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エッセイ ─日常のことをつらつらと─

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日常や、子育て、映画や本の感想などを綴ってみたいと思います。
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記事一覧

いじわるな換気扇

某ファーストフード店でテイクアウトをしてバスに乗った。 「やばい、やばい。うわ~、このにおい、絶対ポテトだよね。食べたくなる〜」 と近くの席に座っていた塾帰りらしい小学生女子二人組がきょろきょろとバスの中をみまわした。 私は思わず、ポテトの入った袋を隠した。 (ごめんね、お腹空いてるのに、食べたくなっちゃうよね) 女子たちの犯人捜しは続く。 (あぁ、こんなおいしそうな匂いをバスに持ち込むなんて配慮がなかったな)と、反省。 そういえば、牛丼でもこんなことがあったの

秘密のケーキ

 珍しくメガネをかけて外へ出た。帰りがけに知人に会う。 「あれ? 今日メガネなんだ?」 「そう、今、眼科の帰りなんだ」 などと会話してふと違和感を感じた。  たしかに、眼科に行くから普段コンタクトをしている私がメガネに変えて外出した。けれども、眼科へ行くと、「申し訳ないですが、眼科は今日はお休みなんです」と言われた。他の科も併設されている病院だったので、受付までは行った。これを眼科に行ったとカウントするのか疑問に思ったのだ。  眼科が休みだったので、もう一つの用事のために

他人行儀(11月9日)

 以前使っていたスマホを手に取った。  1日24時間ほとんどそばにおいていて、あれだけ手に馴染んでいたのに、数ヶ月のブランクを経ると、こうも冷たくて、他人行儀になるのかと思った。  スマホ側だけではない。私自身、当たり前のようにやっていた操作も忘れている。  スマホも私もお互い様である。  とても親しかった人は久しぶりに会っても、まるで昨日まで一緒にすごしていたかのように話ができる。  スマホにはそれができない。  付き合っていた人と別れた後、再会した時に、似てい

11月7日

今日はとても寒かった。 今季初コートの出番だった。 やや大袈裟かなと思ったが、そんなことはなかった。 そういえば、私は寒さに弱かったんだった。 毎年越冬できるのか不安になる。 人間もかつては冬眠していたという話を聞いたことがある。真偽のほどはいざ知らず、そうだろうなと納得してしまう。 冬眠といっていつも思い出す光景がある。 冬眠を明けた熊が雪の上を滑るのである。 何をしているかお分かりになるだろうか。 冬眠前に熊は松やにを食べてお尻に蓋をするそうだ。 冬眠

11月6日

カフェという空間は不思議だ。 見知らぬいろいろな人がいるのに、ゆったり過ごせる。 隣に誰かいるのに、気にせず込み入った相談をしたり、喧嘩をしたり、本音で話ができたりする。 ずいぶんと前のことだが、付き合っていた人とよく行ったカフェがあった。 私にとってそれが初めての行きつけの店だったように思う。今思えば格段にオシャレでもなかったが、ファーストフード店で長居していた頃よりもちょっと大人びた気分だった。 何を話したのか、どこにあったのか。今では全く思い出せない。 その

11月5日ー「書く」って、どんなこと?

  今日は、先日購入した、「『書く』って、どんなこと?」(高橋源一郎・著 NHK出版 2024年)を読みました。  まず最初に、この本は、いわゆる文章指南書ではなく、書くことを抽象的、感覚的に捉えた内容となっています。  あらすじは他に譲ることにして、感想を書いていきたいと思います。  感想を一言でいえば、ほっとした、ということになります。  それは小説を書いているときの不思議な感覚(考えずに書くということ)が自分だけでないことに安心したからです。  いつも小説を書く時に

11月4日ーミステリー断片

バッグから財布を取り出した時に、一緒に何やら毛束のようなものが出てきた。 それを見て、ギョッとした。 もちろん毛束ではない。よく見ると、紐がほつれていただけだったのだが、私の頭の中では、すでにストーリーが広がり始めた。 今日のおっちょこちょいはミステリータッチのストーリーを連れてきてくれた。 これを私は、”おっちょこちょいの賜物”と呼んでいる。

11月3日ー原点

細い道を曲がると、8歳くらいの男の子が自転車を道端に停めて降りたところだった。この道は車が滅多に通らない。 どうしたのかと見ていると、道路に止まっているシジミチョウにそっと近づいて、指で持ち上げた。何か一言いってから、近くの草花に連れて行き、手を離した。 男の子の意に反して蝶は飛んでいった。 きっと、「ここにいると危ないよ」などと言って、車や自転車に轢かれるを防いだのだろう。 息子もそういうことがあった。まだ就学前だった。 交通量の多い通りの横断歩道にカラスアゲハが

11月1日

毎月1日は書店に行き、読みたい本を数冊まとめ買いすることにしている。 本棚に「読んで、読んで」と文庫本たちが列をなしているので、控えめに3冊選んだ。新書は図書館で借りて読むことにした。 読み終えたら順次、感想を載せるつもりです。

10月31日

毎月1日は、本を買う日と決めている。1ヶ月に5冊ほど、まとめ買いをする。 そのために、何度か書店に足を運び、リサーチしておく。 本屋との相性もある。 出版社ごとに並べている書店が多いが、全部まぜこぜの書店もある。平積みの本の具合や、ホラー特集、豪華な装丁特集が組まれていたりと、書店の演出にも個性がある。 古書店などだとよくわかる。何に特化している店か明確だったりする。 最近はジャンルに特化した書店もあるそうで、面白そうだ。 今は書店が減っているので、近隣に書店が1

10月29日ー念願のあんみつ

我が家には小学生の男の子が2人いる。 小学生は朝早くに重たいランドセルをせおって学校へ行き、6時間授業を受けて、帰ってくる。帰ってくると、習い事や、宿題と忙しい中、外でも遊んで、家の中でも遊んで、好きなテレビやYouTubeまで見て、大人より早く寝る。 こうしてみると、子どもはちゃんとやりたいことと、やるべきことを両立させているなと感心してしまう。 大人は、やりたいことを仕事にできている人は、1日の大半がやりたいことで埋め尽くされているかもしれないが、仕事以外にも大なり

10月28日━かたっぽさん

洗濯物をたたんでいると、靴下が片方見当たらないことがある。 そんな時は、靴下捜索隊が結成されて探しはじめる。 洗濯槽に残されていないか。 洗濯機から今いる場所への道のりに落ちてはいないか。 はたまた、ベランダで風になびかれて外に落ちてはいないか。 ソファの下も探す。 それなのに見つからない。 かたっぽにされた靴下は、どこか寂しそう。 「ここで待っていれば、いつかきっと巡り会えるからね」 そう言って、引き出しで待機してもらうと、その後の洗濯で巡り会えることがだいたいだ

10月27日━おうち駄菓子屋はじめました

「トリックオアトリート」  今日は街のあちこちで仮装している子どもたちの姿を見た。  息子たちも地元のハロウィンイベントへ行ってきた。  私が子どもの頃はハロウィンは今ほど浸透していなかった。  もし、自分が子どもだったら、どんな仮装をしたいか考えてみた。  本来のゾンビの仮装は怖くて嫌がっただろう。ディズニープリンセスのようなドレスも憧れるかな。いやいや、どちらかというとジブリ派かな、などと考えた。  さて、帰ってくると家のお菓子箱は今日もらったお菓子でいっぱい

10月25日ー「運が悪い」は運がいい

駐輪場で自転車を停める。 有料の駐輪場を利用したことがある人ならわかると思うが、自転車のタイヤを乗せる装置が低いのと高いのが交互にならんでいる。私はいつも低いのを探しもとめて停めているが今日はあいにく空いてなかった。 しかたなく高い方に停める。 三十数キロの自転車が上がらない。 何度がチャレンジしてようやく上の方まで行くがあと少しというところで隣の自転車のハンドルがあってのぼらない。 隣の自転車を少し傾けて最後まで上りきる。安心して手を離すとずりずりと落ちてくる。 もう一度自