問題行動と子供は分けて考えてる -問題の外在化-
こんにんちは、モンブランひとみです。
「問題の外在化」という言葉を知っていますか?
カウンセリングなどで使われる技法のひとつです。
言葉だけ見ると難しそうですが、とても簡単で役に立つ考え方です。
子育てやパートナーシップのヒントにもなります。
自分を許せるようになど、心の健康にも役立ちます。
今回は「問題の外在化」で気持ちを楽にする方法をご紹介します。
1.発達障害のこだわり
私には2歳の息子がいます。
息子は広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)という発達障害です。こだわりが強く、興味の範囲が狭く偏っているなどの特性があります。
外でこだわりが爆発すると大変です。
例えば、息子はエスカレーターが大好き。
街を歩いていてエスカレーターを見かけると、手を振りほどいて一人で飛び乗りに行ってしまうことがあります。
そして一度エスカレーターに乗ってしまうとずっと乗っていたくなり、一度降りてもすぐ隣のエスカレーターに飛び乗ってどんどん上(あるいは下)の階へ…
同じ行動をひたすら続けてしまうんです。
一度そうなるともーう大変。
行きたいところに行けないどころか、家にも帰れない。
だけどスイッチの入っている息子を制止しようものなら
とんでもない力で抵抗されます。
抱きかかえての場を離れようものなら
採れたて新鮮な鮮魚のごとく
腕の中でバタバタと飛び跳ねます。
格闘が終わる頃には息子も私もふたりして
滝のように汗をかき、ぐったり。
なんとも言えない徒労感と絶望感。
思い出しただけでゲッソリ。
2.心が疲れると子育てが辛くなる
そんな大変なことがあった日には、
私は母としての無力さに打ちひしがれます。
そして騒ぎの途中ですれ違う人たちの
「え?」という目線に傷ついたりもします。
(一体何事かと思いますよね…)
そして心と体が疲れると、普段はかわいいはずの息子が
自分を困らせてくる「とんでもない暴れん坊将軍」
に見えてくる。
「なんで私ばっかりこんな思いをせにゃならんのだ」
心と体が疲れると、そんな風に認知のゆがみが爆発して
世界が灰色に見えてきます。
こんな育児嫌だよ、もっと我が子を素直にかわいく思いたいよ。
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助けて、ドラえもーーーーん!
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ここで登場するのが、秘密の道具
問題の外在化~♪
3.問題の外在化ってなぁに?
問題の外在化とはなんなのか。
簡単に説明すると…
何か困った「問題」は、「問題を起こす誰か」が悪いのではなく、「問題自体」が悪いのだと考えること。
どういうことか?
上記の息子とエレベーターの件ならば
「エレベーターに乗りたがる息子」が問題なのではなく
「こだわりという発達障害の特性」が問題なんです。
もっといえば、息子もまた「こだわり」に振り回されている被害者のひとりということ。
これは息子の例に限らず、どんな話にも応用できます。
例えばADHD(注意欠陥・多動症)で授業中に椅子から立ち上がってしまう子。
周りからは「落ち着きのない子」とか「我慢ができない子」と、場合によってはわがままな子に見えてしまいがち。
学校の先生の目線では、自分の授業を妨害しているように見えてしまうこともあるかもしれません。
でも本当は、本人だって座っていたい。
冷たい目で見られたくないし、もちろん怒られたくない。
ではなんで立ち上がってしまうのか?
それは「ADHDの特性」がそうさせているんです。
子供本人が問題を起こしているわけじゃないんです。
こんな風に、悪いのは「問題を起こしている本人」ではなく「問題を起こさせているもの」。
そういう風に考えることを「問題の外在化」と言います。
4.問題に名前を付けてみる
問題を本人から切り取って考える。
そのためのわかりやすい方法があります。
それは、「問題」に名前を付けること。
例えば「妖怪えすかれ~た~」や「そわそわおばけ」など。
名づけセンスについての非難は受け付けます
息子がエスカレーターに乗ろう乗ろうとしている時。
目をほそーくしてよくよく見ると、息子の背中には「妖怪えすかれ~た~」がしがみついています。
「妖怪えすかれ~た~」が息子を操縦してエスカレーターに乗せようとしてるんです。
びっくりですねぇ。
怖いですねぇ。
授業中に立ち歩いてしまう子の背中には、
「そわそわおばけ」が憑いてるかもしれない。
本人は座って授業を受けたいのに
「そわそわおばけ」が背中くすぐるから
どうしてもジッとしていられない。
これは大変ですねぇ。
本人も怖いですねぇ。
そんな風に一般的に「問題行動」と言われる行動に名前を付けたり、擬人化してみる。
すると「問題を起こす子」が悪いのではなく、「問題」自体が悪さをしていたことが見えてきます。
これが「問題の外在化」です。
5.問題を外在化することで起こる変化
問題の外在化をして、「問題」を本人の中から外に取り出す。
するとどんな良いことが起こるのか?
主に2つの大きな変化が起こります。
【変化その①】
まず一つ目は、問題を外在化する前は「問題行動を起こす子」に向けられていた非難の目が、「問題」自体に向けられるようになること。
問題行動を起こしている子は、「問題児」として常に非難の目に曝されています。
子供はとても敏感です。
「迷惑をかける子」と思われていることを察するし、そんな自分を自分で嫌いになります。
それが積み重なると自己否定や、自己肯定感の低さにつながります。
でも問題を外在化させると「その子自身は悪くない」と周りが気付く。
本人も「自分は悪くなかったんだ、自分は人に迷惑をかける悪い子じゃなかったんだ」と自信を取り戻せます。
子供が「自分は悪い子」と自分を嫌ってしまうことほど悲しいことはありません。
自己否定の芽をなくすことは、問題を外在化させる大きなメリットです。
【変化その②】
2つ目は、問題行動を解決するための話し合いができるようになること。
問題を外在化する前は、問題行動を解決しようとすると「問題を起こす本人」について話し合うことになります。
その話し合いは自然と本人のいないところで行われることになります。
でも問題を外在化すると、問題行動について話し合うことは本人を責めることにはならないため、前向きに話し合うことができます。
そして問題解決の話し合いに、本人も参加することができます。
「問題」という共通の議題について、本人も含めた全員が対等に話すことができ、解決策を探ることができるんです。
授業中に歩き回ってしまう子の例なら…
「どうやったらそわそわおばけを退治できるか?」について本人・先生・クラスのみんなで考えてみる。
大切なことは、そわそわおばけの退治方法について話し合うこと。
「どんな時にそわそわおばけが現れるのか」について考えれば「どうして立ち上がってしまうのか」が全員に想像しやすくなるし、「本当は座って授業を聞きたい」という気持ちをほかの子たちに伝えるきっかけにもなります。
そして「一度立ち上がってもすぐに座ることができればOK」などみんなが納得できる解決策が見つかるかもしれません。
我が家の息子の場合はまだ話し合いでの合意はうまくできませんが、もう少し大きくなれば問題が起こった時は「どうやったら息子くんもお母さんも(あるいは先生やお友達も)困らないで楽しく過ごせるか?」と話し合おうと思います。
6.自己否定をやめてみる
このように、問題の外在化は子供の自信を損なわず、前向きに問題解決に向かうためのための道しるべになります。
これは大人である私たちにも役立ちます。
前回のnoteでは、自己肯定感を高めることよりも「自己否定をやめること」をヒントとしてお伝えしました。
自己否定の癖がある人は、普段のちょっとしたことでも自己否定を繰り返している場合があります。
そんな時は自分を責めるのではなく、
「自分の中の『何か』がそうさせているだけ」
そう思ってみてください。
「どうしてそんな行動をしてしまうのか?」と考える癖をつければ、自分を責めずに行動を変えることができます。
私は心の余裕を取り戻すことが何よりも大切だと感じています。
お子さんやパートナーとの時間が、少しでも楽しいものになりますように。
そんなヒントとして「問題の外在化」を使ってもらえると嬉しいです。
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