黎明の王 白昼の女王(著:イアン・マクドナルド)【とりあえず読書紹介も三段構成にしとけ(その結果、第一部が全体の90%に)いや、それ】
SF作家であるイアン・マクドナルドが書いたファンタジー。
イギリス妖精譚で、三世代に渡る三部構成の作品となっています。
SF要素は皆無な感じですが、ファンタジーと被る感じでSFの気配を感じなくもない程度。まあ定番の量子力学とか。
あと、この作品は性的虐待とか性暴力の話が出てくるので、
そういうのが苦手な人は注意してください。
まあ、あまり直接的には書かれていません。
初代は良家のお嬢さま。
妖精がスキで、妖精を召喚したりしますが、それが悲劇を招きます。
この話だけは完全にホラー。
二代目は、両親を知らない孤児の娘で、
なんでかしらないけど謎の小人おじさん二人組がいつも助けてくれます。
このおじさんたちは何ものなんでしょう。
そして彼女は、なにやら人外の存在に狙われています。
古典的ひまわりハッピーエンド。
三代目は90年代(執筆当時のNOW)
世代を経て、能力はだいぶ弱まり、薬を使ってようやく使用できるくらいに弱体化していますが、それでも妖精の力を駆使できる。
ただ時代はドラッグカルチャー末期なので、これで仕事をクビになり、
さらにはそれどころじゃない怪異との対決を余儀なくされる。
ちょっとだけ苦いトゥルー系青空ハッピーエンド?
いずれも女性主人公です。
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欧米では、三幕構成が当たり前というか、
それを最初から皮肉っている仕様となっていますが、
作品は、三部ともグッドシナリオです。
ジョジョシリーズみたいなのを連想させるのは、なんていうんでしょうか?
邪悪なるものとの、本質的な対決が描かれます。
ちゃんと世代を超えてテーマが受け継がれており、
冒頭に警告したとおり、猟奇的な部分が書いてあり(直接には避けられているけど)
テーマとしては「傷痕からの回復」でしょうか?
全体としてトラウマを克服して、健全性を回復するといった流れです。
ただそれに納得できるかは、人によって異なるかもしれません。
逆に言えば、作者が筆のおもむくまま自由に書いてあるということでもあり。
私は良作だったと感じました。
物語って、成長とか、回復とか、そういうテーマがウケやすいです。
人類はそういう物語がスキです。
そしてこの物語も、そういう類型に属します。
グッドシナリオの作品だとは思いますが、
ただ、こんなお手軽な感動でいいのかな? というジャンプマンガのラストを読んでいつも感じるあの気持ちを味わっている気がしないでもないです。
まあ、面白いです。
ジャンプ感あります。
まあ、古い作品の本なので。
入手が難しいかも。
私は、この小説。むちゃくちゃ好きでした。
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