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しょうもないけど、しょうもなくない

しょうもないものを買うてしまった。
帯のキャッチコピーと裏表紙の文句と、
タイトルに釣られて引っかかった。
すこし前だが話題になったり本屋でも平積みされたりしていたので、
この強烈なタイトルに見覚えがある方も少なくないかもしれない。
わたしは、や、わたしも、ちょっと前に、
知らん土地のヴィレッジヴァンガード的な本屋で見つけてしまい、
私用の長い待ち時間の暇つぶしに読もうと手に取った。
せやけとあかん。笑いすぎたり、引きすぎたり、
病院やら電車で読む内容やない。
 
見開き1ページに「名言」が載せられている。
左ページ、語ったこと。
右ページ、その中で一番強烈な一言。
下、聞き手のツッコミ。
名言? うん。知らんおじさんたち130人の。

なんやねん(笑)
 
かっこええ名言はひとつもない。
「僕の前に道はない。僕の後ろに道はできる」(高村光太郎)
そんなんない。ツッコみどころの多いものばかり。
共感できないものや、下ネタ、
いや下ネタを通り越したおっさんらのただの猥談も少なくない。
まあ、連載元が裏モノJAPANな時点で、そうなんだけど。

びっくりするくらいしょうもないもの、
自虐が極まったら真理みたいになったもの、
なんの自慢にも誇りにもならないがそれでも自分の中の格言なもの、
おっさんのガチの下ネタ。
「おいおいおいおい」「ないわあ」
でもたまに「おおー」「そうやなあ」「そうやよなあ」
 
もう一度言う。なんやねん。全くもう(笑)
 
それらは彼らの気持ちで、生きてき方だ。
 
生き方なんてかっこよぉ言えるもんじゃないかもしれない。
でも、間違いなく、生きてきた、生きてき方。
かっこええとかかっこつけ……たいときもあるしつけるねやろうけれど、
かっこよぉないことやなられへんことやときやもあったり少なくなかったり、
他人を意識せざるをえなかったり、
でも、そうして、それでも、生きてきた中、出てきた気持ちであり、言葉。
 
わたしたちの身近にいる皆の、
いや、「私たち」の、言葉、気持ち。
生きてきて、「その時」語った、だいじな気持ち、肚からの言葉。

『他人が幸せに見えたら深夜の松屋で牛丼を食え』
 
なぜしょうもないと言う。言える?
 
皆しょうもなくて、皆しょうもなくない。
 
後半の下ネタはド直球のでも本音。
 
「あーあーあー」「はいはいはい」「うえー」「キモ」
「ううむ」「しみじみ」「そうやよなあ」
 
先日、夜遅い時間のフードコートに行った。
食べるために行ったのではない。
書かなあかんものがまとまらんというか
それらを考えようと本だの紙だのを持って出かけたら
よく行くカフェというかファーストフード的な店が改装中でしゃあなしに。
 
22時くらいのフードコートは、カオスだった。
 
資格の勉強本を広げているおひとりさま、
寝ているおひとりさま、
そして、かなり高齢の謎の男性と女性のグループ。
真横のゲームコーナーからは
ぴこぴことかきらきらとかの電子音とかがうるさすぎるほどうるさく響く。
皆気にもしていない。
 
ざわざわと、ぴこぴこと、ひとりと、団体と、
マクドと、「定食あります」って貼ってるたこ焼き屋と、
コーヒーひとつだけしか頼まんかったからかめちゃ態度悪いマクドの店員と、
暴力的なまでにどす黒い美味くない不味くもないコーヒー。
見渡せば同じフロア内にはフードコートとは別のしゃぶしゃぶ屋? のライトが光ってる。
あこ行く人は貴族でわしらは民衆? いえ、みんなおなじ。
しかし隣のじいさんばあさんのグループ、あれ、なんやろ。
 
で、翌日、思い出したのが、だいぶ前に買い、読み、放っていた、この本だった。
 
皆しょうもない。皆、しょうもなくなくて、しょうもない。皆、生きてる。誰の前にも道はない。あるけどない。後ろには道は出来るか出来ひんかわからん。けどなんかなんとなくたぶん何かが出来もするんちゃうか。
 
だからまたあのフードコートのマクドに行こうと思う。
うるさいけれどだからいい、たぶんね。  



と、昨日から書いていたこれをアップした今偶然知ったのですが、
今日、朝日新聞出版から、ロイホにまつわるエッセイ集が出るらしい。

ロイホはちょっといやだいぶ貴族か笑

面白そうやな、豪華メンバーやな、
とはいえ新刊買うてる余裕も読んでるひまもなかなかないー。

◆◆
構成作家/ライター/エッセイスト、
momoこと中村桃子(桃花舞台)と申します。
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momo|桃花舞台
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