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永遠の終わり(著:アイザックアシモフ:1955年)【読書紹介で未来は変わらない。人間はもう進化しない。いつまでたっても愚かで自己中心的なままさ。だがな】

アイザックアシモフの往年の古典SFです。
どれくらい古いかというと、作中においてはコンピュータが機械ではなく人間の職業として登場するくらいです。
その昔、計算することを専門に行う職業があって、その職業の人をコンピュータと呼んだのですね。
時代がわかりますね。

また50年代のアメリカSFなので、原爆を肯定している時代なので、日本人だと「えーっ」となる部分もあります。(そうでもないかも。というか気づかないかもな)

しかし古典というのは新しい読者に読み継がれてきたくらいですから、その面白さは現代にリメイクしても充分に耐えられるくらいの、骨太のストーリーとなっています。

映画化しないのかな?
ハリウッドって自国のSF遺産に冷(以下略)

いつも名前しか聞かないアシモフ。やはり巨人でしたね。

さて、今作はタイムトラベルものです。
しかもタイムトラベルが開発されたとたん、「永遠」(エタニティ)と呼ばれる時間管理局ができ、人類が危険な道を進まないよう、介入を受けて調整されます。
原始時代の歴史を変えると、「永遠」の存在も変わるかもしれないのでそれはできませんが、「永遠」が樹立した以降の年代では、すべて介入されます。
戦争、疫病、虐殺、内戦、環境破壊、そういった負の歴史的イベントは萌芽を見せた段階で「永遠」の介入によりなかったことにされます。

・・・本当にこれで大丈夫なんでしょうか?

主人公は「永遠」の職員です。
ところが彼は職務中にある時代の女性に恋をしてしまいます。
彼女の名前はノイエス。
そして彼のその時の仕事は、その時代を消すこと。
そうすると彼女も一緒に消えてしまいます。
彼は、こっそり彼女を助け出そうとしますが・・・・

本作はミステリです。

良いですね。SFミステリ。
SFにしか許されない世界で(同年代で)既出のトリックは出てきません。
もちろんヒントも充分に出されているので、感のいい人には答えがわかるフェアプレイでもあります。
ああ、そういうことなのね、と分かった人は答え合わせを最後まで読んでご参照ください。
気づかなかった人は、クライマックスの展開に圧倒されます。
そしてオープンエンドです。
結末に対する評価を決めるのは読者の手にゆだねられます。
エンディングは絶品です。

これは読まないと大人になれないですよ(嘘)

ちなみに同作は、ファウンデーションシリーズのB世界線でもあるようです。
A世界線の方になるとタイムマシンは発明されない代わりに、銀河帝国が建国されるんですね。

いやあ、改めてSFはミステリ向けのジャンルなんだな、と思います。
次はどんなSFミステリを紹介したもんかな。

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