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詩集 第6部

30
今まで書いた詩をまとめました。
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#夏

【詩】花びら

【詩】花びら

ひまわりの
花びらが ひとつ
じめんへ まう
ひらり ひらり
ちゃくちは しずか

ひまわりの
黒いたね ふたつ
じめんへ とぶ
ぽろん ぽろん
ちゃくちは はずむ

ひまわりの
背たけは いつつ
じめんを みる
ゆらり ゆらり
かぜは そよぐ

【詩】ない夏

【詩】ない夏

あついあつい夏が
この四季というなかから
音もなく なにもなく
こつぜんと 姿をけしたなら

祭りはなくなり 花火はきえ
傑作の山車 夏料理
青い海 みずみずしい野菜
ひまわり あさがお
みんな なかったことになる

せんぷうきの風にふかれ
頭をとかしていた
そんな日は 八月三十日

【詩】空の氷山

【詩】空の氷山

青空をあおぎ 男の子
かきごおりみたいと 指をさす
水平線の かなたには
天までとどく 入道雲
その頂へ なにいろの
シロップをかけよう 男の子

あまい赤色
やさしい緑
すずしい青に
げんきな黄色

空のかきごおりは うらやましい
ずっと ずっと
溶けることがないのだね

【短編小説】夏風

【短編小説】夏風

 ボロ小屋に住まう婆さんは、いつも休みなく家事をしていた。料理に掃除に買いもの。その多忙さは、皺を隠すほどに身についているようだった。なによりも婆さんは、洗たくをしているときが一番綺麗であった。洗たく籠のなかには、洗たくものが、花が咲き誇ったかのように目まぐるしく詰めこまれている。それを婆さんは、地面を掴むように引き上げ、洗たく機のなかへ送り出す。夏の乾いた青空の陽は、濡れた衣服たちを風になびかせ

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【詩】遊びざかり

【詩】遊びざかり

夏の夜に きらきら光る 笑い声
小さな部屋に ひびいてく
けたけた走り 潤んだめ
私をみつめ 手をのばす
愛しい子には 愛をやる
ふわふわ抱いて 子は笑う