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オペレーションマリア(ロシア映画:2021年)【必ず映画感想を見つけ出して持ち帰れ。さもなくば。処刑する!】

まあた、このご時勢にロシア映画を観てしまった。
でもまあ戦前のです。

まあご時勢じゃなくても、こんなの観るのは私くらいですよ。

ちょっと弁解させてください。
これ主人公が女性のNKVD(げに恐ろしきソ連秘密警察)のスタッフ。
そして、求めるものがなぜか、ロシア正教のイコン。
「チフヴィンの生神女」
この美術品をドイツ軍占領下まで行って、こっそり奪還してくるという話。
しかも、スターリン御大からの直接命令とな!?

こいつは、ジェームズボンドな話だぜ。
観たい。どうしても見たい。
少年が中学生のころ、エロマンガをはじめて買ったときの恥ずかしさと比べれば、どうということはないだろう。いけいけどんどん。

というわけで観ちゃいました。
折角だし、感想を書いてみます。

まあ戦前の映画って、後になって「見とけばよかった」ってなる可能性があるし。言い訳の弾幕をはりつつ、行きましょう。
ダバイダバイ。(ロシア語で急げという意味らしい)

スターリン時代は宗教をめちゃくちゃ弾圧していた時代で、
世界遺産となった有名な修道院を爆破して、
何かに使おうと思ったあげく、何も果たせず野外プールとかにしていました。そんな時代なので、予言者の類はもっとも嫌われます。
しかし時は1941年。モスクワの戦い。

電撃戦で攻め寄せるナチスドイツ軍に対して、誰もが自信を失い、
不安に駆られ、予言者のもとを訪れるのでした。

主人公も、そんな予言者のところを(職務として)訪れます。
まあ彼女は秘密警察官なので、逮捕前の内偵なんですが、
この報告書をスターリンが読んでしまいます。すると、

なんとスターリン御大が予言者のところにやってきます。

で、
「モスクワを守りたければ、『チフヴィンの生神女』をモスクワに戻せ」
との予言が出ました。

そこで白羽の矢が当てられ(なんてこった)
主人公が彼の地に行くわけですが。

そして目的地がドイツ軍占領下の、
主人公の故郷。
主人公は、家族とは絶縁しています。

なんでかというと。

父が聖職者だったのです。
母の音信は知りません。

主人公は親を切り捨てる形で、生き残ってきた人だったのですね。

そういえば自分の親を密告して成功した類型が、
あの時代の全体主義国にはよくありますね。

そういう見たくもない過去と、ふたたび強制的に向き合わされる。
そういう話なんです。だから宗教の話でもある。
故郷に戻ると、まずは神父から力づくでイコンを奪います。

さすが秘密警察官。やることが暴力的だ。
そもそもソ連秘密警察にとって教会関係者は潜在的な敵だ。
ナチスでいうところのユダヤ人みたいな相手なのだ。

しかし教会を出たとたん、ドイツ軍との撃ち合いになってしまい、
神父の助けを借りて町を脱出せざる得なくなる。
そして、この神父は母の死を知っていた。
娘はその事実と直面するしかない。

****
エンタメ路線ではありますが、
宗教的テーマを使って、しっとりとした方向性にまとめ上げています。
秘密警察官の主人公という使いにくいキャラ特性も、存分に活かしていました。ストレートに言わないで表現でオチをつけるところがいい。
こういう分かりやすくない映画は文化の香りが漂いますね。
まあ、欧州映画はこれがもう芸風なんでしょうけど。

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