木田 りも

北海道の人間。創作活動に興味を持ち始めました。生きた証を残したい。脚本。小説。独り言。

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北海道の人間。創作活動に興味を持ち始めました。生きた証を残したい。脚本。小説。独り言。

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最近の記事

小説。 〜59分の現実。

小説。 〜59分の現実。(仮)  そこに、壊れた時計がある。 それは、針が59分59秒を指して次に進もうとカチッ、カチッと動いている。電池を換えれば動き出すことは、わかっている。そうだ。電池を。時計を生き返らせるために、電池を。  ゆっくり、ゆっくりと進むそれは、確実に私に現実を見せつけている。つまり人生はフィクションなのかもしれない。終わりに近づくにつれ現実が見えてくるのか。人生は短く芸術は長いとは上手く言ったものだ。私は、どこへ行ってしまうのか。 _________

    • ツラツラ小説。 下火。

      ツラツラ小説。 下火。 昔、自転車で転んだとき、置いて行かれた。傷口に砂が入るくらい大きな傷。痛い、足を引きずるくらい。みんなはまだ気づいていない。きっと気づかない。転んだら終わりだ。それからは転べないって思った。転ばなかったのに、僕は何者にもなれていない。身体と年齢だけが大きくなった日。僕は下火になった。  間違いなく明確なあの日がある。 あの日を境に、ピークが過ぎた。波とか風とかそんなものに乗っていたはずなのに、涙に変わり風邪を引いた。それまでの生活で当たり前の外に出

      • ツラツラ小説。 散花。

        ツラツラ小説。 散花。 片割れ。2人の思い出の地を巡る。 夢、転がり、残る匂いを味わって、 自転車。帰る。夕暮れに咲く花。 木は、切られて、冬を待つ。 空が高くなり、秋の味覚。 天高く、肥える。  咲いた花を踏まないように歩いていたら、いつのまにかみんなより先に行ってしまった。慌てて戻ろうとして、茂みに踏み入り、沈む。誰にもバレないところでひっそり秘密の内緒話。 2人きりの夢が恋人繋ぎして、元のところへ戻ってくる。僕は反比例的に、等速直線運動をしながら、あなたを嫌いにな

        • 独り言。 ヤキニクの感想。クレヨンしんちゃんの映画。

           皆様は、 クレヨンしんちゃんの映画、 『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』をご存知だろうか。  クレヨンしんちゃんの映画でもかなり有名な方なのでご存知の方も多いかもしれない。2003年公開と、もう20年くらい前の映画になる(少し驚いている)が、レンタルビデオ店で何度も借りて何周もして、内容も全て覚えてしまっているほど、何度も何度も観ている。この映画を見た際の感触が少しずつ変わっていったことを、このノートに綴りたい。 ________________

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        記事

          小説。 僕の正直な顔。

          小説。 僕の正直な顔。  僕は自他共に認める優しい男だ。 そんなレッテルを貼り、貼られ、それを少し誇りに、だけども埃だとも思いながら時が過ぎて行った。そのうちに、僕というものはどこか遠くに行ってしまった。僕はどこに行ってしまったのか、僕はそれを探す旅に出かける。まだ見つかっていない、僕は意識を失う。その中で見つかったヒントだろうか。それを聞いてもらいたい。 ・1つ目の顔。  僕は、きっと寂しがりやだ。誰かに注目されたり気にかけてもらいたい欲求がいわゆる一般の人たちに比べて

          小説。 僕の正直な顔。

          ツラツラ小説。 イメージ的に。

          ツラツラ小説。 イメージ的に。  言葉が通じないだけで、気持ちがわかることはある。だから、  ある朝、道路を眺めると、そこにいた。おそらく、子どもを守っていたのだろう。動かなくなったそれを囲むように、そいつらは、見境なく攻撃をしていた。なんのために?何を得るために?動いてないといけないのだと思う。そいつらは、高貴な生き物なのだ。人間が汚いと見ているだけで、綺麗で美しくて、もっと敬われるような生き物なのだ。イメージ付けてしまわなければ、そいつらは、そいつらって呼ばれる存在に

          ツラツラ小説。 イメージ的に。

          小説。 希望に繋がるまで。

          小説。 希望に繋がるまで。  ずっと、「それくらい」で良いと思ってた。 だって、欲張ったら叩かれるし、何もしないのもためらう。自分の性格的に、頑張りすぎず、求めすぎず、かと言って、やらなすぎず、引きすぎずという風に、それなりに、紛れつつ、でも自分のアイデンティティみたいな部分が外側に少し滲み出ればいいなぁくらいの希望的観測で、世の中を生きていた。ありきたりな幸せ、世の中の皆が知っているような幸せをそれなりに味わい、自分だから得れる幸せなどは、他人に譲っているような気分。空い

          小説。 希望に繋がるまで。

          ツラツラ小説。 夢の名残。

          ツラツラ小説。 夢の名残。  目を覚ましたら、ナマズになっていた。200ベルで売られるそいつは、捕まえたらリリースされるような持ち物の枠だけ取ってしまうような、そんな扱いだ。人生に不遇を嘆くことは慣れている。涙はもう枯れているのだから、つらくもない。強がっているわけではないが、それなりに幸せを味わい続けると、起伏がなくなる。終わりかけの心電図のように、もう期待されなくなった過去の栄光にすがってるだけの貧乏神には人は寄りつかないのだ。  その匂いはだだっ広い北海道の少しの人

          ツラツラ小説。 夢の名残。

          小説。 −2℃。

          小説。 −2℃。  −2℃。明日の天気予報。 最高気温を示す温度を見て、あー、上着厚いの着なきゃなぁって思う。少し寒い。なんて思いながら夜、床につく。  暇を持て余した表情で目を覚ます。 遠い遠い宇宙の夢を見た。二酸化炭素の暴風が吹き荒れる中、地下から出てきた僕たちは、重い防護服に身を包み、故郷を思いながら、帰ろうと歩み続けるように。遠い遠い宇宙には、何もないのだ。この地球から意識がどんどん上へ上へと離れていき、地球を見下ろす視点になった時、僕は、重力というものから解き放

          小説。 −2℃。

          小説 廃屋の奥の部屋の写真と、普通に生きている僕が交錯する部分。

          小説 廃屋の奥の部屋の写真と、普通に生きている僕が交錯する部分。  その廃屋は、人里から随分と離れたところにある。もちろん既に人なんていないし、山奥で木が密集し立ち入りづらいことから、いたずらしにくる人も来ないようなところにある。昔、ここは、どこにでもあるような1つの村で、なんてことない普通の生活が営まれていた。座椅子が2つ、テーブルが1つ。もう黄ばんでしまったタンスと、蓋が空いた炊飯器。泥で汚れた昔のパッケージのレトルト食品。そして隅の奥の、キッチンの、奥の部屋に、飾られ

          小説 廃屋の奥の部屋の写真と、普通に生きている僕が交錯する部分。

          小説。 名前にできない焦燥。

          小説。 名前にできない焦燥。 ____________  左足が重い。普段、左重心で歩いているからか、右足を上げるよりも左足を上げる方が重く感じる。歩いていると少しずつズレを感じて、身体の歪さを感じる。今日も真っ当な人間のふりをする。正社員として会社に入ってからもうすぐ4年目。仕事も板についてきたことと未知数なことが半々くらい?になってきたような気がしている。今必要なのは経験値だと幾度も言われ続け、少しだけ毎日が気怠くなりつつある。仕事で動いている時の方が生き生きしている

          小説。 名前にできない焦燥。

          小説。 夢、首と欲。可能性の先。

          『私には3分以内にやらなければならないことがあった』   と、私の心が語りかける。先輩と過ごした時間などあっという間に過ぎた。2人きりの部室。最後の時間。好きだった先輩が目の前にいるのだ。夢が現実になる瞬間がもう少しで訪れようとしている。思えば長い長い道のりだった。  夢は叶えるものだけど、叶わなくても夢は夢と、どこかの歌詞で聞いた歌詞が頭の中で反芻する。私は、辿り着いたのだ。成し遂げて、その先へ進もうとしているのだ。 _________________________

          小説。 夢、首と欲。可能性の先。

          小説。 朝、始まり。言葉がぼやけて、まだ。

          小説。 朝、始まり。言葉がぼやけて、まだ。  遠くに見える「街」を見ながら、冷たい空気と会話をする。外が明るくなり、新たな朝がやってきたことを知る。何度も何度も朝を迎えて、いつもと同じような、しかしいつもとまた違う朝を迎えていることを世の中は知っている。世界は変わる、人も変わっていく。思考も思想も便利さも自由さも、昔あった良いことも悪いことも淘汰されていくみたいで、平均的にみんなが幸せになっていくような世界が、僕は少し嫌なのだ。いつまでも変わらない朝とか太陽とかそういったも

          小説。 朝、始まり。言葉がぼやけて、まだ。

          小説。 ぬるい部屋と小さいテレビの音。あと、1つの芯。

          小説。 ぬるい部屋と小さいテレビの音。あと、1つの芯。  時計の針が、時間を進めている。その音だけが響いてる部屋。午前7時32分。君と一緒に寝た日。目が覚めた時間を覚えている。僕は君の額にキスをして起きる。君が起きる前にお風呂を洗い、沸かし、ご飯とお茶を用意する。君が起きた時に何不自由ないように。君が僕に気がつくように。ストーブはエコモードにして動かしているから暖かい部屋。2人で過ごす朝、時計の針が止まらず、昼過ぎ。もう冷めたピザまんが2人の時間の経過を明らかにするみたいだ

          小説。 ぬるい部屋と小さいテレビの音。あと、1つの芯。

          ツラツラ小説。ザットイズメリークリスマス。

          ツラツラ小説。 ザットイズメリークリスマス。  カーテンを閉めた部屋の中から、窓を開けて外を眺める。僕の部屋に陽は差し込まないが、一本先の道路が照らされてるのを見て、不意にそこに行きたいと思った。外に出てみると、思ったより寒かったのと、思ったより太陽が眩しくて目が眩んだのと、それを上回るさっぱりとしたスッキリしたような気持ちにもなった。  暗い部屋か蛍光灯で照らされた部屋を行き来していたため、自然の光に触れたのは久しぶりだった。僕は、今、陽を浴びている。全身で浴びている。

          ツラツラ小説。ザットイズメリークリスマス。

          小説。 普通の実証。

          小説。 普通の実証。 ・前書き  この話はただの僕の告白です。 何か自伝のようなものです。小説なんて大袈裟なことは言えないけど、こんな小説があったって良いのではないかと思って小説にしました。 はじまり。  うまくいかないものはうまくいかない。 そんなことはわかっているのだ。ずっと待っていた。ずっと暗い夢を見ていた。ずっと不幸になろうとしていた。あなたがいないところに幸せを感じないように、あなたがいなければ幸せを感じないようにしていた。普通とは何かずっと模索している。今も

          小説。 普通の実証。