あの扉
いつだって
その扉の手前まで見届けて
待っていれば
どんな姿でも必ず帰ってきた
そして変わらぬ笑顔が
そのうち戻って安心した
何度も、何度も
希望は叶えられた
最後の扉は
見届けるしかないことを
知っているから
わたしは何度も心の中で
いやだ、いやだ
そう泣叫んだんだ
戻った姿を見るのがこわかった
まるでお花畑で眠るようだった姿も
好きなものも、書いた手紙も
きれいに無くなっていた
吸い込まれるように静かに入って
重い扉が閉じていくのを見るのは
トラウマになりそうなほどおそろしい
それを引き留めたって
どうにもならないことは
知っているけど
あの扉が閉じる瞬間が
絶望を感じる瞬間だ
扉が閉じたあとは
諦めしかなかった
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