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【エッセイ】運動で脳が若返る / 一流の頭脳(アンダース・ハンセン)

運動で脳が若返る

 運動をすると脳が若返るというのは科学的な根拠に基づいた話である。
 ある研究で60歳の被験者100人を2つのグループに分け、1年後、脳の働きをMRIで調べるというものである。グループは、週に数回ウォーキングをするグループと同頻度で心拍数の上がらない程度の運動をするグループとした。

 結果は、2つのグループで全く異なる結果となった。
 ウォーキングを実施したグループは、側頭葉と前頭葉、側頭葉と後頭葉の連携が強化されていたのだ。すなわち、神経細胞同士の電気的活動によって働く脳において、ウォーキングは良い影響を与えたといえる。
 この実験は、60歳よりも若い被験者を対象としても行われたが、同様に結果が得られた。
 さらに、心理テストの結果においても、認知機能が向上しているしていることが分かった。
  このような結果から、運動は加齢による脳機能の低下を抑制するだけでなく、向上することが判明した。

 脳は、拳2つ分程度、重さは1300g程度の器官である。脳の機能において重要なのは、神経細胞の数ではなく、それら同士のつながりであり、連携である。

 ではなぜ、運動をすることで、連携が強化させるのだろうか。

 これには、GABAというアミノ酸が関係している。GABAは脳の活動を抑制することで変化を起こらないようにする「ブレーキ」のような役割を担っている。しかし、運動による心拍数の上昇によりブレーキが弱まり、脳の変化を抑制される作用も弱まる。そうなることで、脳は柔軟になっていくというものである。
 
 また、実際に脳は変化するという可塑性も確認されていることから後天的に脳の構造と機能を変化させられることは事実なのである。

 私たちは、脳の機能によって身体を動かしている。しかし、脳も身体からの影響を受けている。そのため、その仕組みを理解し、手軽な運動から始めてみることが良いのかもしれない。

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