録】夢十夜・草枕

本のこと

夢十夜・草枕
夏目漱石
集英社文庫

夢に現れた無意識の世界を綴る「夢十夜」。美しい春の日、青年画家と謎の美女との出会いを描く「草枕」。漱石の東洋的ロマンティシズムの世界を伝える名作。(解説・平岡敏夫/鑑賞・大林宣彦)

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感想

温泉宿の女性と画家の交流を通して、画家の内面にある『美しさ』が描かれていきます。

私にとっては難しい言葉や言い回しが多く、理解しきれていないかもしれませんが、私が印象的だつたのは、画家の美しさに対する確固たる思想です。

冒頭、有名な「とかくに人の世は住みにくい」で小説は始まります。

画家をはじめ、芸術家が芸術家たるためにはこうあるべきだ!というものが、本編を通して端々に語られます。

「一歩引いて物事を見て、言葉に纏め上げる」

「自然の中に身を置いて、植物のようにじっとする」

「いくら笑われてもこだわりを曲げない」


など。

私は芸術家ではないのですが、言いたいことは少し分かります。

世にある素晴らしい、美しいと思うものは、どこか現実離れしているというか、常人では思いつかないよなあ、と思うものがたくさんあります。

それらは、当たり前のことを当たり前と思わず、疑ってかかり、それを打破しようとした人の所業なんだろうと考えています。

本書の画家もきっと、そのためにわざわざ人里を離れて温泉に行き、見たもの触れたものを自分なりに解釈して詩を作ったりしたのかなと思います。

全体を通して難しい言葉が多いですが、日本語って色々な表現ができるのだなあとしみじみ思いながら読んでいました。

こうした本をスラスラ読めるような人間になれたら良いなと率直に思います。

この本の画家のように、何かにこだわり、貫く姿勢を忘れずにいたいと思います。

好きな言葉

「気楽も、気楽でないも、気の持ちよう一つでどうでもなります。」(p97 那美)


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