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地図と風景、昔と今とこれから

少し前に書いた「近所の古本屋が閉店(一時休み?)」フェアで大量買いしたうちの1冊、なんだか気になって手に取った本がよかった。
『京都みちくさの景色』(文・中村勝 写真・甲斐扶佐義 京都新聞社 1999年)
〝何十年もひとつの町に住みつづければ、人は何枚もの地図をもつことになる〟
それぞれの場所とまつわる人々、記者の目と写真家の写真でつづった50景。

ガイド本じゃない。能書きっぽくもない。変に「どや!顔」も滲んでいない。
ノスタルジーに浸りすぎることはない。
そんな文で(写真はちょっとそうかな、でもそこがいいと思う人が多いのかな)、あ、ええな、って思いながら、ふわりゆらりと読みました。

「この地で生まれこの地で育ち」ではなく、地方から大学進学で京都に来た二人の目だから、というのもあるかもしれません。
 
最近、例えば生活史や文化史などの本や社会学系や人文学的な本に敢えてたくさん触れるようになり、
(元々そちらの方というか興味がある)
改めて記録すること残すことの意味、そのやり方と難しさと、大切さも、思います。

常に自問自答と考えていかねばならないなということと共に。
 
己が書く人間だからこそ常に自問自答があります。

すべてのものやことについて書く(撮る)べきかとか伝えるべきかとか残すべきか、そのやり方切り取り方は偏ってはいないかとか無責任ではないかとか、
って、どんな世界であれ何であれ常々いろんなことやものがそうですね。
書くや撮るだけじゃないな、日々人になにかを伝えることは常にそれがつきまとうのでしょう。

考え動き、動き考え、していかねば、その上で、でも、動かな、って。うん。
 
そんな中だからかな、よかった。
 
みなみ会館や京極スタンドの風景も出てきて、「あ」ってなったのも、よかった(笑)

読みながら、ふと思い出してひっぱりだしてきた本もあります。
 
『もう取り戻せない昭和の風景 東京編』(布川秀男・東洋経済新報社・2004年)

タイトルこそ、はっきりしすぎてはいます。
でも、ガイド本じゃない。変に「どや!顔」も滲んでいない。ノスタルジーに浸りすぎることはない。
でも淡々と記録したその写真たちは雄弁。
力。技術。
 
片や京都、片や東京。
そして、わたしがこの本を知るきっかけとなったのは大阪、梅田阪急百貨店の東側にあるビルの屋上スポットにて。
 
え。
 
今調べたら「阪急32番街 空庭Dining」の展望ロビーというらしい。
今もあります。
ビルの27階~31階の飲食店が並ぶその窓側テラス、つまり無料スペース、
ここで建設中の今の大阪駅を見ながらぼぉっとするのがブームの時期がありました。
ある日身なりの良い老紳士が大きなカメラを構えているのに遭遇した。
隣り合ったので、液晶を覗いたら、あまりのあまりに思わず声が出た、「わあー!」
その「わあー!」に笑顔で「これは素晴らしい人に出会ったな」とおっしゃって下さった人が著者でした。
前日にロケハンをして、今日、撮っていたのだと話してくれ、後日、著作を送って下さったことから手紙のやりとりをしました。
お会いしていろんな話をきかせていただいたりもしました。
そんな老紳士がまさか新聞社におられた人で、海外の大学でも教鞭をとり、コニカやキャノンで撮影の指導もされる方だったとは、何が「わあー!」だ。
今思うといろいろと若気の至りしかありません。
 
でもね、きちんと額に入れて送って下さったその日の写真は大事な記録。

あ、下のは、私がボロ携帯で撮った写真(笑)

今のメカニックなシン・大阪駅で電車に乗る際、ふとあの景色を思い出します。

また行こう、行かななあ、あの展望ロビー。

今の、これからの景色は?

見たい。見続けたい。
 


当時のBlog記事も。ぎゃー。


以下のプロフィール、少し書き直しました。
よろしければ改めてお読みいただけたらうれしいです。

◆◆◆
以下は、すこしだけ自己紹介 。
よろしければお付き合い下さい。

構成作家/ライター/コラム・エッセイスト
中村桃子(桃花舞台)と申します。

大衆芸能、
旅芝居(大衆演劇)や、
今はストリップ🦋♥とストリップ劇場に魅了される物書きです。

(普段はラジオ番組構成や資料やCM書き、各種文章やキャッチコピーなど)

劇場が好き。人間に興味が尽きません。

演劇鑑賞(歌舞伎、ミュージカル、新感線、小劇場、演芸、プロレス)などの鑑賞と、学生時代の劇団活動(作・演出/制作/役者)経験などを経て、
某劇団の音楽監督、亡き関西の喜劇作家、大阪を愛するエッセイストなどに師事したり。
からの大阪の制作会社兼広告代理店勤務を経て、フリー。

舞台と本と、やはり劇場と人間と、あ、酒も愛し、人間をひたすら書いてきて、書いています。

lifeworkたる原稿企画(書籍化)2本を進め中。

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