河村 恵

小説・エッセイを書いています。 X(旧Twitter)で公開情報を配信していきます。 不定期でブックレビュー、映画紹介も掲載中! なお、小説はフィクションです。作品中の人物は架空の人物で実在の人物や団体とは関係ありません。

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  • 連載小説「記憶のリブート」

    連載小説「記憶のリブート」第1話〜第13話収録

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連載小説「ぷかり、ぷかり」ep.2

午後2時。時間きっかりに山河は現れた。 待ち合わせた喫茶店で話しだしたらきりがない。 山河は奈緒美の30歳年上なので、父が生きていたらちょうど同い年になる。 見た目はおやじくさいが清潔感がある。細い目を覗くと、好奇心旺盛な人特有のきらきらした目をしていた。祭り好きらしく明日も近所の商店街の祭りがある、と嬉しそうにしゃべる。 好きなことは好き、嫌いなことは嫌いとはっきり言うので初対面なのに、と戸惑った。だが、それがまた話しやすくもあった。 奈緒美の職場では当たり障りのない

    • 創作絵本「ママにはないしょ」

      あのね、 ぼく いったことあるんだよ。 みんなのベッドのしたにもあるでしょ。 くろくて まあるい いりぐち ぼくね、きのうのよる こっそり あけちゃったの。 そしたらね、はしごがあったんだよ。 あ、このおはなしは、ママにはないしょだよ。 はしごをおりたら、ぼくのおうちが もうひとつ あったよ。 うちにはだれもいなくて、くらかったけど、でんきのスイッチもおせたよ。 だってぼく もう5さいだもん。おばけもいなかったよ。 それでね、おもちゃだなに やっぱりあった

      • 読み聞かせ絵本「まるまるまる の ほん」

        息子の学校では読み聞かせの時間があります。 私も先日、絵本を持って低学年のクラスへ行きました。 読んだ本は、 息子たちが3歳くらいから親しんでいた本で、幼いかなと思いましたが、私がこの本が好きだったのと、本の楽しさを知ってもらうにはぴったりだと思い、この本にしました。 この絵本は、静かに聴いてもらう本ではありません。タブレット時代に敢えて、紙の本に触れることで、変化が起きることを楽しめる本になっています。 コロナも明けているので、子どもたちに本にタッチしてもらったり

        • 「書くことについて」課題③(英訳つき) my issue from ”On Writing”

          商談相手の女性はジェーンのように聡明ではなかった。 どこか頼りない彼女はディックを好いていた。ディックの方でもそれは気づいていた。 今日は海に望むテラス席でランチを共にする約束をしていた。ディックはミラーを見てネクタイの曲がりを直した。 「今度ランチでも」 うつむきながら言う彼女に、社交辞令のように淡々と約束したディックだったが、今日は勝負の時にしか締めない赤に細いゴールドラインの入ったネクタイをつけてきた。 踏切はなかなか上がらない。 するとフロントガラスに大粒

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        連載小説「ぷかり、ぷかり」ep.2

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          いじわるな換気扇

          某ファーストフード店でテイクアウトをしてバスに乗った。 「やばい、やばい。うわ~、このにおい、絶対ポテトだよね。食べたくなる〜」 と近くの席に座っていた塾帰りらしい小学生女子二人組がきょろきょろとバスの中をみまわした。 私は思わず、ポテトの入った袋を隠した。 (ごめんね、お腹空いてるのに、食べたくなっちゃうよね) 女子たちの犯人捜しは続く。 (あぁ、こんなおいしそうな匂いをバスに持ち込むなんて配慮がなかったな)と、反省。 そういえば、牛丼でもこんなことがあったの

          いじわるな換気扇

          連載小説「ぷかり、ぷかり」ep.1

          「トラックでバッグした時にさぁ、窓から頭出して後ろ確認してたら、ずるっと頭ぶつけちまってこんな見事な円形脱毛症なっちゃったんだよ。いや、ホント笑ごとじゃないって。仕事がら帽子かぶってばかりだから禿げちゃったと思われるかもしれんけどな」 ―仕事って何でしたっけ? 「パイプ屋。工場で働いてんの。だから声でかいの」 と言って豪快に笑う。  奈緒美は、なんでこの人といるんだろう、とぽかりと浮かんだ疑問をかきけそうとするかのように笑う。  男の手にそっと触れた。 「奈緒美の手

          連載小説「ぷかり、ぷかり」ep.1

          秘密のケーキ

           珍しくメガネをかけて外へ出た。帰りがけに知人に会う。 「あれ? 今日メガネなんだ?」 「そう、今、眼科の帰りなんだ」 などと会話してふと違和感を感じた。  たしかに、眼科に行くから普段コンタクトをしている私がメガネに変えて外出した。けれども、眼科へ行くと、「申し訳ないですが、眼科は今日はお休みなんです」と言われた。他の科も併設されている病院だったので、受付までは行った。これを眼科に行ったとカウントするのか疑問に思ったのだ。  眼科が休みだったので、もう一つの用事のために

          秘密のケーキ

          目がよくなりたい!

          実は私、かなりの近視です。最近、PCに向かう時間が増えたので視力低下が気になり、視力回復に取り組んでみたいと思います。そこで、 「1日1回!大人と子どもの目がよくなるすごいクイズ」若桜木虔(青春出版) この本をまじめに実践して視力を良くしたいと思い、記録をつけていきます。 あくまでも個人の結果ですが、視力回復したい方の参考になればと考えております。 ※結果は随時、更新していきます。 計測結果11月7日(1日目) 11月8日(2日目) 11月9日(3日目) 11月10日

          目がよくなりたい!

          エッセイを書き始めてから明日で1ヶ月になります。 たくさんの方に読みにきていただけて嬉しく思います。しかし、本来の小説創作とのバランスが難しく、今後は週に2〜3日程度(予定では月曜、水曜、金曜)のスタンスで書いていこうと思います。今後ともどうぞお付き合いください。

          エッセイを書き始めてから明日で1ヶ月になります。 たくさんの方に読みにきていただけて嬉しく思います。しかし、本来の小説創作とのバランスが難しく、今後は週に2〜3日程度(予定では月曜、水曜、金曜)のスタンスで書いていこうと思います。今後ともどうぞお付き合いください。

          他人行儀(11月9日)

           以前使っていたスマホを手に取った。  1日24時間ほとんどそばにおいていて、あれだけ手に馴染んでいたのに、数ヶ月のブランクを経ると、こうも冷たくて、他人行儀になるのかと思った。  スマホ側だけではない。私自身、当たり前のようにやっていた操作も忘れている。  スマホも私もお互い様である。  とても親しかった人は久しぶりに会っても、まるで昨日まで一緒にすごしていたかのように話ができる。  スマホにはそれができない。  付き合っていた人と別れた後、再会した時に、似てい

          他人行儀(11月9日)

          本の紹介「書く仕事がしたい」

          「書く仕事がしたい」(佐藤友美・著 cccメディアハウス 2021年)  まず注意していただきたいのは表紙にも書かれている通り、  書く仕事(主にライター)をして生きていく上での文章力以外のスキルについて、惜しみなく書かれています。   例えば、disコメントに適切な向き合い方を数パターン決めておき心を守る考え方は、ライターでなくとも個人が発信できる現代にはとても参考になります。   また、どうやって相場感を身に付けるか、編集者に構成が悪いといわれたらどうすればいいか

          本の紹介「書く仕事がしたい」

          「書くことについて」課題②(英訳付き)

          今日はリトル・ネルの友人、メアリーの誕生パーティーだった。 去年までリトル・ネルと同じ保育園にいたが、引っ越しして車で30分ほどの場所に住んでいる。白く大きな家に青々とした芝生。 メアリーはドレスをして出迎えてくれた。 リトル・ネルに用意したプレゼントを持たせて、ディックは一度帰宅した。 一人で、この家に帰るのは、もしかしたら初めてかもしれない。 たまにはのんびりとくつろぐのもいいだろう。 玄関ドアを開けて入った瞬間、ディックは違和感をおぼえた。この感覚、以前は普

          「書くことについて」課題②(英訳付き)

          11月7日

          今日はとても寒かった。 今季初コートの出番だった。 やや大袈裟かなと思ったが、そんなことはなかった。 そういえば、私は寒さに弱かったんだった。 毎年越冬できるのか不安になる。 人間もかつては冬眠していたという話を聞いたことがある。真偽のほどはいざ知らず、そうだろうなと納得してしまう。 冬眠といっていつも思い出す光景がある。 冬眠を明けた熊が雪の上を滑るのである。 何をしているかお分かりになるだろうか。 冬眠前に熊は松やにを食べてお尻に蓋をするそうだ。 冬眠

          「書くことについて」課題について

           スティーブン・キング「書くことについて」にある課題について投稿しているので、(ご存知の方もいらっしゃると思いますが)念の為、引用して記載しておきます。  キングは、課題の提出は受け付けていませんのでご注意ください。  彼の趣旨としては、課題を通じて、プロットなしで書くということを体感してほしいという意図だと思われます。  文章を書く上でとても参考になるので、私は個人的に実践しております。  続編も順次公開してまいりますので、今後ともよろしくおねがしいます。

          「書くことについて」課題について

          11月6日

          カフェという空間は不思議だ。 見知らぬいろいろな人がいるのに、ゆったり過ごせる。 隣に誰かいるのに、気にせず込み入った相談をしたり、喧嘩をしたり、本音で話ができたりする。 ずいぶんと前のことだが、付き合っていた人とよく行ったカフェがあった。 私にとってそれが初めての行きつけの店だったように思う。今思えば格段にオシャレでもなかったが、ファーストフード店で長居していた頃よりもちょっと大人びた気分だった。 何を話したのか、どこにあったのか。今では全く思い出せない。 その

          11月5日ー「書く」って、どんなこと?

            今日は、先日購入した、「『書く』って、どんなこと?」(高橋源一郎・著 NHK出版 2024年)を読みました。  まず最初に、この本は、いわゆる文章指南書ではなく、書くことを抽象的、感覚的に捉えた内容となっています。  あらすじは他に譲ることにして、感想を書いていきたいと思います。  感想を一言でいえば、ほっとした、ということになります。  それは小説を書いているときの不思議な感覚(考えずに書くということ)が自分だけでないことに安心したからです。  いつも小説を書く時に

          11月5日ー「書く」って、どんなこと?