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小説 『マネー・ジャングル』

番外編です。

#デューク・エリントン #チャールス・ミンガス #マックス・ローチ

この三人による『マネー・ジャングル』というアルバムは、今年の利いた中で、大きな衝撃の一つでした。好きすぎて、セッション風景を想像してしまい、小説にしてみました。

事実に基づいたフィクションです。

自分が以前に書いたエントリーはこちらです。


「おい、お前は、ドラムの役割が分かってるのか?」

ミンガスはどすの利いた声でローチに迫った。

ローチはすぐにたじろぐほど自分のやってきた音楽に自信がないわけではない。しかし、こんな質問をされたのは初めてだった。

「もちろんだ」

ローチは答えた。

「ならいい、デューク、再開だ」

不敵に笑ったミンガスが、GOサインを出した。

再び演奏が始まる、しかし、ローチが演奏を始めると、またミンガスが演奏をやめてしまう。

「おい!もう一度聞く!ドラムの役割は何だ!」

ミンガスが聞く。

「リズムをキープすることだ」

ローチは無難に答えたつもりだった。

しかし、それが、完全に裏目に出た。ミンガスは完全にブチ切れてしまって、こういった。

「おい、デューク、こんなマザーファッカーとジャズなんかできっこない」

ミンガスはコントラバスを小脇に抱え(ミンガスは巨体だ)、スタジオを出て行った。ネック部分がドアのフレームにゴツンと当たって、このセッションのピリオドを告げた。

デュークはすぐに追いかけようとしが、ローチによって阻まれた。

「デューク、あの男はいったい何を求めてるんだ?あの男の質問の意図はなんだ?」

「ローチ、君は間違ってない。」

デュークはローチにそう説明した。

「ちょっと待っててくれ」

デュークはスタジオを出て、ミンガスを探した。

デュークはミンガスを探しながら思った。

「ローチ、君は間違ってない。ただ・・・、間違ってないだけなのだ」

ミンガスを何とか呼び戻し、この日の録音の契約は終了したが、もう一つのこのグループによる録音契約は、ついに果たされなかった。

おしまい


最新のリマスター版は、音質良好でおススメです。リミックスされていますが、効果的です。すごい迫力です。

ただ、CD発売当初は、録音順に並び替えられていたと聞きました。それがこちらです。ドラムの位置が、現行のCDとは違い逆になっており、少し引っ込んでます。この録音を「ドキュメント」ととらえるなら、こちらも必聴ですね。

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