#158 40周年版の『EACH TIME』
毎年何かしらが発売されます。今年は、師匠の最後のアルバム、『EACH TIME』の40周年記念版。
『EACH TIME』はどれも、少しずつ曲順やアレンジが違っていて、基本形はCD選書盤ということになりますが、今、すこし音圧が低いのが気になる向きもいるでしょう。
20周年版以降は、 #稲垣潤一 に提供した「バチェラー・ガール」が含まれるようになって、これも捨てがたい。30周年版もカラオケが付いていい感じ。
ただ、曲順は「夏のペーパーバック」から始まっていて、これが少し違和感。私はCD選書盤から洗礼を受けたので「魔法の瞳」から始まる方がしっくりくるのですがね。
そんな中での、40周年版は、一番流れが悪いと感じましたね。「Shuffle Off」という未発表曲から始まっていますが、ボーカルも入ってないし、とても違和感。かつての未発表曲「ゆらりろ」は「恋のナックルボール」と同じイントロを持つ曲なので、重複感がぬぐえない。サンプリングを駆使するのも、「魔法の瞳」と被る。
初めてこれを聴く人は、なんか同じ曲が多いなと感じるでしょうね。なにか意図があるのかな、とか、余計なことを考えてしまうのでは。
師匠は「とにかく縦横無尽に聞いてくれればそれでよし」といっていて、解説を廃した部分でのエンターテイメントを志してはいたはずですが、ちょっと衣鉢に反しているような気がしますがね。
前作の永遠の名作『ロングバケーション』が「歌手」に挑戦した作品だとすると、『Each Time』は、「ソングライター」に挑戦した作品だと思っています。そして、それは、師匠自身が師匠の音楽を裏切るような、自家中毒に陥っているような作品だと思っています。
だから、師匠はこれを最後にしたのだと、個人的には思っています。
「ペパーミント・ブルー」など超絶に美しい作品もあるけれど、ぬぐいとりがたい「なにの終わり」を感じさせる切なさがあります。最後だからこそ輝いて見えるという言い方もできるでしょうか。
非常に切なくて苦しくなる作品です。大滝詠一に興味を持った方は、文字通り「最後」に聞いてほしい作品です。
似たようなことを過去にも書いてましたね。わたし成長ないです。
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